ラニーニャ終わり、その後は?
今回のラニーニャは正式に認められず。今後はしばらく平常の状態が続く。しかし、2017年後半はエルニーニョが再び、発生する可能性があるという。その背景には太平洋の海面水温が十年規模で変動する現象があった。
幻となったラニーニャ現象
2016年秋に発生したラニーニャは当初の予測に反して、弱い状態が続き、2017年1月に終息しました。
正式にラニーニャ発生と認められるには6か月以上持続しなければならないため、短期間で終了した今回は正式な記録に残りません。
ただ、一時的にせよラニーニャであったことは変わらず、2016年10月の西日本を中心とした記録的な高温と日照不足にラニーニャが影響しました。
ラニーニャといわれても、どこか遠いイメージがありますが、天候不順による野菜高騰が長引いた背景に日本から遠く離れた海の影響があったといわれれば、身近に感じられます。
2017年後半はエルニーニョ現象発生か?
現在はラニーニャでもなく、エルニーニョでもない状態です。
世界気象機関が16日発表したエルニーニョ/ラニーニャの見通しによると、2017年前半は現在の平常状態が70%-85%の確率で続く可能性があります。
ただ、5月以降は予測に変化が見られるようになり、2017年秋、もしくは2017年冬にはエルニーニョが再び、発達する確率が35%-40%と高くなっています。
エルニーニョと関係が深い「太平洋十年規模振動(Pacific Decadal Oscillation:PDO)」
エルニーニョが発生すると予測される背景には太平洋十年規模振動(Pacific Decadal Oscillation:PDO)があります。太平洋の海面水温はエルニーニョ/ラニーニャに代表される数年規模の変動から地球温暖化に伴う百年規模の変動まで、さまざまに変化しています。
そのなかでも十年から数十年の規模で変動する太平洋十年規模振動(PDO)はエルニーニョ/ラニーニャとの関係が深いとされ、近年とくに注目されている現象です。
2016年春に終息した前回の大規模エルニーニョの影響は今なお、赤道から離れた場所に残っていて、太平洋十年規模振動(PDO)は現在、北太平洋中央部の海面水温が低く、北米沿岸の海面水温が高い、正の状態となっています。この正の状態がエルニーニョへとつながる可能性があるのです。
天気と比べて、緩やかに変化する海洋。でも、その影響は長く、そして広い。太平洋という世界最大の海洋が見せる変化はとても興味深いです。
【図の説明】
太平洋十年規模振動(PDO)指数に対する海面水温の回帰係数(PDO指数が正の時に海面水温に見られる傾向)。統計期間は1901年1月~2000年12月。(気象庁ホームページより)
【参考資料】
世界気象機関(WMO):El Nino/La Nina Update,Published 16 February 2017
米気候データセンター(NCDC):Pacific Decadal Oscillation (PDO)
気象庁ホームページ:太平洋の海面水温に見られる十年~数十年規模の変動
気象庁:エルニーニョ監視速報(No.293),2017年2月10日