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間もなくゴング! 21戦全勝15KOの世界1位vs.元WBC王者

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
No Limit Boxing

 オーストラリア・シドニー。世界で最も有名で美しい海のひとつと呼ばれるボンダイビーチで3日前に、WBOスーパーウエルター級の指名挑戦者ティム・チュー(28)と、元WBC同級チャンピオンであるトニー・ハリソン(32)の公開メディアワークアウトが行われた。

 ミシガン州デトロイト出身のハリソンも、無敗のホームタウンヒーローであるチューも、燦々と降り注ぐ太陽の下、リラックスした様子を見せた。彼らは空位のWBO暫定154パウンド王座を懸け、今夜対決する。

 両者は、前日計量を共に153.5パウンドでパス。

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 試合直前の両者のコメントをご紹介しよう。

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 WBO3位のハリソンは言った。

 「今日はこれくらいしか動かないけど、いいだろう。あんまりファンを熱くさせたくはなかったんだ、わかるよな?

 みんな僕が話すアメリカン・イングリッシュのアクセントが好きみたいだね。オーストラリアの人たちは僕に合わせるけど、こっちは合わせない済んでいる。僕はオーストラリアが大好きだ。試合後、2日ほど余分に滞在しようと思っている。

 スーパーウエルター級は、ボクシング界に欠かせない。最高の選手が最高の戦いをするんだから。

 2~3年後にはチューは世界タイトルだけ戦う選手になっているんじゃないか。

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 僕のコンディションは、素晴らしいよ。過去の試合では、162~163パウンドでトレーニングしていた。今回もそのくらいだったかな。身体だけでなく、精神的にも最高の気分だ。チューは僕を痩せているとか、ひ弱に見えるとか言っているが、どうだかね。まぁ、こうして裸で記者会見場に来たからさ。これから触れるものをイメージしてほしい。

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 自分は既に、この試合がどうなるかをイメージしている。どんな展開になるかは自分でも分かっているし、世界中も理解しているんじゃないか。僕は、予想外のことになると信じる。僕ら2人は戦争を見せるだろうね」

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 チューも話した。

 「これはビッグイベントだよ。ボクシング界全体が我々の試合に関する話題で持ちきりさ。つまり、俺たちは正しいことをしているってこと。共にトップコンテンダーであり、それがスターへの道に繋がる。自分はいつも、ビッグネームと戦うことを希望してきた。そして今、やるべきファイトを迎えるって訳さ。

 ハリソンはペラペラとよく喋るが、俺の最初のジャブを受ければ、全てが変わるだろう。俺の実力を理解するだろう。

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 今、プレッシャーを感じている。俺には戦う誰かが必要なんだ。あそこに水があるでしょう。あの水がこのリングにある。俺はハリソンを溺れさせ、命を吸い取るよ。

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 自分の力を発揮するために、ハリソンは必要な相手だ。いつもとは違う俺を見せることが出来ると思う。今回、350ラウンドのスパーリングを行った。かなりのラウンド数だろう? 絶好調だ。ラウンドを重ねるに連れ、エネルギーが湧いてくるんだよ。

 トニーの過去から述べることはしない。今の彼と、昔の彼は違うからだ。彼はもっと良くなっているかもしれないし、悪くなっているかもしれない。終盤の第9ラウンドから第12ラウンドまでフル回転するかもしれないし、どん底に落ち込んでいるかもしれない。誰にもわからないさ」

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 21戦全勝15KOの28歳、チューが有利という見方が圧倒的だ。29勝(21KO)3敗の32歳は、元チャンピオンの意地を見せられるか。間もなくゴングだ。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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