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クリスマス寒波の後に年末寒波

饒村曜気象予報士
地上天気図(平成30年(2018年)12月23日3時)

クリスマス寒波

 クリスマスの頃に日本列島に南下してくる大規模な寒気を「クリスマス寒波」と言います。

 クリスマス寒波という言葉が、新聞等で使われるようになったのは、日本が高度成長期に入り、各家庭でクリスマスを祝うようになった昭和30年代後半(1960年代前半)のようです。

 今週は、移動性高気圧が日本列島を通過し、南から暖かくて湿った空気が流入し、全国的に暖かくなりましたが、その後に発生した低気圧があまり発達せずに本州の南海上を通過したため、すぐには西高東低の冬型の気圧配置にはなりませんでした(タイトル画像参照)。

 23日(日)は、西日本付近で低気圧が発生し、東進するため、午後からは全国的に曇りや雨となり、気温は平年並みか、平年より高い所が多くなる見込みです。

 この低気圧が日本の東海上で発達するため、日本付近は西高東低の冬型の気圧配置となって、強い寒気が南下します(図1)。

図1 予想天気図(12月24日9時の予想)
図1 予想天気図(12月24日9時の予想)

 クリスマス寒波です。

 北海道の上空5500メートルには、大雪の目安とされる氷点下36度以下の寒気がやってきます(図2)。

図2 上空5500メートルの気温(12月24日夜)
図2 上空5500メートルの気温(12月24日夜)

 ただ、このクリスマス寒波は一時的で、強いものではありません。

 年末には、もっと強力な寒波が南下します。

年末寒波

 クリスマス寒波により、東京の25日(火)のクリスマスの日の最高気温は9度(誤差幅を考えると6度から11度)となり、最高気温でも10度を下回る可能性が高くなります(図3)。

図3 東京の12月の気温変化(23日の最高気温及び24日以降の気温は予報値)
図3 東京の12月の気温変化(23日の最高気温及び24日以降の気温は予報値)

 最低気温は4度(誤差幅を考えると2度から5度)と、霜が下りる可能性もあります。

 ただ、この寒さは一時的です。年末には、もっと強力な年末寒波が襲来します

 年末の帰省ラッシュが始まっている12月29日(土)は、最高気温の予想が8度(5から11度)、最低気温は1度(氷点下2度から3度)の予報です。

 東京の都心部でも氷点下の可能性が十分ある寒さの予想です。

年末は気象情報と交通情報

 今年、平成30年(2018年)の年末寒波は、一年のうちでもめったにない強力な寒波です。

 日本列島は全国的に暴風が吹き、北日本や北陸では大雪の可能性があります。寒さにより水道管の凍結や路面凍結も懸念されます。

 飛行機や新幹線など、交通機関が混乱する可能性がありますので、年末年始に帰省を予定されている方は、常に気象情報や交通情報の入手に努め、早め、早めの行動をお願いします(図4)。

図4 各地の12月29日の天気予報
図4 各地の12月29日の天気予報

 また、冬山登山など年末年始の休みを利用して楽しもうと考えているかたは、安全第一に配慮して行動してください。

 無理をしなくても、次の機会はいつでもあり、山はいつでも待っています。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁ホームページより著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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