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元NBAレイカーズの人気選手がBリーグ・サンロッカーズに入団

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
サンロッカーズに入団した前NBAレイカーズのロバート・サクレ(三尾圭撮影)

Bリーグのサンロッカーズ渋谷は、前ロサンゼルス・レイカーズのロバート・サクレと選手契約を結び、1月12日に渋谷ヒカリエで入団会見を行った。

身長213センチ、体重118キロのサクレは、2012年にゴンザガ大学を卒業後、NBA新人ドラフトで2巡目、ドラフト全体で最後となる60番目にレイカーズから指名を受けて入団。レイカーズでは昨季までの4シーズン、合計189試合に出場して、試合平均4.2得点、3.1リバウンドの成績を残した。

今季はニューオリンズ・ペリカンズのトレーニング・キャンプに招待されたが、開幕前に解雇されてプレーするチームを探していた。

NFL選手の父親と強豪大学でバスケットボール選手として活躍した母親の間に生まれたサクレはサイズに恵まれたアスリート。動ける7フッターとしてBリーグに旋風を巻き起こすことが期待される。

ゴンザガ大学時代にはリーグの年間最優秀守備選手にも選ばれた(三尾圭撮影)
ゴンザガ大学時代にはリーグの年間最優秀守備選手にも選ばれた(三尾圭撮影)

サンロッカーズは今季ここまで14勝13敗と波に乗れずに苦戦しており、中地区首位を独走するブレイブサンダースを追いかけるためにも昨季までプレーしていたサクレの力を必要とする。

フロントコートが手薄なサンロッカーズは、今季途中にB2の鹿児島レブナイズでプレーしていたチャド・ポスチュマスを緊急補強したが、8.4得点、5.8リバウンドと期待されたほどの成績を残せずに短期契約が満了した1月7日付でポスチュマスはチームを離れた。

サクレはポスチュマスと入れ替わる形でサンロッカーズに加入。平均得点がリーグで下から7番目の73.7得点、トータルリバウンド数は下から2番目のサンロッカーズにとって、サクレは得点とリバウンド力でチームの弱点を補強してくれることが期待される。

「ボールを回してくれたら必ず結果を出す」とサクレは意気込みを口にするが、サンロッカーズはリーグ3位の15.6アシストを記録しているようにパス回しの良いチームなので、サクレにボールを回すのは問題ないはずだ。

ただし、サクレはスコアラーではないので、彼に20得点を期待するのは無理がある。NBA傘下のマイナーリーグであるDリーグでも11.4得点、8.4リバウンドと得点はそれほど多くはなく、大学4年生のときでも11.6点と得点を量産したわけではない。

サクレの本当の持ち味はしぶとさ。ドラフト最後に名前を呼ばれた選手で、チーム内での出番も多くはなかったのに不思議と4年間も名門レイカーズで生き延びた。

NBA2年目には退場となう6つ目のパーソナル・ファールを宣告されながら、ベンチに代替選手がいないとの理由でプレー続行を許可された珍しい記録も持っている。

NBAで4年間生き延びた強い生命力を持つロバート・サクレ(三尾圭撮影)
NBAで4年間生き延びた強い生命力を持つロバート・サクレ(三尾圭撮影)

年明けに来日したサクレはすでにチーム練習に数回参加しているが、「若い選手とベテラン選手のコンビネーションが良く、しっかりとしたバスケットボールがプレーできる。コーチング・スタイルも気に入っている」とサンロッカーズの印象を語る。

アメリカ生まれだが、カナダのバンクーバーで育ったサクレにとって、同じカナダ出身のBT・テーブス・ヘッドコーチが指揮するサンロッカーズはやりやすい環境。チームにはゴンザガ大学の先輩にあたるアイラ・ブラウンもおり、ブラウンや昨季までサンロッカーズに所属していたゴンザガ大学出身のジョシュ・ハイベルトからチームの情報を聞いており、Bリーグでのプレーに興味を持っていた。

実はサクレはレイカーズでプレーしたいたときから日本には興味を持っており、オフシーズンに日本へ旅行して、バスケットボール・クリニックも開催したいとの相談を受けたことがある。その頃から願っていた日本行きが実現したサクレは人懐っこいキャラクターで、Bリーグの人気アップにも貢献してくれるはずだ。

サンロッカーズの新兵器はレイカーズで4年プレーしたロバート・サクレ(三尾圭撮影)
サンロッカーズの新兵器はレイカーズで4年プレーしたロバート・サクレ(三尾圭撮影)

レイカーズ時代はベンチから派手なアクションでチームメートを応援する「サクレ・ダンス」がカルト的な人気を集めていた。

「チームメートが素晴らしいプレーをしたら、喜んでやる」と日本でもサクレ・ダンスで観客を沸かすことを約束。ただ、ベンチに座っていた長かったレイカーズ時代とは異なり、サンロッカーズではエースとしての働きが期待されるだけに、ベンチでのサクレ・ダンス以上にNBA仕込みのプレーでファンを熱狂させ、チームの勝利に貢献してもらいたい。

レイカーズで4年間チームメートだったコービー・ブライアントからは「ともに過ごしていたときは練習に全力で取り組む姿勢が印象的だった。毎日の積み重ねが大切だと感じた」と日々努力を続ける大切さを学んだサクレが、今度はコービー直伝の技術とバスケットボール論をサンロッカーズのチームメートに伝えていく。

レイカーズでの4年間はコービー・ブライアントから多くを学び成長した(三尾圭撮影)
レイカーズでの4年間はコービー・ブライアントから多くを学び成長した(三尾圭撮影)

レイカーズではスター選手とはほど遠い立ち位置にいたサクレだが、日本のファンからも「サクレ・ダンス」が注目を浴び、ツイッター上でサクレの話題で盛り上がったこともある。

そのときは同じ名前のサクレ・アイスとのコラボが期待され、アイスのサクレを製造・販売するフタバ食品の公式ツイッター・アカウントも巻き込んだ「祭り」となった。バスケットボール選手のサクレがアイスのサクレを持つコラージュ画像も作られたが、今回の入団会見ではサクレ同士のコラボも実現。

1月28、29日に行われるブレックス戦のゲームディ・スポンサーをフタバ食品が務めることも発表された。

これまでは日本のNBAファンの取り込みに苦戦してきた感のあるBリーグだが、サクレ効果でNBAファンの注目も集めそうだ。

レイカーズ時代にはベンチでの派手なパフォーマンスでも注目を集めた(三尾圭撮影)
レイカーズ時代にはベンチでの派手なパフォーマンスでも注目を集めた(三尾圭撮影)

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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