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プロ公式戦の試合中にマウンドで抱き合ったのは父と息子。なぜ?

室井昌也韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表
カン・テギョン投手とカン・イングォンコーチの父子(写真:NCダイノス)

この写真は8月15日の韓国KBOリーグ、ハンファイーグルス-NCダイノス(テジョン)での7回裏の一場面を写したもの。

右のマスク姿の男性はNCのヘッドコーチ、カン・イングォン(49)、左はプロ2年目20歳の投手カン・テギョン。この2人は実の親子だ。

カン・テギョンは8月13日に育成選手から正式登録となり、この日がプロ初登板初先発。6回を被安打4、失点2と好投し、7回裏の先頭打者にヒットを許したところで、NCベンチは2番手投手への交代を決めた。

投手交代時、通常であればピッチングコーチがマウンドに向かう。しかしこの時ベンチから出てきたのは捕手出身のヘッドコーチだった。

球審からボールを受け取ったヘッドコーチ、いや父のイングォンはマウンドの息子・テギョンに右手を伸ばし握手。息子は頭を下げ帽子を取り、そして写真のように抱き合った。息子は少し照れくさそうな表情を見せて、もう一度お辞儀をしてベンチへと下がった。

抱き合う前、握手をするカン・テギョン投手とカン・イングォンコーチの父子(写真:NCダイノス)
抱き合う前、握手をするカン・テギョン投手とカン・イングォンコーチの父子(写真:NCダイノス)

このシーンについて後日、NCのイ・ドンウク監督(47)は記者陣にこう説明している。

「私がこれまで現役、指導者生活を送ってきた中で、試合で投げているピッチャーとその父親が同じチームにいたことは一度もなかった。ヘッドコーチは当初、マウンドに行くことを拒みましたが、『人生で一度しかないことだから、行って温かく抱きしめてはどうですか?』と勧めました」

初登板での好投、そして監督のコーチへの気遣いが生んだ、マウンドでの父子の抱擁だった。

韓国球界の「父子鷹」で最も有名なのは中日でもプレーしたLGイ・ジョンボムコーチ(51)と、東京五輪韓国代表としても活躍したキウムのイ・ジョンフ外野手(23)。

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また同じチームに所属する父子ではトゥサンのパク・チョルウ2軍監督(57)とパク・セヒョク捕手(31)がいる。

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韓国プロ野球の伝え手/ストライク・ゾーン代表

2002年から韓国プロ野球の取材を行う「韓国プロ野球の伝え手」。編著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(韓国野球委員会、韓国プロ野球選手協会承認)を04年から毎年発行し、取材成果や韓国球界とのつながりは日本の各球団や放送局でも反映されている。その活動範囲は番組出演、コーディネートと多岐に渡る。スポニチアネックスで連載、韓国では06年からスポーツ朝鮮で韓国語コラムを連載。ラジオ「室井昌也 ボクとあなたの好奇心」(FM那覇)出演中。新刊「沖縄のスーパー お買い物ガイドブック」。72年東京生まれ、日本大学芸術学部演劇学科中退。ストライク・ゾーン代表。KBOリーグ取材記者(スポーツ朝鮮所属)。

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