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新大久保にも波及! プチプラだけじゃない "韓国コスメ"がオトナ向けに深化

加藤智一美容ジャーナリスト・エディター
出典;ベージック(左上)、ハクスリー(右上)、撮影;山田英博(右下、左下)

韓国コスメといえば「プチプラで可愛い」、「カジュアルな若者向け」という印象がありますが、ここ数年、韓国現地では30代以上をターゲットにした、洗練されたコンセプトを打ち出すビューティブランドが増加。価格帯も百貨店ブランドと比肩する設定で、従来のイメージとは一線を画しています。

加えて、大人女性ひとりひとりの肌悩みに対応した、“パーソナライズ”されたスキンケアやメイクアップサービスも誕生しています。

そして、その潮流は、韓国コスメのメッカである新宿区・新大久保にもすでに波及しています。

単一成分を組み合わせる、その名も”DIYコスメ”

まず、スキンケアで新たなトレンドを発信しているのが、新大久保の大久保通り沿いに位置する、韓国コスメショップ「EeNA」です。

化粧水や美容液約3か月分を3,500円~で作れる。撮影;山田英博
化粧水や美容液約3か月分を3,500円~で作れる。撮影;山田英博

特徴的なサービスが、「単一成分コスメ」を組み合わせる「DIYコスメ」。こちらは、“DIY”というコンセプト通り、自分の肌状態にあわせて、ヒアルロン酸、植物由来成分、成長因子などの保湿成分を選び、それらを組み合わせることでオリジナルの化粧水をつくるというサービスです。

その「単一成分」は常時50種前後を用意しているため、組み合わせは2500以上! そのため、迷うことなくオーダーができるように、LINEのアプリを活用した「DIY肌診断」を用意。5つの質問に答えることで、自分の肌にあった組み合わせを見つけられるよう工夫しています。

ディレクターのリョウタさんは「おかげさまで多くのお客様に利用していただいており、現在はアリオ橋本店、アトレ上野店・大森店と増えており、現在も複数のテナントから出店のお問合せをいただいています」と、まさに引く手あまた。

もともと「単一成分」コスメは日本国内の通販ブランドでもありましたが、こちらは韓国ならではの独自の美容成分を揃えていることや、約3か月分の化粧水が3500円から作れるというコスパのよさ、また店頭で単一成分を見て、組み合わせるというギミックも人気の秘訣といえるでしょう。

カップルにも人気! 自分だけのリップカラーを作る

一方、メイクアップでは、自分好みのリップカラーを制作できる「リップアトリエ」が話題です。

オーナーである辻幸恵さんは「コロナ禍のなか店頭で口紅を試せない時期が続いたことから、自分の欲しい色をつくれるサービスがあれば」と思ったことがきっかけで、2021年12月にアトリエをオープン。

聞けば、韓国のおしゃれエリア、狎鴎亭(アックジョン)では、すでにコロナ以前から、同様のサービスを提供するアトリエがヒットしており、日本でも確実にニーズがあるとふんでいたそう。

リップカラー作りは1回45分で、カラーの制作時間は約20分ほど。撮影;山田英博
リップカラー作りは1回45分で、カラーの制作時間は約20分ほど。撮影;山田英博

その予想は的中。ショップオープン後はクチコミで評判が伝わり、予約が殺到。予約開始日になると、あっという間に予定枠がすべて埋まってしまうほどに! 

その人気に乗じて、2号店である横浜店、3号店である大阪店をオープン、さらに、年内には名古屋や九州方面でショップオープンを予定しているそう。

好きな色を混ぜて調合。スタッフが制作をサポートしてくれる。撮影;山田英博
好きな色を混ぜて調合。スタッフが制作をサポートしてくれる。撮影;山田英博

来店者にはカップルも多く、韓国ビューティ好きだけにとどまらず、「自分のリップをつくる」というイベント性にも引きがあるようです。

高価格帯のビューティブランドが続々誕生

韓国ビューティの人気を受けて、百貨店でも、POPUPストアなどで、韓国ブランドを取り上げはじめています。なかでも、注目を集めているブランドが「べージック」と「ハクスリー」です。

「ベージック」は元・欧州系大手化粧品会社にいたアラサー女性が独立して設立したブランド。主に植物由来成分を使用した“ヴィーガンコスメ”をコンセプトとして掲げていたり、製品パッケージやビジュアルが非常に洗練されていることが特長で、見た目に“韓国感”は皆無! 

化粧品に使用する原料はフェアトレードによるものを選んだり、動物実験を行わないなど、エコフレンドリーなコンセプトもイマドキです。

フェイシャルケア、ヘアケア、ボディケアラインを用意。代表アイテムグリーンコーヒービーンオイルとアルガンオイルを配合した、ルーセントオイル。出典;ベージック
フェイシャルケア、ヘアケア、ボディケアラインを用意。代表アイテムグリーンコーヒービーンオイルとアルガンオイルを配合した、ルーセントオイル。出典;ベージック

「ハクスリー」は2015年に韓国でブランドを設立した、比較的新しいブランドです。モロッコ産のサボテン種子オイルをキー成分として採用しているビューティブランドで、白を基調としたパッケージ、シンプルなロゴなど、シンプルでスタイリッシュな世界観で話題に。新進ブランドが次々と生まれる韓国コスメブランドのなかで、根強い人気を博しています。

モロッコ庭園からインスピレーションを得た香りをスイスの香料会社と共同開発。すべての製品に採用している。スキンケア、ボディケアのほか、クッションファンデなどメイクアップも人気。出典;ハクスリー
モロッコ庭園からインスピレーションを得た香りをスイスの香料会社と共同開発。すべての製品に採用している。スキンケア、ボディケアのほか、クッションファンデなどメイクアップも人気。出典;ハクスリー

これまで百貨店で販売されているコスメといえば、フランス、アメリカ、そして国産が“3大勢力”でした。

しかし、韓国カルチャーの浸透とともに、このような大人向けの韓国ビューティブランドが続々誕生しているいま。国内でも、“第4の勢力”として台頭することになるでしょう。

美容ジャーナリスト・エディター

popteen(角川春樹事務所)、ViVi(講談社)、25ans(ハースト婦人画報社)など、女性誌の美容担当を経て独立。女性誌・男性誌・新聞など、さまざまな媒体で執筆。講演・PRアドバイスでも活躍。著書に「お洒落以前の身だしなみの常識」、「思わず触りたくなる美肌をつくる身だしなみメイク」(ともに講談社)などがある。

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