ミカ・ハッキネンにも会える!3月鈴鹿ファン感謝デーに往年の名選手が登場へ。
モータースポーツの新シーズン開幕を心待ちにしているファンも多いことだろう。国内レースの本格的な開幕は4月からとまだ少し時間があるが、3月は鈴鹿サーキット(三重県)で恒例の「モータースポーツファン感謝デー」(3月4日〜5日)、富士スピードウェイでは開場50周年を記念したイベント「富士ワンダーランドフェス」(3月12日)とモータースポーツをテーマにしたビッグイベントが相次いで開催される。今回は鈴鹿の「モータースポーツファン感謝デー」をピックアップしてみよう。
元F1王者のハッキネンが鈴鹿に来場
当初、今年の鈴鹿・ファン感謝デーにはF1を引退したフェリペ・マッサの来場がアナウンスされていたが、ニコ・ロズベルグの突然の引退の影響でマッサは今季も「ウィリアムズ」でF1を戦うことになり、来場がキャンセルされてしまった。そんな中、代わりと言うには大物すぎる、元F1ワールドチャンピオンのミカ・ハッキネンが来場することが鈴鹿サーキットからアナウンスされたのだ。
ハッキネンといえば1990年代の「F1世界選手権」で活躍し、F3時代からミハエル・シューマッハと共にアイルトン・セナ亡き時代を牽引した名選手。F1ブーム期の1991年に当時弱小チームへと成り下がってしまっていた名門「ロータス」からF1デビュー。予選落ちギリギリのポテンシャルしか備えていなかったマシン、ロータス102B・ジャッドで苦戦。F3時代からのライバルで、同年にいきなりトップチーム「ベネトン」のシートを掴んだミハエル・シューマッハとは対象的な苦労の連続だった。
1993年に「マクラーレン・ホンダ」と契約するも控え選手扱いに。ただ、後にメルセデスと共に成功することになる同チームでエースドライバーとして活躍することになる。しかし、1995年には瀕死の重傷を負う大クラッシュも経験。次々にやってくる苦難を乗り越え、1997年にようやく初勝利を掴むことになる。1990年代はイケイケドンドンのシューマッハ、さらにはデイモン・ヒル、ジャック・ヴィルヌーブらを擁する「ウィリアムズ・ルノー」が強さを見せた時代。ミカ・ハッキネンはF1に復帰したばかりのメルセデスエンジンを勝利、そして王者へと導いた功労者だった。1998年、1999年には「マクラーレン・メルセデス」で2年連続のワールドチャンピオンに輝き、2001年にハッキネンはF1を引退した。
苦労人ハッキネンの走りに感情移入したファンも当時は多かった。柔らかいマスクが放つ良い人オーラと苦難を乗り越えて掴んだチャンピオンへの道のり。そして、98年も99年共に当時最終戦だった鈴鹿サーキットの「日本グランプリ」で優勝して王座に就いたということも日本人ファンから愛される理由といえる。鈴鹿の歴史に欠かせないミカ・ハッキネンの16年ぶりの来場となる。
鈴鹿8耐・最多勝、宇川徹がデモラン
鈴鹿サーキットで1978年から開催している伝統の耐久レース「鈴鹿8時間耐久ロードレース」は今年、40回記念大会を迎える。過去39回の大会で5勝の最多勝記録を持っているライダーが宇川徹(うかわ・とおる)。鈴鹿8耐・40回大会を記念した走行イベント「伝統の8耐 ドリームラン」に出演し、2000年の優勝マシン「ホンダVTR1000SPW」をデモンストレーション走行することになった。
宇川徹は1990年代を代表するレーシングライダー。1990年に「バイクの甲子園」と呼ばれた鈴鹿4時間耐久レースで柳川明(やながわ・あきら)と組んで優勝(当時17歳)。翌年には鈴鹿6時間耐久レースでも優勝してプロライダーに。以降、全日本ロードレース250ccクラス、WGP(ロードレース世界選手権)250ccクラス、500ccクラス、MotoGPクラスでホンダワークスライダーとして活躍した。MotoGPクラスで優勝した数少ない日本人ライダーの一人としても知られる。
鈴鹿8耐は1997年に伊藤真一(いとう・しんいち)とのコンビで初優勝。それ以降、98年、2000年、2004年、2005年と史上最多5勝を記録。鈴鹿8耐の優勝が年間のモータースポーツ活動の中の最重要テーマの一つとなっているホンダのワークスライダーとして、プレッシャーから解放された時に表彰台で叫ぶ姿も印象的だった。
そんな宇川はワークスライダーとしての功績が讃えられ、本田技術研究所の社員となった。サラリーマンとなってからは趣味で草レースに出場したりするものの、表舞台となる大きなイベントに出演することはなかった宇川。鈴鹿サーキットのイベントも10年ぶりの出演となるそうだ。鈴鹿8耐40回記念大会を前にレジェンド、宇川の想いが詰まった記念デモ走行となる。
肩の力を抜いて楽しみたいイベント
鈴鹿のファン感謝デーは毎年コンテンツが盛りだくさんのイベントである。名選手のトークショーが楽しめるほか、「スーパーフォーミュラ」「SUPER GT」「スーパー耐久」「鈴鹿8耐」などビッグレースのマシンによるデモンストレーション走行が次々に行われていく。またピットガレージなどレースの時には入場できないエリアも楽しめるのも特徴だ。
入場料は通常の遊園地入園料となっているが、ホームページにある「特別ご招待券」をプリントアウトして持参すれば5名まで無料となる。懐かしいドライバーや往年のマシンとの出会いもあり、様々なモータースポーツの魅力を一度に感じられるイベントだけに毎年非常に人気が高い。今のモータースポーツって本当に盛り上がっているの?と疑問に感じる人はぜひ一度足を運んでもらいたいイベントである。きっとモータースポーツに対する印象は変わるだろう。