アメリカ軍のF35B戦闘機、海自護衛艦「かが」での初めての着艦試験に成功――軽空母化への大きな一歩
防衛省は10月21日、アメリカ西海岸のカリフォルニア州サンディエゴ沖でアメリカ軍のステルス戦闘機F35Bが海上自衛隊のいずも型護衛艦「かが」への初めての着艦に成功したとSNSのX(旧ツイッター)で発表した。2021年10月にF35Bの発着艦試験に成功した「いずも」に続き、いずも型護衛艦2隻の軽空母化に向けた歴史的な大きな一歩を踏んだことになる。
防衛省によると、F35Bは現地時間の20日午後3時ごろ、アメリカ海軍とアメリカ海兵隊の支援を得て、大規模な改造工事で既に艦首が矩形(くけい)となった「かが」の飛行甲板への着艦に初成功した。F35Bの垂直尾翼には「かが」のエンブレムが描かれた。
海上幕僚監部広報室によると、今回の試験には、アメリカ海軍航空システム司令部(NAVAIR)最大の飛行試験部隊であるVX23に所属するF35Bが参加している。このアメリカ海軍の試験部隊のVX23は、アメリカ東部メリーランド州のパタクセント・リバー海軍航空基地を拠点としている。
同航空基地のF35ライトニングII統合試験部隊の広報担当官であるマイケル・ランド氏は21日付のプレスリリースで、「この試験は、同盟国同士の連携作戦能力向上にも道を開く」と強調した。
「かが」艦長の竹内周作1等海佐は「今回の試験は日本の防衛力強化に不可欠で、極めて重要です。ITF(Integrated Test Force=統合試験部隊)とともに良い試験結果が出るよう全力を尽くします」と述べた。
さらに「今回の試験は海上自衛隊の能力を高めるだけではありません。日米間の相互運用性を向上させ、日米同盟の抑止力と対処力を強化し、インド太平洋地域の平和と安定に貢献します」と意義を強調した。
アメリカ軍側のプレスリリースによると、1機のF35BがVX23から派遣され、サンディエゴで「かが」に搭乗したF35パックスリバー統合試験部隊(Pax ITF)の試験チームに加わる。Pax ITFチームにはF35の試験パイロットのほか、航空機整備士、飛行試験技師、飛行試験制御技師、フライトデッキ要員、物流管理担当者などが含まれており、アメリカ海軍と海兵隊の支援を受けている。
Pax ITFチームリーダーのセス・ディオン氏は「JSかがに搭載されたF35Bの互換性を試験するこの共同作業に参加できることを誇りに思います」「私たちのチームはこの任務のために綿密に準備しており、共通の目標を達成し、パートナーシップを強化するために同盟国と緊密に協力することに尽力しています」と述べた。
アメリカ軍によると、海上試験は約3週間かかる予定だ。「かが」は9月17日、サンディエゴ沖に向けて母港の海自呉基地を出発した。
海幕広報室によると、今回「かが」への着艦に成功したF35Bが具体的にどこから離陸したかについての情報は現時点では入っていないという。
2021年10月に四国沖で実施された「いずも」でのF35Bの発着艦試験には、アメリカ海兵隊岩国航空基地に属する2機のF35Bが参加した。しかし、アメリカ軍側の発表によると、今回のサンディエゴ沖での着艦試験には1機のみが参加した。
VX23は昨年10月から11月初めにかけて、アメリカ東海岸沖で英海軍の空母プリンス・オブ・ウェールズ(R09)艦上でのF35Bの運用評価試験も実施している。
VX23のホームページによると、F/A-18A-Dホーネット、F/A-18E/Fスーパーホーネット、EA-18Gグラウラー、T-45Cゴスホーク、F35BとF35Cの各軍用機のメンテナンス、テストの計画と実施、安全監視とサポートを行っている。
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