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悲しみの心理学:悪いことだけでなく意味がある

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

あの激しい残暑も過ぎ去り、秋がやってきました。秋は、どこか物悲しい。そこで今日は、しっとりと、悲しみについて考えたいと思います。悲しみは悪いことばかりではなく、悲しみにも役割があるのです。

■カナシミ

2015年に公開された、ディズニー/ピクサー長編アニメーション20周年記念作品「インサイド・ヘッド」。一人の女の子ライリーの頭の中(インサイド・ヘッド)が、物語の舞台です。

「あたらしい命とともに、感情も生まれるの」。

最初は、ヨロコビとカナシミの二つの感情です。心理学的にいえば、快不快の感情。生まれたての赤ん坊には、プラスかマイナスか、快か不快の感情しかありません。

しかしすぐに、複雑な感情が生まれます。映画では、5つの感情が生まれ、この感情たちが頭の中の機械を操作することで、複雑な感情や行動が生まれる仕組みになっています。5つの感情には、それぞれ役割があります。

ヨロコビは、楽しい気持ちにさせ、積極的な行動を生みます。

イカリは、戦う時に必要です。

ムカムカは、嫌なものを遠ざけるために必要です。イカリを挑発するのも得意です。

ビビリは、不安や心配によって、慎重に危険を避けるために必要です。

カナシミの役割は、映画の中では秘密です。

映画の中で、カナシミは「私の役割は、わからないの」と悩みます。他の感情たちのようにライリーの役には立てないと落ち込むのです。

でも、悲しみなんてないほうがよいでしょうか。アニメ映画の中でも、カナシミの大切な役割が描かれることになりますが、ここでは悲しみの仕組み、悲しみの役割について、心理学から考えてみましょう。

映画「インサイド・ヘッド」で学ぶ感情の心理学:これはあなたの物語

■悲しみとは

悲しみは辛く苦しい感情です。けれども、悲しみをよけて通るわけにはいきません。人生に悲しみはつきものです。人生は、悲しみにあふれているかもしれません。

ある心理学者は、悲しみを生み出す最も基本的な原因は、「分離」「別れ」だと語っています。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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