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尊敬と共感がカギ?婚活市場の「階層化」―芸能人の結婚トレンドにも共通

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

■結婚ラッシュの芸能界から読み解く結婚トレンド

2024年、芸能界では結婚ラッシュが話題となりました。特徴として、同業者や共通点のある人々のご縁が特に目立ちました。

「KinKi Kids」の堂本剛さんと「ももいろクローバーZ」の百田夏菜子さんは、年齢差を超えて現役アイドル同士という共通点が注目されました。また、「KAT-TUN」の中丸雄一さんとフリーアナウンサーの笹崎里菜さんは情報番組での共演をきっかけに結婚。俳優の高橋一生さんと飯豊まりえさん、岡田将生さんと高畑充希さんらはドラマでの共演が縁となり、ゴールインしました。「ドジャース」の大谷翔平投手も、高身長で元アスリートの真美子さんと結婚し、大きな話題を呼びました。

■同業者や同志との結婚の魅力

同じ業界や目標を共有する相手とは、お互いの価値観や考え方を理解しやすく、「共感」や「尊敬」の気持ちが生まれやすいものです。これらの関係性は、学生時代のような「同じ立場・同じ目標」を共有する環境に似ており、格差や利害関係が少ないことから、深い信頼関係を築きやすいと言えます。

実際、芸能人たちの結婚メッセージには、「尊敬」「尊重」「共に成長」というキーワードが頻繁に登場しています。このような価値観の共有が、今の結婚トレンドの背景にあります。

現代では、男性が女性に求める条件も変化してきています。旧来のジェンダーロールから解放されつつある一方で、女性には内面的な成長や教養が求められる傾向が強まっています。「若くてかわいい」だけではハイレベルな男性には物足りないとされ、女性側も高学歴や高収入が必要になるケースが増えています。

■結婚に求められる条件の変化、そして、婚活市場における「階層化」

また、婚活市場では学歴や教養や稼得能力による「階層化」が進んでいます。例えば、30代でアメリカ在住・年収5億円の男性は、外資系企業で働く年収700万円の20代女性を「中身がない」として断りました。名誉のために申し上げますが、彼女は容姿も美しく、年収700万円と標準以上の条件を備えた魅力的な方でしたが、そこに格差があったことは否定できません。

また、私が担当した、36歳年収3000万円の婚活男性は「学生の時にやるべきことをやってない女性はダメ」とピシャリ。女性の学歴に厳しく、ご自身が国立大学出身なので、「国立か、私立なら早慶以上」と言います。「高校生のときに遊び歩いているようなタイプは自分の周りにいなかった。友人たちは皆、スポーツに打ち込みながら、大学受験を目指してしっかり勉強をしていた。自分の知らない世界を、理解している時間はない」と。こういった傾向は、男性側が若いほど顕著になってきています。

こうした状況から、同じ成功経験や努力を共有していないと、共感や尊敬が生まれにくいという現実があるとも言えます。

マッチングアプリなどで一時的に多様な層が交じり合うように見えても、結婚となると同じ背景や価値観を持つ相手を求める傾向が強まっているようです。この「階層化」は学歴や住環境、稼得能力やさらには育ちの違いによって構成されており、婚活市場ではそれが一層顕著になっています。

今後、結婚において、「共感」「尊敬」「成長の共有」がますます重視される時代が到来していくことでしょう。同時に社会の格差が婚活市場にも影響を与え、結婚の条件に影響していくことは否めません。このトレンドは婚活市場にとどまらず、恋愛結婚においても今後さらに加速していくことが考えられます。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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