今週ロサンゼルスで人工の雨が降っていた
今週始め、水不足にあえぐカリフォルニアに大雨が降りました。3万6千世帯の1年分の水使用量に相当する雨が降ったと言われています。しかし、この雨量、ある人工的な操作が行われた結果のようです。
カルフォルニアの水事情
2011年から続く水不足の影響で、カリフォルニアは未曾有の干ばつに襲われています。木の年輪を調査した研究では1200年来の深刻さとも言われているほどです。去年4月には、史上初となる全州あげての給水制限が行われ、事態はいまだかつてない段階まで来ています。さらに二次的被害として、水不足を解決するために行われた地下水のくみ上げにより、深刻な地盤沈下も起きています。
史上最大規模のエルニーニョによって昨年から記録的な雨が降り事態は若干改善しています。ただ、これまでの水不足を取り戻すにはまだまだ十分な雨ではありません。
そこで、今週月曜日、自治体は人工降雨の生成を行ったのです。ロサンゼルスでは1950年から人工降雨を作っていますが、今回行われたのは、2002年以来のことです。
人工降雨はどうやって作るのか
雲にある細工をして、雨を取り出します。
具体的には、水蒸気と結びつきやすい性質を持つ「ヨウ化銀」を入れた溶液を燃やし、それを煙にして上空に放出して、雨を人工的に降らせるのです。人工降雨機の使用により、約15%も雨が増えるとも言われています。
ロサンゼルス当局は、去年10月にNorth American Weather Consultants社と一年で55万ドルの契約をし、人工降雨の生成計画に取り組んでいました。しかし、人工降雨はいつでもできるわけではなく、雨を降らせるのに十分な雲の存在が必要です。そして今週始めにようやく人工降雨に適した気象条件が整ったのです。
人工降雨を100年前に成功させた人
今や、日本を含め世界50カ国以上で行われるようになったと言われる人工降雨ですが、「レインメーカー」と呼ばれた、あるアメリカ人男性は、それを100年前に成功させていました。
彼の名は、チャールズ=ハットフィールド。幼い頃、農家であった彼の家は悪天候が原因で廃業、苦しい生活を送りました。しかし、チャールズは「大砲を打った後は雨が降る」という発見をし、そこからヒントを得て、4年かけ人工降雨機を製作し、雨を降らせる彼のビジネスは大成功を収めます。
しかし、1918年、大干ばつが発生していたサンディエゴに人工降雨を降らせたものの、ひと月雨が降り止まずに、ダムが決壊、大洪水が発生してしまいます。心を痛めた彼は、人工降雨の製造をやめてしまいました。
彼の雨生成方法は今も謎に包まれていますが、彼の奇抜なアイディアや功績は現代に生きていると言えるでしょう。