「C・ロナウドがいなければ優勝候補」? 対抗馬インテルをユーヴェOBも高評価
2018-19シーズンのイタリア・セリエAが、今週末に開幕する。
優勝候補が7連覇中の王者ユヴェントスであることは変わらない。絶対的支柱だったジャンルイジ・ブッフォンこそ去ったが、あのクリスティアーノ・ロナウドが加わったのだから当然だろう。
CR7を獲得したのは、1996年を最後に遠ざかっている悲願の欧州制覇のためだ。だが、マッシミリアーノ・アッレグリは決してリーグタイトルの序列を下げたりしない。すべてのトロフィーを目指す指揮官だ。ユーヴェにとって、前人未到のスクデット8連覇が大きな目標であることは変わらない。
近年と違うのは、対抗馬のほうだ。最近はローマ、ナポリの南部の雄たちが奮闘していたが、今季は7年ぶりにチャンピオンズリーグの舞台に戻るインテルが高く評価されている。
◆積極補強で充実の戦力
ルチアーノ・スパレッティ体制2年目のインテルは、この夏のメルカートで積極的な動きをみせた。
まずはフリーでステファン・デ・フライとクワドゥオ・アサモアを獲得。堅固だった守備陣中央をさらに充実させつつ、長年にわたる懸案事項とされていた左サイドの強化に成功した。
さらに、アルゼンチンの新星ラウタロ・マルティネスも、プレシーズンマッチで見事なジャンピングボレーを叩き込むなど評価がうなぎ上り。マウロ・イカルディの控えとして以上の、背番号10にふさわしい活躍が期待されている。
中盤には、スパレッティのローマ時代の愛弟子ラジャ・ナインゴランが加入。負傷で出遅れたのは計算外だが、セリエでの実績は周知のとおり。確実な戦力となるだろう。
ほかにも、国外からセリエを知る実力者たちを引っ張ってきた。ワールドカップで活躍し、クロアチアの準優勝に貢献したシメ・ヴルサリコと、モナコから1年でイタリアに戻ってきた元ラツィオのケイタ・バルデだ。
今年イタリア代表デビューを果たしたマッテオ・ポリターノも獲得し、前線の選手層は厚みを増した。サポーターがあきらめていないルカ・モドリッチ獲得という夢がどのような結末を迎えようとも、すでに攻守両面で充実した戦力を整えていると言えるだろう。
◆宿敵のOBからも賛辞
実際、8月15日付『ガゼッタ・デッロ・スポルト』では、ユヴェントスのOBたちの多くから「対抗馬はインテル」の声が挙がった。
コメントしたのはステーファノ・タッコーニ、モレノ・トリチェッリ、セルジョ・ブリオ、クラウディオ・ジェンティーレ、アントニオ・カブリーニ、アンジェロ・ディ・リーヴィオ、アレッシオ・タッキナルディ、マウロ・カモラネージ、フランコ・カウジオ、ファブリツィオ・ラヴァネッリ、ズビグニェフ・ボニエクの11名。
そのうち、対抗馬にインテルを挙げなかったのは「ローマとナポリのほうが良い」としたボニエクのみ。残る10名はインテルの名前を出しており、うち7名は単独の対抗馬としている。
もちろん、あくまでも対抗馬という見方は少なくない。インテルを単独対抗馬とした中でも、ブリオ(「常にユーヴェがいる」)やジェンティーレ(「トライできる」)のコメントには、古巣の有利は変わらないという考えがうかがえる。
ただ、トリチェッリ(「対抗馬で間違いない」)やカウジオ(「ユヴェントスを苦しめられる」)、ディ・リーヴィオ(「とてもよくつくられている」)など、インテルを高く評価するユーヴェOBもいるのは事実だ。
◆優勝候補とするジャーナリストも
メディアの視点では、15日付『コッリエレ・デッロ・スポルト』で、イタロ・クッチ、アルベルト・ダッラ・パルマ、ジャンカルロ・ドット、ロベルト・ペッローネ、アルベルト・ポルヴェロージと5人のジャーナリストがトップ4を予想。ドットがインテルを優勝候補に挙げ、さらに3名が対抗馬とした。
その一人、ダッラ・パルマ記者の「C・ロナウドが来なければ、インテルがポールポジションと言っていただろう」という一文は、ユーヴェの強さと同時にインテルのレベルアップも物語っている。
『ガゼッタ』によると、ユヴェントスの現メンバーが5大リーグで優勝した回数は、合計で78にも上る(最多はアンドレア・バルザーリの8回)。これに対し、インテル(8)はミラン(13)やローマ(12)にも及ばない。しかも、そのうち6つはアサモアがユーヴェ時代に獲得したスクデットだ。
それでも、ユーヴェの1強時代が長く続いていることもあり、インテルへの期待値は大きい。14日に契約延長を勝ち取り、落ち着いてシーズン開幕を迎えられることになったスパレッティの下で、インテルはその期待に応えられるだろうか。