きょうの主な新興国経済ニュース(3月12日)
【ポーランド‐3月12日】議会、最大野党PiS提出の内閣不信任決議案を否決
ポーランド最大野党「法と正義」(PiS)が先月中旬に下院(460議席)に提出したドナルド・トゥスク首相に対する内閣不信任決議案の採決が8日に行われた。その結果、内閣不信任に賛成する投票数は137票にとどまったのに対し、反対票は236票と過半数を超え、PiSの内閣不信任決議案は否決された。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が11日に伝えた。
内閣不信任決議案の議会討論は6-8日の3日間の日程で行われ、その中で、PiSのヤロスワフ・カチンスキ党首は、トゥスク政権は高失業率に対する無策や国民医療サービスの危機的状況、国家安全保障政策の誤りなどを厳しく批判し、総辞職を求めた。また、トゥスク首相に代わる新首相に社会学専門の大学教授であるピョートル・グリンスキ氏(58)を推薦していた。
ポーランドの2月末時点の失業率は前月末の14.2%から14.4%に上昇している。これに対し労働省のヤツェク・メンチナ次官は8日の会見で、3月の失業率は季節要因によって安定するか、あるいはやや低下する可能性があり、年末時点で15%を超えることはないとの見通しを明らかにしている。
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【チェコ‐3月12日】ゼマン新大統領が就任宣誓-欧州懐疑主義に終止符か
昨年1月下旬に実施されたチェコのヴァーツラフ・クラウス大統領の任期満了に伴うチェコ大統領選挙の決選投票で勝利したミロシュ・ゼマン新大統領(68)の就任式が8日に行われた。同大統領は1990年代に社会民主党の党首として、同党の躍進に寄与し、自身も1998年から2002年まで首相に就任している。その後、2007年に社会民主党を離党し、2009年に新生党の市民権党(SPOZ)を発足させている。
プラハ・デイリー・モニター(電子版)によると、チェコ国内の多くのエコノミストは、同大統領は中道派の政治家であることから、同国経済の行方に対する影響力の行使はそれほど大きくはならないと見ている。大統領は中央銀行の総裁など幹部の任命権を持っているものの、任命にあたっては専門家の意見を聞きながら任命のプロセスも透明性の高いやり方で行っていくと発言していることや、また、幹部の任命も時間をかけて行われることから大きな変化は生じないとし、金融市場で大きな混乱が起こることはないと見られている。
クラウス大統領は欧州懐疑派として知られ、EU(欧州連合)の財政統合条約への署名を拒否したが、新大統領は欧州統合寄りに方向転換を図ると見られており、地元メディアは新大統領の就任を受けて、「大統領府のユーロ懐疑主義の終焉」と評している。
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【インドネシア‐3月12日】大型トラック需要、今後2年間で急増する見通し―調査
欧州最大の経営戦略コンサルティング会社であるドイツのローランド・ベルガーは、インドネシアで今後2年間にわたって、車両総重量6トン超の大型トラックに対する需要が急増すると予想している。ジャカルタ・グローブ(電子版)が11日に伝えた。
同社のマネージング・パートナー、ヨースト・ゲギナト氏(東南アジア担当)は、インドネシア政府による高速道路網の拡大など交通インフラの整備が進むことや活発な国内需要、運送業界の新車両への入れ替え時期に当たることなどから、今後2年間で大型トラックの販売額は昨年の25億ドル(約2400億円)から30億ドル(約2900億円)に拡大すると予想しているという。
政府は2011年5月に発表した15カ年経済成長促進・拡大基本計画(MP3EI)で、道路や港湾、橋梁、空港などのインフラ整備に4000兆ルピア(約40兆円)を投資する方針を明らかにしている。
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【インドネシア‐3月12日】農業省、持続可能なパーム油国内規定ISPO取得を義務化
インドネシア農業省のガマール・ナシール農園総局長は先週、国内のパーム油生産会社に対し、2014年までに政府が独自に環境保護基準を定めた「持続可能なパーム油のインドネシア国内規定」(ISPO)を取得しない場合にはパーム油の製造認可を取り消す方向で検討していることを明らかにした。地元紙インベスター・デイリー(電子版)などが伝えた。
政府はパーム油の生産による森林やピート(泥炭)湿地林の環境破壊を防ぐため、独自の環境保護基準を定めたISPOを数年前に導入している。現在は、「持続可能なパーム油のための円卓会議」(RSPO)が定めた環境保護基準であるCSPOが世界的に最も普及しているが、ISPOはそれよりも規制が緩やかで1ヘクタール当たりの製造認可コストも安価となっている。インドネシアは2011年にRSPOから脱退している。
国内ではすでにインドネシア油脂大手ムシム・マスなどパーム油生産企業10社がISPOを取得している。
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【ベトナム‐3月12日】政府、国営造船ビナシンの暫定CEOにブー・アイン・トゥアン氏を指名
ベトナム政府はこのほど、経営難に陥っているベトナム国営造船最大手ビナシンの暫定CEO(最高経営責任者)にブー・アイン・トゥアン氏を指名した。同氏はまだ40歳という若さで、国民経済大学出身。前職はビナシン傘下のファルン造船所の社長を務めていた。ベトナム通信(電子版)が11日に伝えた。
ビナシンは1996年に設立されたが、2010年に経営不振から41億1000万ドル(約3950億円)もの巨額の債務を抱えて破たん寸前の状態となり、2012年3月には同社のファム・タン・ビン前会長ら幹部9人はハイフォン地方裁判所から9100億ドン(約40億円)の損失を発生した責任を問われ、3-20年の禁固刑を言い渡されている。
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【ブラジル‐3月12日】中銀週報:2013年末時点の政策金利見通し、8%に引き上げ
ブラジル中央銀行が11日に発表した先週の経済週報「フォーカス・ブルティン」によると、同中銀の委託を受けた民間アナリストが予想した同国の2013年末時点の政策金利(翌日物金利誘導目標)の見通しは、前週予想の7.25%から8%に引き上げられた。予想変更は17週ぶり。また、2014年末時点の政策金利は従来予想の8.25%に据え置かれた。据え置きは11週連続。
中央銀行(BCB)は6日の金融政策決定委員会で、政策金利(セリック)である翌日物金利誘導目標を7.25%に維持することを全員一致で決めたが、会合後に発表された声明文で「中銀は次回会合時までマクロ経済のシナリオがどう推移するかを見てから、次の金融政策の戦略を定義する」とし、前回会合の声明文に見られた「十分に長期にわたって金融状況を安定させることがインフレを物価目標に近づける上で最も適切な戦略」との文言が削除されたことから、アナリストは、中銀はインフレ上昇リスクが高まったことから、早ければ次回会合時(4月16-17日)にも利上げに転換する可能性を示唆したと見ていた。
また、2013年実質GDP(国内総生産)伸び率見通しは従来(前週)予想の前年比3.09%増から3.1%増へ上方修正された。1カ月前の見通し予想は3.09%増だった。
2014年のGDP伸び率見通しも従来予想の前年比3.65%増から3.5%増に下方修正された。1カ月前の見通し予想は3.8%増だった。
一方、IPCA(拡大消費者物価指数)で見たインフレ見通しは、2013年は前週予想の前年比5.7%上昇から5.82%上昇に下方修正(悪化方向)された。下方修正は2週連続。1カ月前の予想は5.71%上昇だった。また、2014年の見通しは5.5%上昇で変わらずとなった。これで据え置きは17週連続で、1カ月前の予想も5.5%上昇だった。
為替レートの見通しについては、2013年末時点のレアルの対ドルレート(中央値)は、従来予想の1ドル=2.00レアルに据え置かれた。据え置きは2週連続。2014年末時点の見通しは従来予想の2.05レアルから2.06レアルに引き上げられた。