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リング禍を乗り越え、デビュー以来13連勝を飾ったチャールズ・コンウェル

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
リオ五輪には米国ミドル級代表として出場し、初戦で敗退した(写真:ロイター/アフロ)

 米国ミドル級代表選手としてリオ五輪に出場したチャールズ・コンウェル。2017年4月21日のデビュー以来、今日までに13連勝(10KO)を飾り、世界タイトルが射程圏内に入った感がある。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 10月7日に行われた直近のファイトも、ウェンディ・トゥサイント[戦績:12勝(5KO)1敗]を第9ラウンド2分42秒で下した。

 とはいえ、ハイチ出身でニューヨーク州ハンティントンに居を構え、スクールバスの運転手、ボランティアの消防士として働くトゥサイントも粘りを見せた。8ラウンドのコンウェルは劣勢に立たされた。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 身長175センチと、スーパーウエルター級としては背が低いコンウェルだが、パワーはある。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 7日のファイトも右アッパーをトゥサイントの顎にクリーンヒットし、試合を決め、自身の持つUSBAスーパーウエルター級タイトル2度目の防衛に成功。

 同タイトルは、現WBA/WBC/IBF同級王者であるジャーメル・チャーロも巻いている。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 試合後、コンウェルは言った。

 「まぁ、合格点かな。いい試合が出来たとは思う。でも、反省点もあるね。毎ラウンド、トゥサイントを倒そうと考えていた。もっとボディを打たないと。今日の俺のパフォーマンスは、Cプラスってところだ」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 「自分は、もっといい仕事が出来ると思っている。直ぐにジムに戻って、ハードな練習を続けるよ。俺の目標は世界王者だからね」

 村田とスパーする在りし日のパトリック・デイ 撮影:山口裕朗
 村田とスパーする在りし日のパトリック・デイ 撮影:山口裕朗

 2019年10月12日、コンウェルはUSBAタイトル初防衛戦でパトリック・デイと戦った。デイは村田諒太のスパーリングパートナーとして、来日した選手である。

 コンウェルが3度ダウンを奪い、最終10ラウンド1分46秒でKOを飾る。

 試合後、脳にダメージを負ったデイはストレッチャーに乗せられて病院に運ばれた。緊急手術を受けたが、4日後に還らぬ人となった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 デイの思いも胸に、コンウェルは世界タイトルを目指す。

 「俺は誰とでも戦う。正直な話、次戦は元世界王者とか、世界タイトルに挑んだ選手がいい。世界戦に繋がる試合にしたい」

 ミシガン州デトロイトで生を享け、現在はオハイオ州クリーブランドで腕を磨く22歳のコンウェル。どんなキャリアを歩んでいくか。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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