2020年はインドが熱い?ANAはチェンナイ、JALはバンガロールへの就航を発表
少し先の話になるがインド南部への直行便が、今年後半から来年にかけて相次いで就航する。ANA(全日本空輸)は今年のウインターダイヤ期間中(10月27日~2020年3月30日)にチェンナイへ就航することを発表。更にJAL(日本航空)も2020年度のサマーダイヤ(2020年3月31日)までにバンガロール(ベンガロール)へ就航することを発表した。両航空会社共に成田からの直行便として運航される計画となっている。
現在ANAはデリーとムンバイ、JALとエア・インディアがデリーへの便を運航
現在、ANAは成田~デリー線と成田~ムンバイ線を1日各1往復、JALは成田~デリー線を1日1往復運航している。また、インドへの直行便としてはエア・インディアも成田~デリー線を週4往復、関西~香港~デリー線を週3往復を運航している。
ANAによると成田~デリー線の搭乗率は75%前後、成田~ムンバイ線の搭乗率は65%前後で推移している。またJALによると成田~デリー線の搭乗率は80%前後で推移しており、堅調な市場となっていることで、ANA・JAL共にインドへの新路線就航を決めたようだ。
観光、ビジネス共に期待したい路線に
ANAが就航するチェンナイ、JALが就航するバンガロール共にインド南部の都市だ。チェンナイは自動車産業を中心に製造業が集積しており、日本企業の進出も相次いでいる。ANAによると、日本からチェンナイへはビジネス需要、チェンナイから日本へは訪日需要を想定しており、70%の搭乗率を目指す。加えて、インド国内で第2の港湾を有しており、自動車産業が盛んであることから、自動車部品などの貨物需要にも期待している。
JALが就航するバンガロールは、人口はデリー、ムンバイの次に多い都市でIT産業が盛んな場所として近年注目されており、JALによると、情報通信、バイオテクノロジー、自動車をはじめ、世界各国の多くの企業が戦略上重要な拠点になっていることから、日本だけでなく、成田乗り継ぎでアメリカを中心とした世界各国とのスムーズな移動を実現したいとしている。
日本人のビザ取得は昔に比べると楽に。到着時の取得も可能に
日本人にとっては、現在もビザ(査証)が必要な数少ない国で、これまでビザの取得が面倒だったという経験を持つ人も多いだろう。だが現在は、インターネット上でビザの申請・発給ができる「e-VISA」や日本人においては到着時の空港でビザの申請ができる「VISA ON ARRIVAL(アライバルビザ)」などでビザの取得も容易になっている。2016年に日本からインドを訪れた日本人は約20万8000人で、この5年間を見ても20~22万人程度で推移している。
インドからの訪日客は5年前の2倍に
また、日本を訪れたインド人は、2018年は約15万4000人を記録した。この10年のインド人の訪日旅行客のデータは以下の通りであるが、5年前の倍になっており、更なる増加が期待されており、近い将来、日本からインドを訪れている20万人前後で並ぶもしくは上回る可能性も十分あり、成長が望める路線と言ってもいいだろう。
■インドからの訪日外客数
2018年:15万4000人(速報値)
2017年:13万4371人
2016年:12万2939人
2015年:10万3084人
2014年:8万7967人
2013年:7万5095人
2012年:6万8914人
2011年:5万9354人※東日本大震災が3月に発生
2010年:6万6819人
2009年:5万8918人
2008年:6万7323人
出典:日本政府観光局(JNTO)
インド国内の移動も強化すべく、インドの航空会社との提携を進める
インド国内の移動においても、ANAはスターアライアンスに加盟しているエア・インディアと独自提携をしているジェットエアウェイズの2社と提携している。またJALはビスタラとの提携を進めており、今度コードシェア等による乗り継ぎ都市拡大の可能性を含めて検討することを明らかにするなど、両社共に乗り継ぎも含めたインド国内全体へのアクセス強化に取り組む。
「インドのデトロイト」VS「インドのシリコンバレー」
ANA、JAL共に既に就航している都市(ANAはデリーとムンバイ、JALはデリー)以外で新規就航先を時間をかけて検討した結果、ANAはチェンナイ、JALはバンガロールへの就航を決めた。製造業が多いチェンナイは「インドのデトロイト」、IT都市のバンガロールは「インドのシリコンバレー」と呼ばれており、インド南部への主導権争いが激化することになるが、両社が共に就航することによる相乗効果でインド南部と日本が観光・ビジネス双方においてより身近な場所になって欲しい。