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人生初となる左ひざの手術を乗り越え、ロジャー・フェデラーが、マイアミで復帰!

神仁司ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト
人生初の左ひざの手術を乗り越え、マイアミで復帰するフェデラー(写真/神 仁司)
人生初の左ひざの手術を乗り越え、マイアミで復帰するフェデラー(写真/神 仁司)

ロジャー・フェデラーが帰って来た――。

左ひざの手術をしたフェデラーが、マイアミで復帰をする。

けがは、1月下旬にメルボルンで開催されたオーストラリアンオープンの準決勝で敗れた次の日に起こった。娘たちをお風呂にいれようとした時に、シンプルで小さな動きだったが、右を向いてから、振り返った時に左ひざで音がした。違和感を覚えたフェデラーには何が起こったかわからなかったが、その後動物園に行った時、ひざは腫れあがっていた。

「自分の人生で、100万回はしたようなシンプルな動きだった。テニスコートで起こらなくてよかった」

スイスに戻ってからMRIをして、医者から手術が必要だと言われ、2月3日に、断裂した半月板を修復するために、関節鏡によるひざの手術を実施した。

1998年にプロへ転向してから今まで、34歳のフェデラーは、手術はしたことがなかった。

「今まで自分のキャリアでは、手術をしないで切り抜けてこられたので、手術をしなければならないと聞いた時は、当然とても悲しかった。医者を信じるしかなかった。手術室に入った時には、とてもナーバスになったし悲しかった。麻酔から覚めて、自分のひざを見た時、自分の足ではないように感じた。手術をしたのが信じられなかった。カムバックできることを望んだが、恐ろしかった」

手術から1~2日後には痛みがひき、フェデラーは、松葉づえでの歩き方を学んだ。松葉づえを使ったのは、2005年にじん帯を痛めた時以来だった。スイスで5週間におよぶリハビリは大変だったが、日々回復するプロセスを楽しみ、ポジティブになろうとした。そして、モチベーションが芽生え、自信も戻って来たという。

そして、約7週間のリハビリを乗り越えて、年初のスケジュールには入ってなかったマスターズ1000・マイアミ大会を復帰の舞台に選んだ。

「手術後、ほどなくしてツアーに戻って来たのだから、自分自身に期待していない。ここに戻って来られて本当に嬉しい。」

マイアミ大会で、第3シードのフェデラー(スイス、ATPランキング3位、3月21日付け、以下同)は、2回戦(1回戦はBye)で、手首の手術から1年ぶりにワールドテニスツアーに復帰したファン‐マルチン・デルポトロ(アルゼンチン)と対戦する。偶然にも、復帰を果たす二人の対戦となった。試合は、3月25日(マイアミ時間、日本から-13時間)に行われるが、世界中から注目が集まりそうだ。

「とても楽しみです。デルポトロの復帰を見られるのは嬉しい。自分のゲームにフォーカスするつもりだけど、同時に楽しみたい」

テニスの4大メジャーであるグランドスラムにおいて、男子で最多となる優勝回数17回を誇るフェデラー。“生きる伝説”と言われる彼の復帰を待ち望んでいたテニスファンは、世界中に数多くいるだろう。マイアミで、どんなプレー見せてくれるのか、本当に楽しみだ。

ITWA国際テニスライター協会メンバー、フォトジャーナリスト

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンMJ)勤務後、テニス専門誌記者を経てフリーランスに。グランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材をした。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。ITWA国際テニスライター協会メンバー、国際テニスの殿堂の審査員。著書、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)。盛田正明氏との共著、「人の力を活かすリーダーシップ」(ワン・パブリッシング)

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