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どうしてこんな値段に!冬のイチゴはなぜ高いのか。

グロ子園芸愛好家 / FPライター

こんにちは、ファイナンシャルプランナーの園芸愛好家グロ子です。
今回は初夏のイチゴの約三倍、冬のイチゴ高値の謎に迫ります。

イチゴ農家、プライベートジェットでも買う気か!

果物のバリエーションが乏しい年末年始、売り場でひときわ赤く輝くイチゴのパックを見て思わずレジカゴに入れ、値段を確認して卒倒しそうになりませんでした?

私はなりました。思わずデカイ声出しちゃいました。

でも冷静に考えると「そう、この値段になるよなぁ」とわかります。
おとなしく沈黙を守ってらっしゃるイチゴ農家になり替わり、私が冬のイチゴはなぜ高いかを説明したいと思います。

二度見するよね
二度見するよね

冬のイチゴ栽培には高価な設備が必要

イチゴは日照時間が短く、気温が低めの時に蕾をつくります。
その後日照時間が長くなり気温が上がるにつれて花を咲かせ、結実し、実を赤くして5月~6月に収穫期を迎えます。

つまりイチゴは春から初夏が本来のシーズン。
これを真逆の時期に、なんとか温室で再現して収穫するのが冬のイチゴ栽培です。
外は雪がちらついていても、イチゴにはハウス内で人工的な春から初夏を体験してもらって実をつけさせるのです。

イチゴ栽培のハウスは、24時間、温度だけでなく明るさも管理されています。
科学技術の進歩ってすごいねって話ですが、それにはめちゃくちゃ設備にお金がかかる。
まず冬にイチゴ栽培をするために、多額の初期投資がおこなわれているのです。

冬のイチゴ栽培には暖房費が必要

イチゴ栽培のための設備を整えても、稼働させるには電気と重油や灯油が必要となります。
春から初夏を人工的に作り出すにはガンガン暖房をいれなくてはお話になりません。
円安で重油も灯油も電気代も値上がりしています。
でも「暖房費高いから設定温度低めで我慢しよっか?」はイチゴには通用しません。
温度を下げ明るさを減らせば、イチゴは不貞腐れて赤くなってくれないのです。

12月にイチゴのハウスに入れてもらったのですが、内部はまさしく初夏!
でもこの環境を24時間作り出す燃料コストを考えるとゾッとしました。

冬のイチゴにはミツバチが必要

ミツバチ?
これを最初聞いた時はどういうことやねんと思いました。
冬にイチゴを栽培しようと思ったら人間だけではダメ、ミツバチにも働いてもらわなくてはいけないのです。

イチゴのハウス内は春。でも外は冬。
当然ミツバチが飛ぶ季節ではなく、イチゴの花が咲いても受粉しません。
イチゴの花は可愛いのですが、その後イチゴになってもらわなければ絵にかいた餅です。

イチゴの受粉は筆でもできます。
でも数を考えると、人がやっていては時間とコストがかかり過ぎ。
養蜂場からミツバチを借りてハウス内に離し、受粉をしてもらうのです。
養蜂場がミツバチを育てるコストも上がっているので、レンタル代もそれにつれて高くなっているそうです。

家庭菜園ならこれでいいけど…
家庭菜園ならこれでいいけど…

イチゴは売り場での廃棄が多い

美味しく栄養価も高いイチゴの唯一の欠点は日持ちしないこと。

流通経路は低温管理が徹底されていますが、一旦店頭にだすと2日以上置かれることはまずありません。
冬のイチゴは食感が硬めのものが多いのですが、生鮮食品とされるために前日のものは値下げされ、その翌日には廃棄されます。
生鮮食品の衛生管理上、日にちの経ったイチゴの廃棄は避けられません。
イチゴには廃棄分の値段も加算しておかなくては採算が取れなくなってしまいます。

イチゴが好きな私たちに出来ること

食品の値上げが続いています。
でも関わる人の利益が増えているわけではなく、むしろ皆以前より低い賃金で長時間働いているのが現状です。
よくニュースで「野菜が高くなった」と不景気のバロメーターのように言われますが、野菜が高いのは必要とされる様々なコストが上がったためであり、農家の利益が増えているわけではありません。
海外原料に依存している肥料も円安のため高騰し、採算割れで出荷されている野菜も多い。
ガソリン代も上がり、包装資材や物流経費も上がっています。

イベントごとに起きる店頭での食品廃棄も減っていません。
この年末年始にも、クリスマスのケーキやチキン、お正月の海老や蒲鉾など、莫大な金額の食品が廃棄されています。

世界的にみると日本の賃金は異常に安く、私たちは頑張って働いても冬にイチゴをためらいなく買うことができない現状にあります。
「高いから買えないよね」ではなく、この現状に疑問を持ち、おかしいことにおかしいと言う勇気も大切です。

冬のイチゴが高いのには理由があります。
それを理解してイチゴが好きな私たちはイチゴを買いましょう。
イチゴが売れないと減少傾向にある生産量はますます減り、イチゴ農家の離農が加速されてしまいます。

冬のイチゴの改良は目覚ましく、冷蔵庫で保存していても日持ちする、驚くほど糖度の高い品種が増えています。
昨日から売り場に並んでいる値引きされたイチゴでも充分美味しいですよ!

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園芸愛好家 / FPライター

花、野菜、盆栽、コンポスト、ありとあらゆる植物系お稽古事をやり尽くした園芸歴30年のFPライターです。私の強みは自分で実際に経験した幅広い園芸ネタ。FPとしてコスパよく園芸を楽しむコツもお伝えします。コキア友の会代表(会員私だけ)

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