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【目黒区】アトリエ「ルムーンラボ」は就労が困難な方を応援、ソーシャルファーム予備認証を受けて準備中

Chikuwa地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)

中目黒・目黒川のほとりに2024年6月、「ボタニーペインティング」を気軽に楽しめる「ルムーンラボ」がオープンしました。

川を挟んで「目黒川船入場」の向かい側にある「ルムーンラボ」
川を挟んで「目黒川船入場」の向かい側にある「ルムーンラボ」

「ルムーンラボ」はフラワーデコレーションやフラワースクールなどを手がけてきた有限会社ルムーンの鈴江留美子さん主宰。

「ルムーンラボ」では、就労に困難を抱える方を多く受け入れる社会的企業「ソーシャルファーム」予備認証を受け、「アート×福祉」を軸とした新しい事業へチャレンジしています。

その第1歩となるアトリエ「ルムーンラボ」のオープニングに足を運んできましたのでご紹介しましょう。

「ルムーンラボ」では本物の蓮の葉を使った「ボタニーペインティング」が学べます

本物の蓮の葉を使った「ボタニーペインティング」
本物の蓮の葉を使った「ボタニーペインティング」

花事業を中心に活動してきた鈴江さんの心を捉えたのは、天然の「蓮の葉」などをキャンパスに張り付けて着色し、世界にただ一つだけの作品を作るアート「ボタニーペインティング」でした。

色を重ねる感覚、リラックスできる感覚がお花の仕事と共通する、と感じたそうです。

「ルムーンラボ」では、「ボタニーペインティング」の魅力をより多くの方に体験していただくための拠点。リラックスした空間で、その時の自分と向き合いながら「ボタニーペインティング」を学べる教室も開催されます。

ルムーンでは「ルムーンラボ」でのアート教室はもちろん、マルシェでのワークショップやカルチャースクールでのレッスンも行うなど、スクール事業にも引き続き取り組む予定です。

また、「ルムーンラボ」では外部講師によるスクール開催や地域活動、個展での利用可能なスペースレンタル事業も行っています。

「ルムーンラボ」ではボタニーペインティングを中心にソーシャルファーム事業を展開予定

「ソーシャルファーム」とは就労が困難な方を積極的に受け入れる社会的企業のこと。もともとはイタリアで始まり、ドイツ・イギリス・フランスなどヨーロッパを中心に広がってきました(参照元:公益財団法人東京都しごと財団より)。

実は鈴江さん、障がい者である息子さんを持つお母さん。ご自身が就労困難者としてソーシャルファームで働いた経験があったことから、目黒区で第1社目となるソーシャルファーム事業に取り組もうと決心されました。

「ソーシャルファーム」とはどのようなものか、簡単にご紹介していきましょう。

障がい者に限らず、さまざまな就労困難者を対象としている「ソーシャルファーム」

「ソーシャルファーム」が働く場を提供するのは障がい者だけではなく、高齢者・難病患者・若年性認知症の方・貧困母子世帯・引きこもり生活を続けていた方・刑務所を出た方など、普通に就職するのが難しい方々。

自律的な経済活動を行いながら、必要なサポートを受け、他の従業員と共に働くことができる職場として機能します。東京都では、「このソーシャルファーム」の創設や活動の促進に向けて取り組み中。

全国初の「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」(令和元年東京都条例第91号。以下「条例」という。)に基づき、認証基準に適合している事業所をソーシャルファームとして認証しています。

ルムーンではこの「ソーシャルファーム」の予備認証を受けており、現在準備中、という訳です。

「ソーシャルファーム」では就労困難者の自立支援を目的としている

障がい者などを対象とした福祉作業所などで、社会的に保護された環境の中で仕事を提供するという就労場所は存在してきました。
また、一定数以上の従業員を抱える事業主は、障がい者雇用枠を設けて、雇い入る義務があります(参照元:厚生労働省ホームページより)。

しかし、一般的な福祉作業所は賃金が安く、自立して生活するところまではいっていません。
また、企業が設けている障がい者雇用枠については、障がい者以外の就労困難者を受け入れてくれるケースはあまりなく、働きたいと思っていても仕事を得ることが難しい状況でした。

「ソーシャルファーム」は、事業からの収入を主な財源として運営していることが大きな特徴。
また、障がい者に限らず「就職するのが難しい人たち」を多く雇用し、他の従業員とともに、通常のビジネスとして利益を上げながら運営するという点が他の福祉作業所とは大きく異なっているといえるでしょう。

日本財団の調べによれば、何らかの理由で働きづらさを抱えていると言われている人は全国で1,500万人、およそ8人に1人いるとのこと。そうした人たちが働ける場所の選択肢として、ソーシャルファームはとても重要な役割を担うことになります。

2020年に東京都が公表した【東京都ソーシャルファームの認証及び支援に関する指針】もぜひ参考にしてください。

誰もが個性を認め合い、社会で生きがいを持てる場として活動する「ルムーンラボ」

公的扶助からこぼれてしまった就労困難者の方々。「ルムーンラボ」では、そういった方も必要なサポートを受けながら、自立して生きがいを持って働ける場を提供したいと考えています。

「障がいのある人もない人も、当たり前に共存する社会」「地域と福祉の架け橋になる」そんな想いを込めて第一歩を踏み出した「ルムーンラボ」。

私自身も就職困難者であった娘の母として、「ソーシャルファーム」のような企業が増え、どんな人でも健康で活き活きと働き、生きがいを持って暮らせる社会となるよう願っている1人です。

今後も目黒区内のマルシェやイベントで、「ルムーンラボ」の活動を目にすることがあるかと思います。皆さんもぜひ、アートを楽しみながら応援してくださいね。

■取材協力

有限会社ルムーン

【店舗概要】
ルムーンラボ
住所:東京都目黒区中目黒1-8-12 サクラハウス 3a

地域ニュースサイト号外NETライター(東京都目黒区)

コピーライターからWebライターへ転身。アロマセラピスト・整体師としても時々活動しています。趣味はカンフー(八卦掌・長拳)と古代史(関裕二先生のファン)。目黒区の魅力やおもしろいところを発信していきます。取り上げて欲しい目黒の穴場や情報もぜひお寄せください!

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