都知事選の争点?「現住所:東京」にこだわる東京ならではの婚活事情
■都知事選の争点は少子化対策? 「出生率0.99」東京の婚活事情
7月7日投開票の東京都知事選挙が盛り上がりを見せていますが、今回の選挙では「少子化対策」が争点と言われています。日本全国のなかで圧倒的に人口が多く、出会いの場も多いはずの東京都ですが、「合計特殊出生率」が全国的にも8年連続で減少するなか、東京都は初めて1を下回る「0.99」となったのが記憶に新しいところです。
今回は、東京という場所に特化した、婚活事情をお伝えします。
■東京在住の人は、「現住所:東京」へのこだわりが非常に強い
私が代表を勤める結婚相談所は、東京・青山にあり、結婚相談所の全国平均に比べると、男女ともに平均年収が高いのが特徴です。会員のみなさんは日本全国・海外にもたくさんいらっしゃいますが、やはり東京在住の方が多いです。
高所得で東京在住のみなさんに共通するのは、居住地へのこだわりが非常に強いということ。年収が高いぶん、ハードに働いていますから、職場からタクシーで5~15分あれば帰れる場所。深夜まで働くから、通勤だってドアツードア30分が限界とおっしゃる方も大勢います。都会的な場所に住んで、ムダを省き、家に帰ったらすぐに寝たい。食事も外食かデリバリーで手間をかけずに済ませます。
そういった暮らしに満足していると、結婚後も「東京暮らしが維持できる人」が条件になり、お相手も東京在住であることにこだわります。「住所が埼玉・千葉・神奈川でもいいでしょう? 川ひとつ渡れば東京ですよ」と説得しても、「その人、東京に引っ越して来ませんよね?」「え~、どうして東京に来ないんですか?」の一言でアウトになってしまいます。
自身が地方出身者であっても、いま東京に住んでいるなら、結婚しても東京に住み続けたい、今後も田舎に戻るつもりはないと主張します。いまの婚活世代は、親もほとんどがサラリーマンですから、地元に守るものはありませんし、田舎に帰る理由がないのです。コンビニまで車で行くなんて考えられない。自分の家から数百メートル歩けば地下鉄の駅がある、そんな東京ならではの生活やブランドを手放したくないのです。いま東京は土地の価値が上がっていて、アドレス(住所)そのものの価値が高くなっています。港区の某タワマンは、同じ部屋が10年弱前に6800万円だったものが2億2000万円に上がっている物件もあるほどです。古くなってもなお価値が上がるのは、アドレスの価値にほかなりません。
そういう人たちには、「現住所:東京」が最優先。東京の中でも「何区がいい」という指定まであります。特に女性は、住むところへのこだわりが強いです。東京都心部、とくに都心5区や都心6区と呼ばれる千代田区、中央区、港区、渋谷区、新宿区、文京区はブランド立地として根強いのです。
土地もマンションも物価も高い東京で、子育てはどうするのか? というとあまり先のことは見据えておらず、「今の自分が住みたいところ」しか考えていないことが多いです。だからこそ、東京の少子化はなかなか解消されない課題なのでしょう。
■年収1200万円の男性とマッチングしても断固拒否
ある婚活女性は年収800万円で、年収1100万円・研究職の男性とマッチングしました。彼は、神奈川県の工場に沿線の駅から会社のバスで通勤をしているので、都内に引っ越すことは考えていないそうです。そもそも男性の方が年収が高いので、住むところはお相手の職場を考慮してしかるべきでしょう。しかし、その女性は「私は結婚してもいま住んでいる目黒区から出たくない」というこだわりがあり、断固譲りません。「戸塚は? 川崎は? 横浜ならどう?」と聞きますが、どうしてもダメで、破談となってしまいました。東京と神奈川は隣同士の県なのに、ハードルになってしまうのです。
逆に言えば、どこにでも移動できる人は引く手あまた。2020年3月くらいからリモートワークが大きく普及したのもひとつの分岐点となりました。お相手への希望条件を上げたい人は、住むところにこだわらず、どこでも働ける、移動できる状態にしておくと非常にお相手の幅が広がりやすくなります。「現住所:東京」にこだわりすぎている人は、ぜひご自身を棚卸しして、本当に望むものや理想の将来像を改めて考えてみてください。