天気予報は役立っているのか?
天気予報はどのくらい役に立っているのか?
世界気象機関がユーザー指向の新しい予報検証方法を募集している。その背景には、気象情報の品質を検証、評価していない現状がある。高度な気象予測を追及するあまり、利用者の立場に立った天気予報が軽んじられている。
天気予報に満足していますか?
気象庁の「気象情報等の利活用に関する調査」によると、短期予報(今日、明日、明後日の天気予報)の満足度は94%と非常に高くなりました。天気予報が生活に必要な情報として定着していることがうかがえます。
一方、時間ごとの詳しい天気予報や天気分布予報は、利用する必要がない、内容がわかりにくいなどの回答があり、必ずしも利用者の立場に立った気象情報ばかりではありません。
実際、気象情報は日々の天気予報のほかに、大雨情報、台風情報、竜巻注意情報、記録的短時間大雨情報、高温注意情報など多岐に渡り、年々、複雑になっています。天気予報の番組を担当している私でさえ、すべてを把握していると言い切れる自信はないです。
これらの気象情報がどのくらい利用されて、どのくらい役に立っているのか、調査された例は少なく、現状は気象情報がきちんと検証、評価されているとは言い難い。今の気象情報は発表する側から受け取る側へ一方的に流れ、利用者本位ではないと思います。
利用者の立場に立った気象情報にするために
気象情報の検証、評価が遅れているのは日本だけではありません。世界的にみて、取り組みが進んでいるのは英気象庁など一部に限られています。
利用者の立場に立った気象情報を推進するために、国連の専門機関である世界気象機関はユーザー指向の新しい予報検証手法の募集を始めました。まずは、どのくらい利用者に役に立っているのかを知ることから始めようという考えです。
ニーズの高い情報だからこそ、きちんと検証、評価する。当たり前のことだけれど、これまで行われていませんでした。今回の募集をみて、複雑化するばかりの日本の気象情報に疑問を持ちました。
【参考資料】
日本気象学会:世界気象機関がユーザー指向の新しい予報検証方法を募集,天気,2016年6月号
世界気象機関(WMO):Challenge to Develop and Demonstrate the Best New User-Oriented Forecast Verification Metric
気象庁:気象情報等の利活用に関する調査結果の概要 ,平成27年3月24日