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現WBOスーパーウエルター級チャンプvs.元WBA/WBC統一ウエルター級王者

林壮一ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Zain Mohammed/NO LIMIT BOXING

 元WBA/WBC統一ウエルター級チャンピオンのキース・サーマンが、2022年2月以来のリングに上がる。スーパーウエルター級に上げ、WBO王者ティム・チューとノンタイトルで対戦する。来月3月30日に、ラスベガス、Tモバイル・アリーナで催される。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 サーマンの戦績は30勝(22KO)1敗。唯一の黒星は、2019年7月にマニー・パッキャオに喫したもの。とはいえ、直近のファイトでさえ931日ものブランクを作っていた35歳のサーマンが、チューと互角のファイトを演じられるようにはとても思えない。

 2年前の一戦も、下のクラスから転向してきたマリオ・バリオスだからこそ、白星を挙げられたのだ。バリオス戦後、サーマンはこんなコメントを残した。

 「キャリアにおける最高のパフォーマンスを披露したかったんだが、自己評価するならC+かB-だな。まぁ、バリオスを圧倒したことは間違いない。ダウンを奪えなかったし、KO勝ちもできなかったけれど、素晴らしいファイトはお見せ出来たんじゃないかな。ベルトが欲しいよ。チャンピオンに返り咲いてみせる。必ず!」

写真:REX/アフロ

 上り調子だった頃のサーマンは元世界チャンプのショーン・ポーター、ダニー・ガルシア、そしてロバート・ゲレーロを破り、147パウンドのトップ選手として存在感を示した。ガルシアとの無敗のウエルター級王者同士の統一戦ではスプリットディシジョンでWBCチャンピオンを下し、統一王座に就いている。

 しかし、それは過去の話だ。

Ryan Hafey/Premier Boxing Champions
Ryan Hafey/Premier Boxing Champions

 チュー戦が正式に決まった際、サーマンは話した。

 「私はリングに戻ってきた。この興行に参加できて嬉しい。チューはファイターとして類稀なものを持っており、私は常に彼のパフォーマンスに感心していた。あの独特のスタイルに対抗するには、トレーニングに集中し、スキルを磨き上げ、更に精神を強化しなければいけない。

 絶え間ない献身力も必要とされる。この試合は、ファンを魅了する2名のファイターによる壮絶な戦いとなる筈だ。注目を集めるイベントになることは間違いない」

Zain Mohammed/NO LIMIT BOXING
Zain Mohammed/NO LIMIT BOXING

 ジャーメル・チャーロが2階級上げて4冠スーパーミドル級チャンピオン、サウル・“カネロ”・アルバレスに挑んだことで、WBOは、暫定スーパーウエルター級チャンピオンだったティム・チューを正規王座に就かせた。昨年10月に初防衛に成功し、今回も安牌な相手を迎える。単なるチューンナップ試合だ。

 24戦全勝17KOで、かつて140パウンドで己の時代を築いたコンスタンチン・チューの息子であるWBO154パウンド王者は語った。

 「このような歴史的なイベントのメインイベンターを務める機会を、長い間待っていた。光栄だし、軽視など絶対にできない。父は米国で、10年間もトップに君臨し、成功を手にした。今度は私の番だ。サーマンは素晴らしいファイターであり、トリッキーでタフだ。

 ただ、今は新しい時代。3月30日に、PPVを視聴する人は皆、自分の目で、俺の時代だということを認識するだろう」

 チューはもっと力のある選手と対戦すべきだ。ミスマッチにならなければいいが…。

ノンフィクションライター/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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