美容クリニックの「モニター募集」は本当にお得?メリット・デメリットを知り上手に活用しよう!
美容医療が急速に普及しつつある昨今。若い世代だけではなくエイジング世代にも手軽にトライしやすい料金提示で、美容医療を提供しているクリニックが増えてきました。
ときどきクリニック広告で見る「モニタープラン」。通常料金で受けるよりも低価格で治療でき、料金ネックの方には非常に魅力的です。
しかし「モニタープラン」は本当にお得なのでしょうか?10年近い年月を美容医療の第一線で、美容クリニック医師の手術助手として数々の診療現場を経験した筆者が、その実態を解説します。
「モニタープランは症例数を集めたい:医師経験のためのプラン」
美容クリニックがモニタープランを提示している理由はズバリ…
- 症例数そのものが少なく提示できる症例写真が少ないこと(海外から導入されたばかりの新施術など)
- 手術内容をより良いものにアレンジするために試験的に施術したい場合
- 新人医師や症例数の少ない医師に経験の場として活用したい
などがあげられます。
いずれの場合でも、モニタープランは「症例数が少ない」からこその特別料金と言えるでしょう。
お得な料金だからこそ、知っておいてほしい検討事項について解説します。
「医師の経験が少ないから安い?=リスク高??必ずしもそうではない」
症例数が少ないとお安くなる理由は明快。「経験がないからこそ手探りで技術を提供せざるを得ない」からです。つまり品質の担保ができないということ。
新人医師の経験の場になっている
これは美容医療に限らず、一般診療の場でも外科医が手術を覚える場合には同様です。はじめのうちは先輩医師について手術助手からはじめ、手術現場で実例を目にしながら、やがて先輩医師にサポートしてもらい自立へと至ります。
一般診療の世界では、たくさんの先輩医師にサポートしてもらえますが、美容医療の世界では、新人医師も、先輩医師もなかなか潤沢なサポートは得られません。
独学で勉強しながら自分で患者さんのカウンセリングに入り、患者さんを集めて自分で経験できる場を用意しなくてはいけないのです。(クリニックにより症例研究会や美容外科学会などでの共有の場はありますが、日々の診療の場では独学メインです)
先輩や同僚医師の施術見学自体は可能ですが、基本的に自由診療の現場だと「先輩の患者さん、一緒に担当させてください!」は難しい実態もあります。正規料金で施術を受けている患者さんは、当たり前ですがしかるべき結果を求めてお金を支払っています。
経験したくても「君、やってみる?」と言って新人医師に担当させ万が一患者さんの思う結果が得られなければ、どうなるでしょう?
すぐにクレームにつながってしまいます。おいそれと自分の患者さんで「一緒に学んでみましょう」と実技共有ができない実情もあるのです。(中には親切心からフォローもするつもりで手術助手に入れてくれる、ありがたい先生も少なからずいますが…)
中には新しい施術研究のためにモニタープランが提示されていることもある=熟練した医師が担当しメリットが際立つこともある
モニタープランの中には新人医師だけではなく長い診療経験を持っている医師もいます。その場合は「新しい施術の経験」のために募集していることもあるのです。
美容の経験が長い医師ならば、美容医療における同部位(二重の新しい手術法なら二重手術の経験)の手術経験やセンスで、モニタープランでも満足感が高い結果になることも十分にあり得るはずです。
症例がなくても、経験とセンスでカバーできる医師もたくさんいるということですね。この場合は施術料金の安さがメリットとなるお得な事例といえるでしょう。
もちろん、同じ新人医師の中でも「センス」が光る医師も多くいます。「モニター価格」であっても上手に医師選びをすることで、想定できるリスクを低減できるような賢い医師選びもできるでしょう。
デメリットもきちんと視野に入れ、モニタープランを受けるか検討するべし
モニタープランは一見して通常よりお得に施術を受けられ、料金的にみると魅力的に感じるでしょう。しかし、提供される商品が医療である以上、少なからずさまざまなリスクは付きまといます。
経験が少ない場合だと、手術中に万が一のことが起こっても、医師が「この場合はこうしたら大丈夫」と切れる手札が少ないので思わぬ結果につながることも…
医療現場において、患者さん1人ひとりがちがうのは当たり前。「経験が少ないからこそ思わぬリスクにつながる可能性が高くなる」と捉えておく必要はあります。
例えばですが…医師の経験が少ないと
- 思わぬところに毛細血管があり、皮膚の下で多量に出血が起こってしまった→内出血が色濃く出た、長く続いた等
- 皮膚が思ったより硬い、柔らかいなどで創の仕上がりが想定よりも悪くなってしまった→本来目立たない傷口になるはずが、結構目立ってしまった
- 開けてみたら皮下脂肪が多い、少ない等で期待できる結果に近づけなかった→想定より変化がなかった、思った以上の変化が出て違和感を覚える仕上がりに
などの例は、美容クリニックではしばしば遭遇するケースです。
逆に、医師の経験が十分にあれば
- 思わぬところに毛細血管があっても避けて施術をしたり、電気メスなどのあらかじめ内出血に対しての対策が取れる
- 皮膚が思ったより硬い、柔らかいなどがあっても仕上がりを予測して調整ができる
- 開けてみたら皮下脂肪が多い、少ないがあっても上手に残して仕上がりをブラッシュアップできる
などのように、個別性に合わせた調整でモニタープランでの対処も可能になるのです。
「モニタープランを受けるにあたって確認しておきたいチェックポイントは5つ」
モニタープランを「お得であった!」と最後に実感するためには、最低でも以下のことはチェックしておきたいところです。
- 医師の美容医療における診療経験は十分か
- 施術としては経験が少なくても、同部位(二重の手術なら目元の手術経験)での他の診療経験はあるのか
- 口コミの評価は悪くないか(真摯に対応してくれたか、結果に満足しているか)
- 同じクリニックで担当医師に施術をしてもらっているスタッフ(特に看護師)はいるか
- モニタープランであっても保証の内容はどこまでサポートされているのか
最低限医師のセンスや診療経験の評価につながる今までの患者さんの口コミなどは、チェックしておくべきです。医師の診療体制や経験そのものに期待ができるのかは、押さえておきたいところ。
また、できればカウンセリングを受けた際には「スタッフの中で担当医師の施術を受けている人はいるのか」は確認しておきましょう。
筆者と同じように医師の技術を間近で見ている看護師が施術を受けているなら「この先生はスタッフに信用される腕を持っている」と、評価ができるはずです。
さらに万が一を考えて、モニタープランの保証制度の確認も忘れずに。期待できる結果にならなかった場合に、どうするべきかの道筋も視野に入れておくことも重要ですね。