ケツメイシ、7万人動員 圧巻の15周年ライブを映像化。人気の秘密を探る
CDセールスよりもライブ・エンタテインメントに注目が集まる昨今の音楽シーン。2016年もたくさんのフェスやライブを観てきましたが、特別記憶に残るショーといえばケツメイシが7万人を動員した、初のファン投票によるセットリストで行われた真夏の日産スタジアム公演『15th Anniversary 「一五の夜」 ~今夜だけ練乳ぶっかけますか?~』でした。
いま、どれだけのアーティストが日産スタジアムでワンマン公演を成功できることでしょう? 当日の模様の一部は、テレビ番組『情熱大陸』(TBS系)でも伝えられ、話題となりました。さらに、10月26日にリリースされた10枚目のオリジナル・アルバム『KETSUNOPOLIS 10』は、オリコンやiTunes、ストリーミング・サービスなど、チャート上位にランクインし続けています。平均年齢40歳をこえた中年パワー炸裂、右肩上がりの4人組パイセンたち。なぜいま、あらためてケツメイシが注目されるのかを考えてみました。
日産スタジアム公演は、ケツメイシライブ史上初、ファンからの楽曲リクエストを軸に全24曲のセットリストが構成されています。ゆえに、ライブ向きなアップテンポなナンバーより、ファンから愛されるバラードが上位にランクインされたのが印象的でした。とはいえ1位となったのは、1stアルバム『ケツノポリス』収録曲の「ビールボーイ」という大波乱。そう、一般的にケツメイシといえば2005年、ミリオン・ヒットとなった「さくら」が代表曲だと思うのですが、まさかの29位でライブ選曲外。ケツメイシには、「さくら」以外にも日常生活に寄り添った、たくさんの名曲が存在していることの証明となりました。
当日は、ワールドカップやリゾート風、さらにタイトル通り、ギネス級な超巨大放水による“ぶっかけ”演出の中、楽曲はランキングとともに発表され、歌詞がステージ上空にテロップとして流れるというホスピタリティーの高さにも感動しました。途中、RYOさん、大蔵さんお馴染みのけっこう長めのMC、タイアップ曲を提供するスポンサー枠や、自己推薦枠などもあるユニークさはケツメイシらしいおもてなしでニヤリ。
会場には2世代、3世代のオーディエンスがレジャーのように駆けつけていたのも好印象でした。そんなすべてのオーディエンスを満足させる、笑いあり感動あり涙ありな、ケツメイシのライブ・エンタテインメントの総合力の高さ。楽曲が持つパワー、「会場みんなを楽しませたいぞ!」という気持ちの熱さが、会場の奥の奥まで浸透して満たされていたのです。
そんなケツメイシ人気の秘密を追求すべく、大衆歌=J-POP復興のきっかけはケツメイシによる“笑いあり涙ありの”クリエイティビティ&パフォーマンスにあるのでは?と、アルバムをリリースしたばかりのメンバーにインタビューを敢行してきました。
【ケツメイシ・インタビュー】
――日産スタジアム公演『15th Anniversary 「一五の夜」 ~今夜だけ練乳ぶっかけますか?~』のDVD/Blu-rayでの映像商品が11月30日にリリースされます。そこで、あらためていろいろお話を伺わせて頂ければと思っています。
RYOJI:今年、5回目の取材ですよね? もう聞くことないですよね?
一同:(笑)。
DJ KOHNO:ふくりゅうさんが初めて僕らのライブ観た時に、すごい良い感想を書いてくれたじゃないですか? もうあれでいいんじゃないですかね(笑)。
※たぶんこの記事のこと?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/fukuryu/20150717-00047625/
――ははは(笑)。(スルーしながら)今回、映像商品用に編集もビシっと行われ、あらためて当日の雰囲気を客観的にご覧になられたと思いますがいかがでしたか?
RYOJI:そうですね、なかなかステージから見えないところまで撮影してくれているので、ある意味ステージに立っていたときより感動しました。お客さんの細かな表情、嘘のない表情っていうんですかね。やっぱりこう純粋な表情に感動させてもらいました。ありがたいですよね。あと、会場のでかさを改めて認識しました。まぁ、とんでもないところでやったんだなっていう。
――オープニングの登場時、ステージ真ん中のどでかいモニターがパッカーンって割れて、ステージにあらわれた瞬間、まずどんなことを感じましたか?
RYOJI:これがその、けっこう客観的というか、でかすぎて現実感がなかったですね。なので、やるべきことを的確にやるって意識でやり抜きました。
DJ KOHNO:当日は、7万人というお客さんの圧を感じる余裕すらなかったんですよ。なんというか“わ〜すげえ人だ!”、っていうのを、実は広すぎて逆に感じてなくて。でも、映像だと広さを感じさせてくれる見せ方なので、あらためてすごかったなぁと思いますね。
――それこそ、15年前、メジャーデビューのタイミングでお子さんが生まれたRYOさんは、15周年でのライブは感慨深いものがあったんじゃないですか?
RYO:2ヶ月経って、なんていうかすでに2年くらい前な感じがしますね。それくらい今年は忙しかったんですよ。当日は、7万人というすごさのなかでも、頭は冷静というか、不思議な感じでした。始まれば、いつも通りなんとかなるかなって感じで。それこそ渋谷クアトロの頃からライブ制作が同じスタッフなんです。それが感慨深かったですね。一緒に年を重ねました。でも、なんていうかあっという間でしたね。
大蔵:ステージ上で歌詞を出していたこともあって、ほんとみんなお客さんが歌ってくれているんです。あれはやってよかったですね。いい思い出を作品として残せました。これまで昔の曲をやるタイミングってなかなか無くて。ツアーだと新しい曲中心なので。それもあってか、“あの曲きた!”みたいな、ステージから歌の圧みたいなのをすごく感じましたね。
――あ、そういえば、ワイドショーでよくアーティストが出ると、名前の後ろのカッコ内で年齢が表示される問題を、RYOさんがMCでされてましたけど、次の日また、結局ワイドショーでカッコで年齢が入ってましたよね?
RYO:あれ、ほんといらないと思うんですけど(笑)。誰も得してないよね(笑)。おっさんっていうのがバレる(笑)
大蔵:あと、ヒップホップグループって言うのも、なんかそろそろやめて欲しい。枕詞みたいになってますよね(笑)。
一同:(笑)
――アニバーサリー・ライブだったので、たくさんの友人とも会えたんじゃないかなと思いますが、今回は打ち上げとかはどんな感じだったんですか(※かつてケツメイシは打ち上げこそ本番と言わんばかりに、そんな模様をDVD特典に収録するなど熱かった)?
大蔵:メンバー、ダンサーさん、スタッフさんと、みんなでわっしょいわっしょいしてました(笑)。
DJ KOHNO:なんか、大蔵さんが帰りたがらなかったらしいですよ(笑)。
――どういうことなんですか?(笑)。
大蔵:帰りたくなかったんです(笑)。
DJ KOHNO:僕、先に帰ってたんで後から聞いたんですけど、大蔵さんは朝方9時過ぎに吉野家まで行こうとしていたらしいですから(笑)。
一同:(笑)。
RYO:めずらしいね、夜中に炭水化物取らないのに(笑)。
DJ KOHNO:“吉野家で朝ビールだ!”って最後ひとりでごねてて。“こんな時間に吉野家でビール飲む奴なんていね〜よ”ってヨネ(マネージャー)が吐き捨てて、帰らせたんですよ。
大蔵:帰ったんですけど、ヨネは吉野家行ったらしい(笑)。
一同:(笑)。
DJ KOHNO:俺帰ったのが朝5時くらいで。
RYOJI:俺も一次会でタクシーで帰りました。裏切り者のような眼で見られながら(笑)。
一同:(笑)。
DJ KOHNO:けっこう疲れてたんですよ。でも、全然潰れなくて。多分まだ緊張してたんでしょうね。緊張が残ってるから、酔わなかったのかもしれないです。
――RYOさんは?
DJ KOHNO:RYOさんは俺より先に帰ってましたよ。
RYO:あ、疲れてたんですよ、全体的に。ライブ終わって打ち上げはじまるのが、もう1時とかだったので。年なんで、ちょっと面倒くせえなと思って(笑)。
一同:(笑)。
DJ KOHNO:ゆっくりさせてくれよって?
――ははは(笑)。それこそ『情熱大陸』でのドキュメンタリーを観ましたが、RYOJIさんの足の具合が悪そうでしたが、当日も大変な感じだったんですか?
RYOJI:日によって違うので、運なんですよ。でも、ステージに立てる状態にはトレーナーがしてくれるので、僕はもう任せきってますね。
――そうなんですね。当日のセットリストは、今回はファンからの投票で集められたと思いますが、投票の結果をご覧になられていかがでした?
RYOJI:いや〜、意外でしたね。自分たちがなんとなくイメージしていたものと違ったのでびっくりしました。
――どんなイメージだったのですか?
RYOJI:もっと明るい曲が入ってくると思っていたんですよ。そういえば「君にBUMP」とか入らなかったですね。意外とバラードタイプのおとなしい曲が多かったので、野外ライブだったので選曲にちょっと戸惑いましたね。
――ライブとなるとまたちょっと違いますもんね。なんでランキングに入らなかったんだろうって曲などありましたか?
DJ KOHNO:売上的には一番ヒットした「さくら」が入ってなかったんですよね。
大蔵:そうなんですよ。なのに、なぜか「ビールボーイ」が1位っていう(笑)。
――1位2位3位が、全部シングル曲じゃないんですよね。アルバム曲からのランクインなんです。「ビールボーイ」、「ライフ イズ ビューティフル」、「幸せをありがとう」っていう。
RYOJI:なんていうか、自分に何かを得られる楽曲ってのを、うちのファンは求めてるんですよね。「君にBUMP」とかシングルだけど何言ってるか意味わかんないですもんね(笑)。
一同:(笑)。
RYOJI:だから「ディスコ☆部長」(※新作アルバム『KETSUNOPOLIS 10』収録)も心配だよね(笑)。
大蔵:しつこいからね(笑)。ディスコなのに最後カラオケ行っちゃうからね(笑)。
RYOJI:誰なの? ディスコ部長って(苦笑)。
一同:(笑)。
――それこそMCでもおっしゃられてましたけど、今回の選曲で表されていることって、オーディエンスの人生の中でどれだけ思い出に残っている曲ランキングだったと思うんですよ。
DJ KOHNO:DJイベントの時にファンの方とよく話すんですけど、割と順当に感じました。最近は、ライブの最後の曲が「カーニバル」が定番なんですよ。「ビールボーイ」は、けっこうお預けでしたから“頂戴、頂戴”ってなってたのが強かったんでしょうね。でも、「トレイン」が入らなかったの意外だなって思いました。あと、今年リリースした「友よ 〜 この先もずっと…」が、短期間でしっかり11位に入ってきてくれたのは嬉しかったですね。
――リリース時も素晴らしいと思ったんですけど、どんどん「友よ 〜 この先もずっと…」が育ってきてるなって、ライブを観てすごい思いました。キッズ世代にも浸透した、まさにヒット曲ですよね。
RYO:ほんとすごい推しますよね、この曲。
――今年を代表するヒット曲だと思ってますからね。そして当日はランキングに織り交ぜてスポンサー枠というアイデアだったり、自己推薦枠があったのも素敵だなって。
DJ KOHNO:あれ面白かったなあって思いますよ。説明無いと、いやらしい部分に受け取っちゃう人もいるじゃないですか? リクエストライブなんじゃないのって。でも、こっちからスポンサー枠ですよって宣言してるし、これ歌いてえんだもんって自己推薦枠っていうね。
RYOJI:ほんとお客さんもスポンサーを大事にして欲しいよね。
一同:(笑)。
DJ KOHNO:スポンサーいないと大きなライブできないですからね。そこは理解してもらわないとね。あれ、誰でしたっけ? RYOJIくんでしたっけ、スポンサー枠で入れちゃえばいいんじゃないの?って言い出したの。今年の曲とか、なかなかランキングには入りづらいだろうから、いいアイデアだと思いましたもん。
――モニターに表示されたとき、こうきたか〜って感動しましたもん。
大蔵:なんか、突っ込まれる前に答えを出しとく、みたいな(笑)。
――あと自己推薦枠で「花鳥風月」をやられて感動しました。
RYOJI:沖縄のライブではよく歌っているんです。やっぱり野外だとすごい気持ちいいんですよ。
――会場が感動的な空気感で一体化する感じがヤバかったです。
RYOJI:沖縄まで来られないファンの方もいらっしゃったり、チケットもプレミアで意外と取れないので、一度野外で体験して欲しいなと思っての自己推薦枠選曲でした。
――なるほどです。あと日産スタジアムならではの演出として、ライブタイトルにもつながる、あの“ぶっかけ放水”企画にも度肝を抜かれました。
RYOJI:あれは僕らじゃない、スタッフが考えてくれたんです。すごいですよね。
大蔵:タイトルに“ぶっかけ”が入ってたから、あぁなったという(笑)。
RYOJI:でもあれ、濡れすぎたら怒られるよね……。
――ステージから見てるとどんな見え方だったんですか?
大蔵:痛快でしたよ。すごい高さまで飛んでいましたから。まぁ、濡れても大丈夫なように、ぶっかけ席という名前で、“あなたたちが座りたいって言ったんでしょ”みたいなリスク回避しました(笑)。
――自己責任だ(笑)。でも、びっくりしたでしょうねぇ。まぁ、放水は真夏なんで嬉しいですけど。あと、スタジアムで風船が飛んでいくシーンも、やはり大会場だととっても綺麗な光景でした。演出面でこだわられたポイントは?
RYOJI:ツアーでの演出は凝ったことをやるんですけど、今回の日産スタジアム公演では、裏テーマが“大カラオケ大会”だったんですよ。歌詞を出したり、ランキングで選曲を決める流れもありましたからね。
――当日、ケツメイシの楽曲に思い入れがあって、これまでの人生で救われてきた方や背中を押されてきた方々が集結したと思うんですけど、ファンの皆さんに対してあらためてメッセージなんてありますか?
大蔵:15年分の恩返しをちゃんとしたいなって思いました。ありがたいですよね。もちろん、ずっとついてきてくれる人もいれば、最近「友よ 〜 この先もずっと…」で知ってくれた方もいらっしゃるでしょうし。まぁ15年ですけど、1つの通過点としてこれからもよろしくお願いします、っていう。来春にはツアーもあるので、あらためて観て頂きたいですね。一年一年積み重ねですけど、ちゃんと走り続けて行きたいなぁと思ったし、やり続けないといけないなと思いました。
RYO:ファンの皆さんにでしたっけ。……そうですね。(凛々しい表情で)、ケツメイシの音楽があなたの青春の1ページの片隅や、重要な人生の決断を迫るとき、その瞬間にちょっとした背中を押すような存在になっていたとするならばこれほど嬉しいことはないです、感謝!
一同:(笑)。
――ケツメイシの楽曲に対する思い入れがそれぞれすごいものがありますからね。そもそも、ケツメイシの4人でこの方向性でやっていこうって決めたっていうのも、15年の歴史でおもしろいなって思っていて。たぶん、それぞれ皆さんやりたいことが他にもあったであろうなか、この方向性で団結され、珠玉の作品が生まれ、そんな楽曲たちがファンによるランキング結果に反映されているという感動の一日でしたね。
RYOJI:それ書いてください。
一同:(笑)。
DJ KOHNO:僕が感謝してるのがファン同士、横の繋がりで呼びかけあってくれたり。新規にファンになってくる方たちをやさしく受けいれてくれたり。ほんと、ファンの皆さんのおかげで助かってますね。“ありがとうございます”って言うと向こうも“ありがとうございます”って返してくれる、そんなフィフティーフィフティーな関係性が素敵だなぁって思っているので、今後もよろしくお願いします。
RYOJI:僕らも頑張ってきましたけど、みなさんもよく頑張りましたねって言葉をかけたいです。ケツメイシを選択してくれたのは何かの縁だし、いろいろ嬉しく思います。同志のようなものだと思うので。
RYO:そうだ、日産スタジアムで「手紙〜未来」をやれて嬉しかったんですよ。正直、ここまで続けられるとは思ってなくて。もうすぐ45歳ですよ、来年。そんなやれると思ってなかったんですよ。アイドルだったら15年とか20年ってなかなか無理じゃないですか? それがおじさん達がいろいろやりながら今まで続いてるっていうのがやっぱりすごいことですよね。
――この15周年の期間、ものすごく忙しかった1年だったと思いますが、タイアップやベストライブなどある意味、ケツメイシを客観的に見られる1年だったんじゃないかなと思いました。プラスになったことはありましたか?
RYOJI:この先、やりたいことが明確になりましたね。まぁすごくいいグループだと思うし、だとすればそのグループのために自分ができることをもっと貢献したいと思うし、だんだん仕事と趣味の境目がなくなってきたように感じてます。やっぱり続けていくことの意味とか大切さをあらためて感じました。来春、全国アリーナツアー『KTM TOUR 2017 幻の六本木大サーカス団「ハッキリ言ってパーティーです!!」』を行うので、アルバム『KETSUNOPOLIS 10』を聴き込んで待っていてほしいですね。
NEW LIVE DVD・Blu-ray
『15th Anniversary「一五の夜」 ~今夜だけ練乳ぶっかけますか?~』
01 はじまりの合図
02 三十路ボンバイエ
03 夏の思い出
04 そばにいて
05 太陽
06 ヤシの木のように
07 出会いは成長の種
08 君とつくる未来
09 トモダチ
10 ライフ イズ ビューティフル
11 さらば涙
12 手紙〜未来
13 仲間
14 涙
15 よる☆かぜ
16 君との夏
17 花鳥風月
18 バラード
19 友よ 〜 この先もずっと…
20 LOVE LOVE Summer
21 RHYTHM OF THE SUN
アンコール
01 幸せをありがとう
02 ビールボーイ
03 カーニバル
ケツメイシ・オフィシャルサイト