那須川天心 亀田興毅との対戦に「賛否両論あったがやってよかった」
キックボクシングの世界王者の那須川天心(20)と、ボクシング元世界3階級制覇王者の亀田興毅氏(32)がAbema TVのスペシャルマッチで対戦した。
試合の模様は、同番組で生放送され、ルールは、3分3R、12オンスのグローブにヘッドギアありで行われた。
勝敗予想は亀田有利
事前に行われた、視聴者の勝敗予想では、亀田勝利が54%、天心勝利が46%と、亀田が有利の結果となった。
ちなみに今回の試合はKO決着のみで、亀田が天心を倒したら1000万円で判定はない。
フェザー級で戦う天心と、フライ級を主戦場にしていた亀田の対戦で、階級は58.5kgの契約ウエイトでの試合となった。
亀田は上の階級で戦っている天心に対抗するため、肉体改造をして試合に向かった。
入場すると、計量時より両者ともにビルドアップされており、そこまで体格差は見られなかった。
不敵な笑みを浮かべる亀田に対し、天心は真剣な表情で緊張感を漂わせてリングに上がった。
ジャブでペースをつかんだ天心
今回の試合はサウスポー同士の対戦となった。試合が始まると、お互いが出方を見合い、手を出さない場面が続いた。
ジリジリと距離を詰めていく亀田に対して、天心は距離を取りながら牽制のジャブを打っていく。
先にパンチを当てたのは天心だ。軽めのジャブがヒットをしたのをきっかけに、アッパーを織り交ぜた攻撃で先手を取った。
今回の試合では、ジャブが作戦と話していて、そのパンチをきっかけにペースを握っていった。
対する亀田は、思った以上に天心の距離が遠いのか、手が出ない。なかなか自分の距離を作れずに、やりづらさを感じていた。
1Rの中盤には、天心のアッパーからの返しのフックが亀田のテンプルに入り、ぐらつく場面もあった。
天心が出入りの動きでスピードを活かし、見せ場を作っていった。
試合をコントロール
2ラウンド目になると、天心がさらにギアを上げて仕掛けていった。
完全に距離を把握したのか、亀田のパンチに合わせてカウンター、ボディを織り交ぜた攻撃で追い詰めていく。
亀田も距離を潰そうとするが、天心が入り側にアッパーを打っていたため、うかつには入れない。
縦のパンチはガードの上を突き破ってくるため、このパンチを打たれると、亀田のようなファイタースタイルの選手はやりづらくなる。
また、天心は出入りが早いので、なかなか捉えきれない。
天心も徐々に慣れてきたのか、亀田に対してプレッシャーをかけて試合をコントロールしていった。
亀田はブランクの影響か手数が出ずに追い詰められていった。天心がフットワークを使いながら、パンチを集めて試合を有利に進めていく。
ヘッドギアなしの3R目
最終ラウンドのインターバルでは、亀田がヘッドギアを外した。
今回を最後の試合としているため、引退試合を盛り上げるために意地をみせた。
ヘッドギアがあるのと、ないのでは大きく変わる。
パンチは見やすくはなるが、もらった時の衝撃は大きくなる。
場内もざわめいていたが、亀田がリスクを取って、勝負に出た。
天心もそれに応じて、ヘッドギアを外し両者ノーヘッドギアで3R目を迎えた。
最終ラウンドのゴングが鳴り、亀田はプレッシャーを強めて前に出て攻勢を仕掛けていく。
パンチをもらっても気にしない素ぶりで、前に出ていった。
亀田のパンチもヒットしたが、天心のボディからのストレートがヒットして、亀田をロープに詰めていく。
亀田も王者の意地で打ち返していくが、天心のパンチが的確にヒットした。
最後は天心も近い距離での打ち合いに応じていった。両者のパンチが交錯し、ヒートアップして試合終了のゴングを聞いた。
亀田も天心を絶賛
試合後には両者が抱き合って、お互いの健闘を称えた。結果的に天心が亀田から1000万円を守り天心の勝利となった。
試合後の勝利者インタビューでは、「自分が不利な状況に火がついて、見返してやろうという気持ちで戦った」
対戦した亀田に対しては、「男としての熱い気持ちを感じた。今まで戦ったことがない感覚で、最後の1分は慣れない打ち合いに応じた。
今回の試合で経験値が上がったので亀田選手に感謝したい」と話した。
ブランクがあったとはいえ、元世界王者の亀田を相手にペースを譲らなかった。
亀田は「度胸もあるし、目もいいし勘もいい、スピードもある。ボクシングの能力がすごく高い」と天心の実力を絶賛した。
あくまで今回の試合は本番のルールとは違うが、天心のポテンシャルの高さを感じさせる試合となった。
天心は試合後に、「自分の新たな可能性を見せることができた。賛否両論あったがやってよかった」
「今後の那須川天心に期待していてください」と話した。
7月にはRISE WORLD SERIES 2019の準決勝が行われる。人と違う道を歩み、自分の限界に挑戦し、新たな道を作っていく。
格闘技界の風雲児、那須川天心に注目だ。