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9.4のリングに向かう元WBA/IBF/WBO統一ヘビー級チャンピオン

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Sean Michael Ham/TGB Promotions

 9月4日のルイス・オルティス戦を控えた元WBA/IBF/WBO統一ヘビー級チャンピオン、アンディ・ルイス・ジュニアが、先日練習を公開した。

 ご存知のように、ルイスは2019年6月1日にアンソニー・ジョシュアを7回KOで下して3冠統一ヘビー級タイトルを獲得。しかし、長年追い求めてきた場所に辿り着いた彼は、怠惰な生活を覚えてしまう。初防衛戦となるジョシュアとのリターンマッチに向けたキャンプでは、あそこが痛い、ここが痛いと週に4回くらいのトレーニングしかせずにリングに上がり、簡単に王座を手放した。

 Sean Michael Ham/TGB Promotions
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https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20210503-00235509

 2021年5月1日、同じメキシコ系であるクリス・アリオラに判定勝ちして再起したルイスは、新たなトレーナーとしてアルフレッド・オスナを招き入れ、オルティス戦に向けて調整してきた。

 公開練習の後、元3冠王者は上機嫌で語った。

 「調子は非常にいい。9月4日に向けてハードなトレーニングをこなしてきた。オルティスも世界タイトルを目指しているだろうし、頂点に上るための戦いだ。長いキャンプを張って、入念に準備した。オルティスは自分の全てを懸けてくるだろうが、それに対応できるよ。やるべきことを遂行するだけだ。

 KOを意識すると自分のボクシングを見失うことがある。だから12回フルに戦うつもりで調整している。ノックアウトのチャンスがあれば、もちろん狙うけれどね。

 Sean Michael Ham/TGB Promotions
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 もう一度ヘビー級の頂点に立つべく梯子を上りたい。そのためにも、タフな相手であるルイス・オルティスとの対戦を決めたんだ。彼のスタイルを攻略するのは難しい。でも、俺には確かな自信がある。9月4日は必ず勝つ。

 当日、アリーナは熱狂するだろう。メキシコのファンがサポートしてくれるさ。強い方が勝つ。オルティスがKO決着を予想していることが嬉しいね。こちらは、どんな状況にも合わせられるから。俺の予想は自分が勝利するってことだけさ。

 デオンテイ・ワイルダー戦のオルティスに驚かされた。でも、過大評価はしない。もし、ワイルダーと次に戦えば楽な試合になるだろうし。

 43歳というオルティスの年齢は、参考にならないな。一発のパンチで決まるのがボクシングだから。賢く戦い、そのうえで自分の能力を爆発させる。我がチームには王座に返り咲き、歴史を作るという共通のプランがある。だからこそ、今、ここで汗を流しているんだよ。

 一瞬一瞬、これまでのキャリアを通じて得た自分の利点を生かすよ。心身ともに充実しているからさ」

 Sean Michael Ham/TGB Promotions
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 ルイスのトレーナーとなったアルフレッド・オスナも言った。

 「私たちがトレーニングを開始した頃と今では、まったく違う感情を持っています。オルティス戦は、ファンが望む内容となるでしょう。アンディはこれ以上ないレベルと呼べる最高のコンディションに仕上げました。過去に無い自分の律し方だったと思います。本人は、その点に幸福を覚えていますね。

 オルティスが危険な相手であることは理解しています。ですから、心から敬意を払います。でも、彼は2敗していて、共にKOで負けていますね。我々はその因子を狙っていきます。

 アンディがKO勝ちする可能性は高い。そのように練習してきましたから。何が起こるか、ご覧あれ、という感じですね。ファンに方々にもそんなメッセージを送ります」

Sean Michael Ham/TGB Promotions
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 ジョシュア挑戦時の体重は121.56kg、リターンマッチでは128.8kg、アリオラ戦では116kgでリングに上がったルイス。今回は、更に絞った体でリングインしそうだ。どんなファイトになるだろうか?

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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