CINderelLAチームのベンガルズはハッピーエンドを掴めるか?スーパーボウル展望
2月13日(日本時間14日、午前8:30)にカリフォルニア州ロサンゼルスのSoFiスタジアムにて行われるNFLの王者決定戦『スーパーボウル』。今年は地元ロサンゼルスのラムズとシンシナティ・ベンガルズ、羊と虎の対決となる。
2018年シーズンのスーパーボウルでニューイングランド・ペイトリオッツに敗れたロサンゼルス・ラムズは、3年ぶりのスーパーボウル出場。2005年から16年シーズンまでは低迷が続いたが、2017年に若き天才指揮官のショーン・マクベイが監督に就任してからは成績が上向き、5シーズンでプレイオフ出場が4回、スーパーボウル出場も2回と安定した好成績を残している。
今季はシーズン開幕前に司令塔をトレードで入れ替え、ベテラン・クオーターバック(QB)のマシュー・スタフォードを獲得。
スタフォードはテキサスで過ごした小学生時代に、ロサンゼルス・ドジャースのエース左腕のクレイトン・カーショウと出会い、同じ少年サッカーチームでプレー。高校時代には野球では投手・カーショウの球を捕手・スタフォードが受け、アメフトではセンターのカーショウがQBのスタフォードにボールをスナップしていた。
ラムズはスタフォード獲得だけでは飽き足らずに、シーズン中にもボン・ミラーやオデル・ベッカム・ジュニアなどのスター選手を補強。ハリウッドに相応しいスター軍団を結成して、スーパーボウルの勝利予想でも4.5点差で本命に推されている。
スター軍団・ラムズに対抗するお荷物軍団・ベンガルズ
一方のベンガルズは、2016年シーズンから昨季まで5シーズン連続を負け越しを記録したNFLのお荷物チーム。
とくに2019年シーズンは2勝14敗に終わり、リーグで最も勝ち星が少なかった。
どん底まで落ちてしまったベンガルズだったが、谷底に落ちたことでベンガルズの運命を一転。戦力均等をモットーとするNFLでは、前年度の成績が悪い順にドラフトの指名権を得られる。2020年のドラフトで全体1位指名権を手にしたベンガルズは、ルイジアナ州立大学(LSU)をシーズン無敗で全米王者に導いたQB、ジョー・バロウを指名した。
父親もNFL選手で、引退後は大学でコーチを務めたフットボール一家で育ったバロウは、類まれなフットボールIQを武器に、絶対的な勝負強さを誇るQB。
NFL1年目から先発QBとしてベンガルズを牽引したが、シーズン11週目の試合中にACL断裂の大怪我で一足早くシーズン終了。シーズンを4勝11敗1引き分けで終えたベンガルズは、またしてもドラフトで高指名順位を得て、1巡目全体5位でバロウの大学時代のメイン・ターゲットだったワイドレシーバー(WR)のジャマー・チェイスを指名。
チェイスはNFLでもルーキー離れした活躍を見せ、前年AFC北地区最下位だったベンガルズは地区優勝を果たして、6年振りとなるプレイオフ出場の切符を手にした。
ベンガルズは勢いに乗るシンデレラ
シンデレラが魔法使いの手伝いで人生を一転させたように、ベンガルズも「バロウとチェイス」の力で、地区最下位から地区優勝まで一気に勝ち上がった。
ラスベガス・レイダースとのプレイオフの1回戦で、チーム31年ぶりとなるプレイオフでの勝利を手にすると、2回戦ではAFC1位シードチームのテネシー・タイタンズ、3回戦のカンファレンス・ファイナルではNFL最強チームの呼び名も高いカンザスシティ・チーフスを敵地で撃破。
シーズン前には誰もが予想もなし得なかったスーパーボウルまで勝ち進んだ。
チームの総合力ではラムズに劣るベンガルズだが、勢いの面ではベンガルズに分がある。
勝利の鍵を握るのは、新人キッカーのエバン・マクファーソン。1年目からチーム記録となる58ヤードのフィールドゴールを成功させるなど安定した働きをみせたマクファーソンは、とくに長い距離のキックに自信を持つ。レギュラーシーズン中には50ヤード以上のキックを11回蹴って9度成功。
プレイオフではさらに存在感を強め、2回戦のタイタンズ戦では同点で迎えた試合最後のプレーで52ヤードのキックを成功。カンファレンス・ファイナルのチーフス戦でも延長戦でサヨナラのフィールドゴールを成功して、ベンガルズのスーパーボウル行きを決めた。
プレイオフでは失敗なしの12回のフィールドゴールに全て成功。
レギュラーシーズンとプレイオフを合わせて、同一シーズンで50ヤード以上のキックを12回成功はNFL歴代新記録である。
シンデレラの英語での綴りは『Cinderella』であり、シンシナティの略語であるCINで始まり、ロサンゼルスの略語であるLAで終わる。
シンシナティの地で始まったベンガルズのシンデレラ・ストーリーは、スーパーボウル開催地のロサンゼルスで有終の美を飾ることができるだろうか?