ファミマ 細見新社長 "稼ぐ、削る、防ぐ"で新しいコンビニ像へ。
"あなたと、コンビに、ファミリーマート"
細見研介新社長は、ファミリーマートの将来像はこの言葉に集約されているとの見解を示し、歴史あるメッセージをベースにアフターコロナの新しいコンビニへ進化させていくのだろう。
細見新社長は、岡藤正広会長CEOのビジネスの育て上げた繊維ブランドビジネスの系譜を諸藤昌浩繊維カンパニープレジデントと共に受け継いでおり、繊維で培ってきたブランドビジネスのノウハウをファミリーマートのブランド力向上に積極的に取り込んでいくと思われる。
非上場化で身動きを取りやすい形になりデジタル化も伊藤忠商事のシナジーを最大限に活かしサプライチェーンの再構築も進んでいきそうだ。
前任の澤田貴司副会長は、サンクス・サークルKとの合併ファミリーマートへの転換を速やかに進める見事な対応だったが、一方、商品面においてはファミチキやお母さん食堂などのPRに特化し、新商品の開発などでは停滞を招く結果にも繋がっていた。細見社長の商品はひとつひとつ精度を上げていくという意気込みにも今後期待が持てる。
筆者は、コンビニ各チェーンのオーナーに適時ヒアリング取材を実施しているが、ファミリーマートは、レジが他チェーンと比べて、かなり遅れているという意見が多く聞かれる。このレジの遅れは細見社長が目指すデジタル化と契約更新の足枷となり、ファミリーマートの現在のウィークポイントである事は間違いない。
他社の新型レジと比較すると、自動釣り銭機が付いていない為、釣り銭間違いも起こりやすく、店員のレジ点検にも時間が掛かる。細かい事ではあるが、お酒やタバコの年齢認証が必要な商品をお客さまがお買い上げになる時、年齢認証の商品を店員がJANコード読み込み後、お客さま側がOKボタンを押さないと、他の商品のJANコードの読み込みが出来ないためレジの接客時間が長くなってしまう。
また、電子マネーや収納代行、ファストフードなどのモニターを使ってレジ精算をする商品やサービスに関してはモニターが小さく店員側は非常に使いづらい。
シーズンにもよるが1日平均850人前後の接客があるため、接客の効率化はオーナー・顧客満足度、省人化にとって非常に重要となる。
本部と現場の乖離を埋めていく事が、細見新社長のビジネスポリシーである"稼ぐ、削る、防ぐ"を進めていく、一丁目一番地かもしれない。
コンビニ業界に染まっていない顧客視点で新しいアフターコロナのコンビニ像が構築される事を期待したい。