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”森保ジャパン”ここからアジア予選に招集するべき5人

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:REX/アフロ)

アジアカップは準々決勝で敗退してしまった”森保ジャパン”。反省するべきところはしつつも、良い意味で切り替えて、アジア予選、そして北中米W杯を目指していくことが必要ですが、先の戦いに向けて戦力を見直す好機でもります。

一旦、将来性やポテンシャルといった要素は度外視して、アジア予選で即戦力になると同時に、そこから世界に向けた戦いにもプラスをもたらせる5人のタレントをピックアップしました。

なお、しばしば”待望論”が出ている大迫勇也(ヴィッセル神戸)に関しては「”森保ジャパン”にも勝てる”裏日本代表”を選んでみた。」でもメインで取り上げたので、今回は筆者の視点重視で”殿堂入り”とします。

金子拓郎(ディナモ・ザグレブ)

右サイドから縦にも中にも切り裂ける左利きのドリブラー。北海道コンサドーレ札幌から移籍したクロアチアの名門ディナモ・ザグレブでは加入当初こそオンオフで適応に苦しんだようですが、その攻撃性能をいかんなく発揮しています。

Jリーグでも突破力は脅威でしたが、欧州の環境で、フィニッシュまでやり抜く意識が高まっているように思います。伊東純也の代表復帰がいつになるか不透明な状況でもあり、アジア予選で引いた相手を崩す強力な武器になるとともに、世界に向けて選択肢を増やすことになるはずです。

植田直通(鹿島アントラーズ)

現在”海外組”で占められているセンターバック陣ですが、アジアカップでパワープレー的な攻撃に後手を踏むシーンが目立ったことも事実。そこでシンプルにデュエルで勝利し、ボールを跳ね返す第一人者を再評価するべきでしょう。

欧州から鹿島に復帰して、対人戦だけでなくリーダーシップでもチームを支えるという意識が高まっており、もちろん代表復帰は諦めていないようです。今こそ彼の強さ、そして覇気が必要な時でしょう。

井手口陽介(ヴィッセル神戸)

中盤でボールを奪うという仕事に関して、遠藤航の依存度が高くなっている現在の”森保ジャパン”に守備強度を注入する絶好の戦力です。”ハリルジャパン”の主力だった選手ですが、欧州で壁に当たったタイミングでロシアW杯を迎えてしまい、残念ながら選外に。

帰国後に復活を印象付けたタイミングでの怪我など、なかなか乗り切れなかった状況から昨年の後半に福岡で抜群の存在感を発揮。J1での一桁フィニッシュ、ルヴァン杯優勝の立役者の一人になりました。ロングパスの正確性も武器ですが、何よりボールを奪い、素早く攻撃に繋げるスペシャリティは欧州組にも引けを取らないばかりか、勝っている感もあります。年齢的にもアジア予選だけでなく、北中米W杯も見込める戦力です。

小川航基(NECナイメヘン)

オランダで、すでにリーグ戦7得点を記録。欧州挑戦1年目での二桁ゴールも見えてきました。ボックス内での決定力と勝負強さというところで、日本人FWでは比類ないものがあります。上田綺世は幅広くゴールを狙えるタイプですが、小川はボックス内に特化した得点力があり、ポストプレーヤ守備も、ほぼペナ幅で完結します。

もしかしたら、そうした最前線特化型のスタイルが、選考における森保監督の悩ませどころかもしれないですが、サッカーは点を取る競技です。世界に向けては古橋亨梧というカードも有効ですが、アジアでゴールをこじ開けるには小川のパワフルな決定力を組み込まない手はないと思います。

西川周作(浦和レッズ)

2021年に一度”森保ジャパン”に招集されていますが、当時よりレベルアップしているにもかかわらず、なぜか呼ばれていません。状況に応じたプレーの幅が広がり、落ち着きにつながっています。

おそらく3月にはベルギーの新天地ヘントで定位置を掴んだシュミット・ダニエル、昨年の怪我から復帰して、すでにポルティモネンセで試合にも出ている中村航輔の復帰が有力視されますが、アジアの厳しさを誰よりも知る西川の存在は心強いものになるはず。

パリ五輪の守護神として期待される鈴木彩艶にも改めて刺激になるはず。しかも、GKは40歳でもトップレベルでプレーできるポジションということを考えると、現在37歳の西川はアジア予選だけでなく、北中米W杯も十分に狙っていけるでしょう。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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