週末にかけて北日本は冬の嵐 沖縄の南を通過した台風14号は低気圧となってスポーツの日に西日本接近か
記録的な猛暑の終焉
令和5年(2023年)は、9月まで記録的な暑さが続きました。
「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句があります。
厳しい暑さも彼岸の頃には和らぐという意味ですが、彼岸の入りとなった9月20日でも厳しい暑さが続いていました。
このため、東京では最高気温が35度以上の猛暑日の観測日数が22日と、これまでの記録である16日を大きく上回っているなど、各地で暑さに関する記録が相次ぎました(表)。
しかし、9月23日の彼岸の中日(秋分の日)の頃には最高気温が30度以上の真夏日や、最高気温が25度以上の夏日を観測した地点数は大きく減り、猛暑日もほとんど観測しなくなりました。
そして、10月に入ると、真夏日や夏日の観測地点数は大きく減り、夏日を観測した地点数は全国の半分以下になっています。
10月4日に真夏日を観測したのは38地点(気温を観測している全国914地点の約4パーセント)、夏日を観測したのは363地点(約40パーセント)でした(図1)。
ようやく記録的な暑さも終わり、10月4日には旭川地方気象台が大雪山系旭岳の初冠雪を観測しました。
平年より9日遅い初冠雪の観測で、ようやく北日本は秋の気配となりました。
冬型の気圧配置
10月5日は、日本海で発生した低気圧が発達しながら北海道に進み、前線が北日本から東日本を通過する見込みです(図2)。
低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、北日本を中心に大気の状態が非常に不安定となり、落雷や竜巻などの激しい突風に注意が必要です。
また、上空約5500メートルでは氷点下21度以下の寒気が北日本を通過する見込みです(図3)。
真冬の寒気に比べれば、強いものではありませんが、まだ夏の暖気が残っているところに、この寒気南下です。
このため低気圧は急速に発達し、西高東低の冬型の気圧配置となって等圧線の間隔が狭くなります。
北日本では、5日夜から6日にかけて非常に強い風が吹き、海上は大しけやしけとなる所がありますので、暴風や高波に警戒してください。
大雪山系旭岳に続いて、各地で初冠雪などの冬の便りが相次ぐかもしれません。
ただ、冬型の気圧配置は長続きせず、三連休初日の10月7日の土曜日には、冬型の気圧配置はゆるんできます。
北日本の天気は回復してきますが、三連休の最終日、10月9日のスポーツの日は、前線を伴った低気圧によって太平洋側の地方を中心に雨の所が多くなる見込みです(図4)。
この前線を伴った低気圧は、現在、沖縄の南を西進中の台風14号と関係があります。
台風14号の動向
大型で非常に強い台風14号が沖縄の南を西に進み、10月6日には台湾海峡に進む見込みです(図5)。
沖縄県先島諸島の沿岸の海域ではうねりを伴い大しけとなっていますが、八重山地方では5日昼前にかけて高波に警戒してください。
台風が発達する目安の海面水温は27度といわれており、台風14号は海面水温が29度位の海域を進む見込みです。
しかし、台湾の高い山脈の影響などで勢力を落とし、三連休中日の10月8日には台湾海峡で熱帯低気圧に変わる見込みです。
ただ、これは、風が台風基準の17.2メートル以下になるということであり、強い雨を伴っていることには変わりがありません。
台風から変わった熱帯低気圧は、向きを東寄りに変え、温帯低気圧に変わりながら東シナ海へ進む予報となっています。
そして、台風14号の南東側に散在する発達した積乱雲の塊も北上してくる見込みです(タイトル画像)。
つまり、10月9日のスポーツの日の雨は、台風14号が持ち込んだ水蒸気、北上してくる積乱雲の塊による水蒸気も加わって大雨の可能性もありますので、最新の気象情報に注意が必要です。
10月も台風シーズン
台風の統計がある昭和26年(1951年)から令和4年(2022年)までに212個の台風が上陸していますが、上陸数が一番多いのは8月で、9月、7月の順におおくなっています(図6)。
しかし、平成13年(2001年)以降の台風上陸数をみると、少し様相が違います。
9月に上陸した台風の数が、ほぼ8月に上陸した台風の数に近くなっていますし、10月に上陸した台風の数は、7月並みの上陸数となっています。
つまり、秋に上陸する台風が増えているのです。
台風14号は上陸しませんでしたが、台風シーズンは10月までですので、引き続き台風に警戒が必要です。
タイトル画像、図3、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2の出典:気象庁ホームページ。
図6の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。
表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。