不快指数の高い日が続く 不快指数は計算が簡単で普及した
アメリカで始まった不快指数
不快指数は、気温が高いときに感じる蒸し暑さ、つまり不快感を表す数値のことです。
昭和32年頃(1957年頃)にアメリカの気象学者E.C.トムが気温と湿度を用いて温湿度指数を提唱し、冷房設計に使われたのが最初と言われています。
不快は、感覚的なもののほか、心理的なものやなれによる要素など個人差もかなりありますが、簡単に体で感じている温度が表現できるという実用的なことで、昭和34年夏からのアメリカの天気予報番組で取り上げられたことをきっかけに普及しました。
不快指数の計算
ただ、この不快指数の計算がややこしいということをよくききます。
表1は、T:気温(セッシ)、U:相対湿度(%)としたときの不快指数(DI)の計算式です。
これは、昔は湿度を簡単に測定するのには、水で湿らせた温度計は空気が乾いていればいるほど蒸発熱を奪われて気温との差が大きくなるという原理を使った乾湿温度計が使われていたなごりです(図1)。
つまり、乾湿温度計で読み取った値を使う場合は、不快指数の計算式は簡単になります。
特に、気温の単位がセッシではなく、華氏であるなら、不快指数の計算はもっと簡単になります(表2)。
温度計目盛が華氏のアメリカ
ほとんど全ての国で使われているセッシは、水の状態(氷点が0度、1気圧での沸点が100度)によって決められています。
これに対し、アメリカでは、今でも根強く華氏が使われています。
華氏目盛りは、ドイツの物理学者Gabriel Fahrenheit(1686~1736)が作ったもので、人の体温を100(=37.8℃)、血液の凍る温度(氷と塩をまぜると得られる最も低い温度)を0(=-17.8℃)としたもので、人間の状態で決められているともいえる温度目盛です。
乾湿温度計で、温度計と湿球温度計の間に不快指数の目盛を入れておけば、簡単に湿度がもとまります。
気温が体温と同じで、汗が蒸発しないという状態(T’=Tw’=100度の状態)の不快指数は95です。気温が体温より高い120度でも、湿球温度が80度なら、不快指数は95です。
簡単でわかりやすかったものが、セッシで考え、湿度で考えることで複雑になっただけです。
日本での不快指数
日本で不快指数が使われだしたのは、昭和36年頃からです。
少し古い調査ですが、日本人の場合、75以上では9%、77以上では65%、85以上では93%の人が不快を感じるという調査があります。
日本人は蒸し暑さの中で暮らしていることが多いせいか、外国人と比較すると、同じ不快指数でも、不快と感じるる人の割合は多少少ないという調査もあります。
ただ、蒸し暑さになれていない、今の人で調査を行えば、不快に感じる割合が少し増えている可能性があります。
記録的な高温となると、不快指数も高くなって100を超えると思われるかたも多いかと思いますが、日本での記録的な高温はフェーン現象(風下側は風上側に比べて高温・乾燥となる)がからみますので、湿度が低く、なかなか不快指数は100には達しません。
太平洋高気圧の縁辺部を回るように暖湿気流が入っているときには、記録的な高温にならなくても、湿度が高く、大きな不快指数となります。
気象庁の観測は風通しの良い日陰で
気象台等の気象観測は、風通しの良い日陰で行われます。
調理中の台所など、空気がよどみ、湿度が高くて、十分な発汗作用が行われない場所では、当然のことながら、不快指数はもっと大きな数値となります。
今後の一週間は、最高気温・最低気温ともに、全国的に平年並か平年より高く、平年よりかなり高い所もある見込みです(図3)。
気温が高い日が続き、中には猛暑日(最高気温が35度以上)の予報もあります。
不快指数が高い日が続きますので、熱中症など健康管理に注意が必要です。