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『ザ・ノンフィクション』続編に学ぶ、「熟年婚活」の成功ポイント5つ

植草美幸結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸
スタッフ撮影

今年2月にフジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で当社が密着され、大変反響をいただきましたが、先日、その続編が同局の番組『ジツハなジツワ』で放送されました。苦戦していた男性2人がめでたく成婚された模様が流れ、「感動した」というお声を多数いただいています。

今回は、その中でも内田さんという50代男性と、その奥様となった40代女性の活動から、今増えている「熟年婚活」成功のポイントを5つお伝えします。お二人は共に、再婚で結婚経験があり、だからこそ補い合えた点がたくさんありました。

◆1.子育て前提の結婚観をやめてみる

内田さんは活動当初、子供を希望していたため、20歳近く年が離れた方とばかり会っていました。しかし、活動を通じてこれからの人生を考え直し、おだやかであたたかい家庭を考えると、子育て前提の結婚よりもお相手の内面やパートナーシップを重視するように変わっていきました。

正直婚活現場では、既にお子さんがいらっしゃる方以外は、50代でも60代でも子供を望む男性が多い状況です。年齢を重ねても、20~30代の感覚と変わらず、結婚=子育てと考えがちです。

ただ、女性の社会進出が進み、経済的に大きく頼らざるを得なかった時代とは変わって来たため、「男性がかなり年上の年の差結婚」は減少傾向で、高収入男性であっても年齢差がある男性は選ばれづらくなっています。50代以上で同世代と結婚するとなると、出産は難しい年齢になりますから、子育て前提の考えを一度外してみると新たな出会いに繋がることがあります。

◆2.ジェネレーションギャップを感じない同世代に目を向ける

内田さんがお見合いでスナックのママとするようなトークをしてしまうところを、番組では「昭和の男」と表現しましたが、年代ごとの感覚・社会・文化があり、婚活でもジェネレーションギャップとしてあぶりだされることがあります。

そもそも50代以上となると固定観念が強くなりますから、感性が古いままになりがちです。よくあるのが、子供が欲しいと20歳以上年が離れた女性を望みながら、「共働き時代なのだからデート代は割り勘にしたい。子供を産んで、家事はすべてやってほしい」と平気で言ってしまう男性の事例です。出会いさえあれば、すぐに自分を好きになってくれて、思い通りの女性・思い通りの妻になってくれると思い込んで、先走ってしまうケースもあります。もちろん、これでは結婚できません。相手にも希望も夢も好みもあり、双方の希望が合致しなければ、ご縁はつながりません。

逆に、50代男性で30代女性と結婚する人は、仕事や身近にその年代の方がいて、アンテナも張っているので、30代の感覚が分かり、年齢差を感じさせません。さらに、年齢差があるからこその包容力や経済力も持ち合わせています。ですから、そういう特例でなければ、お互いが対等でいられてジェネレーションギャップを感じない、同世代のお相手に目を向けるほうが、実はうまくいくケースが多くあります。

◆3.相手の中身を重視し、自身も「優しい人」になる

番組の中で、奥様となった女性が内田さんの連絡頻度が減ったことを咎めたら、実は内田さんのお母様が急逝していて「大変な時に、彼を信じてあげられなかった」と後悔。その後、和解してプロポーズへと繋がるシーンがありました。

こういった場面で、「私を無視するなんて!」と激怒する人、さっさと交際を終了してしまう人もいます。その点、お相手の気持ちを想像し、思いやって、自身の行動を振り返って素直に反省できたのは、彼女の人柄の良さです。

40代半ば以降の男性の9割は、相手に求める条件に「優しい人」と書きます。裏を返すと、同年代の女性は一般的に、更年期と呼ばれる時期にさしかかる方が多くなり、さらに社会的地位も高くなってくると、言動がトゲトゲしくなる方が増える傾向にあります。

婚活をすればするほど、そういう相手に会ってバッサリと斬られることが増えますから、「なるべく怖い人を避けたい、優しい人がいい」と願ってそういう希望を書くようになります。

ただ、お相手に願うのであれば、自身も優しく思いやりを持って接するべきです。例えばお相手の言動が仮にちょっとトゲトゲしかったとしても、その背景を思いやったりお相手の気持ちになって考えてみる。私がよくいう、「顔はついていればいい」ということの真意は、「中身や人間性こそ大事」ということです。

◆4.苦難を乗り越えた経験値を思いやりに変える

内田さんの奥様になった女性は、前夫との不妊治療がうまくいかず、精神的に苦しい経験があったことを明かしています。そして内田さんも、前妻とは妊活をきっかけに不仲となり、離婚後に「当時もっとかけられる言葉があったのでは」と後悔しています。

子はかすがいですが、妊活をきっかけに離婚する人も多くいます。しかし、妊活に苦労した経験値があるからこそ、いたわりやなぐさめの言葉を知ることもあります。そういった辛い経験を、思いやりに変えられるかが重要なのです。

いくら恋愛経験があっても、結婚の経験とは深さが違います。一緒に人生を歩んでいく覚悟、我慢、協調性、同調性、思いやる気持ち。これらは年齢や恋愛経験ではなく、乗り越えた経験の違いです。

◆5.「結婚は生活」と理解して

内田さんの住まいについて、以前の婚活相手の女性は「外階段で見栄えが悪い」とダメ出しをしましたが、奥様となった女性は「きれいにしているね」と褒めていました。これも、再婚同士の利点がよく出ているシーンです。

「結婚は生活」であり、点でなく線のように続いていく現実です。住まいについても外見の見栄えではなく、男性一人暮らしでありながら、掃除の行き届いた室内を褒めたのです。

初婚ですとどうしても夢とロマンを重視してしまい、「こうあるべき」「こうあってほしい」と考えがちです。ただ一見、所帯じみていることでも拒絶せず、いい所を見つけて前向きに受け入れる視点を持てるかどうかは、熟年婚活の分かれ道となります。

◆50代「熟年婚活増加」の背景

婚活現場では、50代の再婚が特に増えている実感があり、再婚者は年齢を重ねてもスムーズに活動される方が多くいらっしゃいます。

国勢調査で算出される「生涯未婚率」は、調査年に結婚歴がない50歳以上の男女の割合を指します。定義された当時は、50歳で未婚ならば将来的に結婚する予定がないと推定されていたのでしょうが、現在では50代以降に結婚する方も増えています。

生涯未婚率は、1990年時点では男性5.6%、女性4.3%と低い数字でしたが、2015年は男性23%、女性14%、2020年は男性28%、女性18%へと急増しています。今の50代が20代だった1990年当時は、多くが結婚していた世代ですが、時代の変わり目ですから、その後、離婚する人も増えていきました。40代まではその場しのぎの恋愛を楽しめたとしても、お金も労力もかかりますし、家に帰ればひとり……となると、たとえお金があっても虚しくなったという声も聞いています。

人生100年時代の後半。もう一度、誰かと手を取り合って安心できる温かい家庭を作りたいと思ったら、ぜひいくつになっても婚活を始めていただきたいです。

結婚相談所代表・恋愛・婚活ジャーナリスト 植草美幸

千葉県出身。青山学院大学卒業。結婚相談所マリーミー代表、恋愛・婚活アドバイザー。1995年に、アパレル業界に特化した人材派遣会社、株式会社エムエスピーを創業。そこで培ったコーディネート力を活かし、2009年、結婚相談所マリーミーをスタート。以後10年以上にわたり年間約1,000組の恋愛・結婚に対するアドバイスを行い、業界平均15%と言われる成婚率において、約80%の成婚率(※)を記録している。『結婚の技術』『婚活リベンジ!』など、著書は計14冊。メディア出演の他、地方自治体をはじめとした講演依頼も多数。(※) 成婚退会者数÷全体退会者数で算出。

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