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『ファブリックの女王』に見る、悩める「お仕事女子」への最高のアドバイス

渥美志保映画ライター

「マリメッコ」はフィンランドのテキスタイルブランド。誰もが一度は目にしたことがピンクの大きく大胆な花柄「ウニッコ」を始め、そのデザインは斬新なデザインとカラフルな色遣いで、布製品や生活雑貨などで世界的にも大人気のブランドです。

今週末公開の『ファブリックの女王』は、その女性創業者アルミ・ラティアの半生をモチーフに作られた作品。「マリメッコ」の生地とその使い方を世に初めて紹介するショーの場面なんて、もうめちゃくちゃ可愛くて楽しくて、あああ、マリメッコが欲しい!となっちゃうに違いありません。

エネルギッシュなお仕事女子、アルミさまは真ん中の人
エネルギッシュなお仕事女子、アルミさまは真ん中の人

女性が保守の象徴としての黒っぽい服ばかり着ていたという第二次世界大戦後直後のフィンランドで、その登場は女性にとって衝撃的だっただろうし、ものすごく嬉しかったんじゃないかなーと思います。まあそんな主張を持ち、経済的に苦しみながらもそれを押し通した女性ですから、アルミ、一筋縄じゃ行きません。好きなものは好き、嫌なものは嫌、自由な発想と才能とエネルギーにあふれ――まあそれが周囲を振り回してしまう、ちょっとだけ困った女王様でもあります。

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実はこの映画、少し変わった作りで、映画自体の主人公はアルミではなく、その半生の舞台化でアルミを演じることになった女優マリア。どうやら少し盛りを過ぎた女優で、久々の主演にかなりのプレッシャーを感じているようです。「アルミとは似てないし、同じ時代も生きてないけど」という意地悪なマスコミの取材を苦笑いでかわしますが、実はアルミが全然理解できず始終悩んでいます。その姿が、段々とアルミに重なってゆくのがこの作品のミソ。虚勢を張り、周囲には徹底して「強気な女」を演じているアルミもまた、一人きりの場面では「どうしたらいいかわからない!」と苦悩しているんです。「お仕事女子」は、世界的なブランドをヒットさせ、女性をファッションで解放したという偉業を成し遂げた人でさえ、悩んでいたんだなとちょっとホッとします。

女性らしからぬ剛腕で敵だらけ、それに苦悩しつつも、孤独を恐れなかった人
女性らしからぬ剛腕で敵だらけ、それに苦悩しつつも、孤独を恐れなかった人

でももっと秀逸なのは、悩んで悩んで悩んで悩んだ末に、アルミとマリア、二人がに二人が揃って「とりあえず終わらせよ!」と吹っ切るところ。悩んでばかりいても前には進まない、考えるのをやめてまずは目の前のことを終わらせてみる。これこそが「お仕事女子」にとって、最高の金言だと思います。

『ファブリックの女王』

5月14日(土)公開

公式サイト

(C) Bufo Ltd 2015

映画ライター

TVドラマ脚本家を経てライターへ。映画、ドラマ、書籍を中心にカルチャー、社会全般のインタビュー、ライティング、コラムなどを手がける。mi-molle、ELLE Japon、Ginger、コスモポリタン日本版、現代ビジネス、デイリー新潮、女性の広場など、紙媒体、web媒体に幅広く執筆。特に韓国の映画、ドラマに多く取材し、釜山国際映画祭には20年以上足を運ぶ。韓国ドラマのポッドキャスト『ハマる韓ドラ』、著書に『大人もハマる韓国ドラマ 推しの50本』。お仕事の依頼は、フェイスブックまでご連絡下さい。

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