コロナウイルス特許の陰謀論について
社会的不安があるときにはそれに乗じたデマ、フェイクニュース、陰謀論が拡散するのはよくあることです。今回のコロナウイルスについても様々な陰謀論が聞かれるようです。これについては、既に、平和博氏が詳細なまとめ記事を書かれています。たいへんよくまとまっているので、ここでは繰り返しませんが、コロナウイルス特許に関する陰謀論についてちょっとだけ追加します。
上記記事には以下の記載があります。
この特許が存在している(いた)のは事実です。特許番号はUS7220852、発明の名称は”Coronavirus isolated from humans”です。出願人はCDC(Centers for Disease Control and Prevention)で、その後に米国政府に譲渡されています(陰謀論者が好きそうな展開です)。出願日は2004年4月12日です。なお、ウイルスの種類としては今回流行のウイルスではなく、2003年のSARSの際のウイルスだそうです。
そもそも、ウイルスは特許になるのでしょうか?既に世の中に存在している微生物でもそれを隔離して特定することができれば、特許の対象になります。明細書上に遺伝子配列を記載して内容を特定します。言うまでもなくワクチン開発等、産業上の利用の可能性があるので、感染症のウイルスだから特許化できないということはありません。
では、「特許が(1月)22日、今日、期限切れとなった」の部分はどうでしょうか?これは、Google Patentの仕様から生じる勘違いです。
おそらくこの投稿主は以下の画像(Google Patentsの表示の一部)の赤丸部分を見たのでしょう。この部分はダイナミックな表示になっており、<今日の日付>-<今日時点でのステータス>が表示されます。以下の画像で2020-01-27のステータスが表示されているのは、私が1月27日に閲覧したからです。ステータスは料金未払いによる失効ですが、実際に失効したのは2019年6月24日です。1月22日に閲覧すれば「1月22日時点では失効中です」というステータスになります。これを知らない陰謀論好きの人は「今日失効!偶然とは思えない!何かの陰謀ガー」という話になってしまうわけです。