WBC挑戦者決定戦に出場する筈だった同3位
当初、4冠統一ウエルター級タイトルマッチの前座に組まれていたWBCスーパーウエルター級挑戦者決定戦。20戦全勝16KOでWBC同級3位にランクされるヘスス・ラモス・ジュニア(22)と、7位のスペイン人、セルヒオ・ガルシア(30)が戦う予定だった。
だが、ラモスの拳の負傷によりガルシアの対戦相手が変わった。ラモスは欠場したが、実際のところ、同ファイトは、あくまでもWBCスーパーウエルター級3位が主役であった。
蓋を開けてみれば7位のスペイン人は咬ませ犬であり、まったく見せ場を作れないまま3ラウンドにKOされた。今回もラモスには、安牌が宛がわれていたのだ。
実父であるヘスス・ラモス・シニアがトレーナーを務め、WBCウエルター級11位の叔父(シニアの弟)アベルからも数々の助言を受けるサウスポー。しかし、PBCが大事に育ててきたからこその20連勝で、骨のある相手との対戦は無し。
物心ついた時からボクシンググローブを嵌め、ガレージでトレーニングする叔父の背を追いかけながら成長したヘスス・ラモス・ジュニア。15歳頃から叔父とスパーリングを重ね、2013年と2014年にジュニア・オリンピックで優勝。そんなジュニアはPBCのお眼鏡にかなった。
だが、PBCの過保護なマッチメイクで、まだ実力の程は分からない。
世界3位はケガをする前に言っていた。
「これは僕にとって大きなチャンスだ。セルヒオ・ガルシア戦をモノにすれば、12ラウンドを戦い抜ける気がする。それに、スーパーウエルター級のトップ10に入れると思う。自分はトップクラスの選手たちを、いい内容で倒してきた。この試合だって勝たなければならない。
目標はノックアウトだけど、今の僕はもっと成熟したファイターだ。自分にプレッシャーはかけない。ただ試合に出てベストを尽くすだけ。毎日ハードワークしているし、その成果を示さなければならない。チャンスの際にKOする方法は知っているけどね。
エキサイティングな試合になるだろう。ガルシアは前に出てくるファイターで、とにかくアグレッシブだ。選手は試合ごとに成長していく。僕もそうだ。自分のミスも認めているし、伸びている自分を見せたい。
実力を疑問視されることがモチベーションアップに繋がる。まだ僕がこの階級のトップだと思われていないのは、タイトルを獲得していないからだ。だから激しい練習をする必要があるんだ」
試合が決まった時点で、世界7位のセルヒオ・ガルシアの戦績は、34勝(14KO)2敗だった。7月29日に敗れたことで、ここ4試合で1勝3敗と斬られ役ぶりを十二分に見せている。
それにしても、PBCは美味しい相手を見付けたものだ。ケガの回復後もこの路線を続けるのか。ラモスは一体、どんなキャリアを歩むのか。