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安芸キャンプ 雨のブルペンで掛布監督が島本投手を絶賛!《2/20 阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
左打席に立ち、島本投手(左)にインハイの球を要求した掛布監督。結果は「OK!」

阪神タイガースの安芸キャンプは、きのう20日から最終クールに入りました。ちょうど1週間前の13日と同じく、きのう20日も本格的な雨で試合は中止。西武ライオンズのB班(高知・春野キャンプ組)とは毎年恒例の顔合わせなのに、ことしはスケジュールの都合で春野の試合もなかったので対戦なしです。

なお23日に入っていた四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグスとの練習試合は、当日の予報が良くないため22日の12時半からに変更されました。ご注意ください。

さて、きのう20日の練習後、掛布監督は「やりたかったなあ、きょうの試合。西武さんだしね。高山を1番で、板山を5番で使うつもりだったんだよ。どういう対応をするか見たかった。まあでも雨だから仕方ないかな」と話し、記者陣から「西武側もドラフト1位の多和田真三郎投手(富士大)が登板するはずだった」と聞き「いろいろ投げさせてくれる予定だったんだよね」と、さらに残念そうでした。

きのうは『自主練習の日』で、高山選手と板山選手は安芸ドーム内で特打。安芸ドームで快音を響かせ、最後は高山選手の「バッティング終了でーす」で締め。と思ったら、ボール集めが終わったところで掛布監督から何かアドバイスがあったため、高山選手は筒井打撃コーチに投げてもらっての“おかわり”です。10分程度のものですが、監督の身振り手振り&言葉によると体のひねりが少し早い、というふうな話でしたね。

「ちょっと疲れがあるのかな。ちょっとバランスが崩れてるね。でもゲームでの対応力あるからねえ」と掛布監督。いずれにしても、きょう21日の練習試合(韓国・ハンファイーグルスの2軍キャンプ組)で、それを見せてくれるでしょう。

なお同い年のライバルという点で、掛布監督にとって江川卓さんとの対戦は特別だったかと質問され「周りがそういう対決色を濃くして、雰囲気作りをしてくれるから、オレも江川も乗っていった。球場の雰囲気も違ってくるんだよね。マスコミが注目するような対決、最近少なくなってるんじゃない?そういう選手に、高山もなっていかないとね」と期待の言葉です。

「島本が素晴らしいね!」

きょうはブルペンにも行かれて…と話を振られた掛布監督はキラリと目を輝かせ、ひときわ大きな声でこう言いました。

「島本がすごいね!素晴らしいね!本格派だよ。球の回転とか、力とか。下半身も大きくなってるし」

雨が降る続くブルペン、これはキャッチャー側の屋根。
雨が降る続くブルペン、これはキャッチャー側の屋根。
こちらはピッチャー側の屋根です。
こちらはピッチャー側の屋根です。
その間の屋根のない部分の地面もこんな感じでした。
その間の屋根のない部分の地面もこんな感じでした。

きのうはゲームに入っていた石崎、守屋(先発)、金田、伊藤和、田面、トラヴィスの6投手と、それ以外の10投手がブルペンでピッチングを行っています。つまり竹安投手以外全員ということ。ブルペンでは6人が一度に投げられますが、受ける人が山田バッテリーコーチや藤井さん、ブルペン捕手の本田さん、そこに鶴岡選手、清水選手、小豆畑選手、原口選手と全部で7人も!山田コーチか藤井さんが球審役をしていました。

投げた順(ブルペンの左から)に、まず金田投手 100球、小嶋投手 66球、伊藤和投手 54球、桑原投手 47球、筒井投手 68球、安藤投手 53球。終わった人のところに次が入って、田面投手 83球、石崎投手 77球、岩本投手 80球、島本投手 50球、守屋投手 87球、横山投手 57球、トラヴィス投手 37球、望月投手 30球(その前に立ち投げで10球)、青柳投手 44球、山本投手 38球という球数です。

最初の組が投げ始めてすぐにブルペンを訪れた掛布監督。OBの上田二朗さんや他球団の編成担当の方と話をしながら、1組目の安藤投手が終わったあと一番右端で投げていた島本投手のところへ行きました。やがて受けていた清水選手に何かを言い、清水選手が自分の右ヒジをポンポンと叩いて見せます。どういう意味かな?と思ったら、今度は監督自身が前へ出て「ここを狙って投げろ」と、体の右側を島本投手に向けて自分の右ヒジを示したのです。

遅れを感じさせない、と監督

掛布監督が、島本投手に「ここを狙って投げて」と。
掛布監督が、島本投手に「ここを狙って投げて」と。
打席に立って、インハイの球を要求する掛布監督。
打席に立って、インハイの球を要求する掛布監督。
島本投手が投げた球を見て
島本投手が投げた球を見て
「OK!」と親指を立てる監督です。
「OK!」と親指を立てる監督です。

そのあと投げた球を見て、監督は「そうそう!いいねえ」と指で丸を作りながら前へ。さらに今度は、自ら左打席に立ったのです。バットこそ持っていませんが、持つ仕草で構え、ボールを見送ってから島本投手に向かって親指を立てました。写真のように。2球か3球くらいだったと思いますが、球筋を見ていた藤井選手の「おお~」という表情や、キャッチするたびに掛布監督の顔を見上げる清水選手がとても印象的でしたねえ。

この時の話を掛布監督に聞くと「高めの、右ひじのところに投げられたら相手(左打者)は対応できないよ。打席に入ったのは、高さを確認させるため。このへんだよって」とのこと。また島本選手の練習っを見て「相当やってきたんじゃないの?去年あれだけ投げさせてもらって、上でやる野球を感じたんだろう。島本にとって、すごいプラス。ちょっとケガをしてしまったにせよ、遅れを感じない」と絶賛しています。

「ことしのアイツ、ちょっと違うよね。大人になったよね。頭の中で描いて投げてる。投内連係でも“このためにこういう練習がいるんだ”と肌で感じてる。1球の大切さをわかってやってる気がしますよ。見えてるよね、そのバック(背景)が」。もう『細腕繁盛記』なんて言っていられませんね、島本投手のことを。あ、そんなこと言うのは私だけですか。まず若い人にはわからないでしょう。失礼しました!

なお実戦登板が待ち遠しい左腕ですが、掛布監督によれば「島本はこのクールにフリーバッティングで投げるって聞いてる。安藤も」という話です。22日か23日ということになると思われます。

監督が打席に、でも緊張は無し!

島本投手はすべての練習メニューが終わったあと、おそらく痛めていた左内転筋などのケア、治療などもあったようで最終グループで引き上げてきました。開口一番「調子はいいですね~!」とニッコリ。そういえば去年の2月は、安芸キャンプに来なかっただなあと、改めて思ったりして。「足もまったく問題ないです。絶好調!」とのこと。

ブルペンでもう全力投球している島本投手。
ブルペンでもう全力投球している島本投手。

掛布監督が自分のヒジを示したのは「左バッターを想定して、ということだと思う。バッターに立ってもらったりすることはありますね。自分は左バッターのちょっと高めのインコース、右バッターの低め、ってのを意識してますね」と、意外にアッサリした返事。しかも監督が自ら打席に入って…もしかすると初めてかもしれないし。「立ってもらった方が投げやすいですね。誰であっても」。緊張は?「まったくしないですね」。淡々と答えています。

1軍を経験したことが大きいと掛布監督も話していました。「去年初めて1軍で投げて、でも全然結果が出なかった。このままやったら去年と変わらないと思ったんで、もっと変えていきたいです。いろんなことを」

投げ終えたあと、清水選手(右)とも話をしました。
投げ終えたあと、清水選手(右)とも話をしました。

左打者の内角へ投げるのは難しい?「ブルペンの方が難しいです。的というか、それがないので。でもしっかり投げていかないと、試合で投げられないから練習しています」。高めのインコースというのは「ずっと意識はしていました。でも、1軍でもっとそこに投げられたらよかったかな」と思ったと言います。たとえば巨人の阿部選手あたりにも投げる?「相手によってそんなに。ぶつけてしまっても、すみませんって言えばいいわけですし」。その強気が頼もしい。

投内連係も「もうやっていますよ」という島本投手。取り組んでいる姿勢が違うと監督は話していましたよ。「故障したから、それを取り返すつもりで…」。あ、そうなんですね。「一回、甲子園に帰って。でも早くにこっちに呼んでもらったのがありがたかった。1軍の経験というよりは」。なるほど。沖縄から帰阪して、そのまま甲子園でリハビリしながらキャンプが終わるのかもしれないとも考えていたのでしょう。だから余計に笑顔が明るい。大丈夫、今なら十分に取り返せます!

初先発マウンドへ、緊張を解く呼吸法

「青柳はあした先発で2イニング。きょうのピッチャーは23日に回って、野手はきょうのまま。高山もゲームの結果がなければ沖縄に報告できないからねえ」と掛布監督が話していたように、きょう21日の先発はルーキー・青柳投手です。このうの帰り際に、どんな感じ?と聞いたら「まだ緊張はしていませんね。あすの試合前に緊張します。マウンドへ行ったら大丈夫ですけど」

なるほど、前日から緊張ってことはないと。翌日に備えてすることは?「うーん、早く寝るくらいですかね(笑)」。自然体のルーキーです。「ルーティンって、もとからあんまりなくて。呼吸で落ち着くかな。今でもやっているのはそれくらい」。詳しく聞きました。「3秒吸って、15秒止めて、3秒で吐くんです」。15秒って結構止めますね!「そうですね(笑)。小学校の時に、そうすると緊張が解けるよと教えてもらって、中学からやっています」。ちょっと試してみよう。

ピッチングを終えて久保コーチ(左)、清水選手(中)と話す青柳投手。
ピッチングを終えて久保コーチ(左)、清水選手(中)と話す青柳投手。

2度目の実戦に向け「この前は制球に苦しんで、ボール先行で球数が多くなったから、あすはストライク先行でいければと思います」。マウンドの踏み込み部分が合わなくて体のバランスを崩してしまったことも、思い出し笑いをしながら「もう慣れたので大丈夫です」と言っていました。それに先発だから、マウンドはきれいなまま青柳投手のものですよ。

すると「心配ごとと言えば」と続けて「アマとは違って、当日の段取りがよくわからなくて。この前(14日)は8回に投げることになっていて『5回くらいにくればいいよ』と言われたんです。アマの時は最初からベンチにいるから。あす先発の場合はどうなんだろう」と。その心配ごとも、もう既にクリアしたはず。来年の今ごろは懐かしく思い出して笑っていますね、きっと。

ファーム・チルドレンも気がかり?

ちなみに、きのうの先発予定だった守屋投手は「雨男を継承してしまいましたねえ、横山の」と苦笑い。でも、あす22日の高知戦で先発するのではないかと思います。

最後に囲み取材中、掛布監督が「沖縄は試合やったの?どうなった?」と逆取材。藤浪投手が6点取られたと聞き「え、6失点!?」と驚いたものの「ま、いいか。藤浪はな」と。まあ彼は心配ないということでしょう。「それよりファーム・チルドレンは?」。横田選手がヒットを打っていますね。「横田?ヒット打ったの?」と笑顔。「で、陽川は?」…すみません。未確認で。「調べとけよ~(笑)」。こんなやり取りがありました。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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