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川遊びにはライフジャケットを。国土交通省うんこドリル「川の安全」やWEBアプリで学ぼう

あんどうりすアウトドア防災ガイド  リスク対策.com名誉顧問 
出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」

 各地で痛ましい川の事故がありました。

 さらに台風による雨が予想されている地域もあるので、川では浸水害や台風後の増水事故も心配です。

 悲しい事故を防ぐためにおすすめなのが、国土交通省がコラボして作成した「川の安全」うんこドリルを親子で学習することです。国土交通省のHPから無料でダウンロードできます。

出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」
出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」

みんな大好き うんこドリル

 何と言っても「うんこドリル」なので、こどもたちが大好きです。私の防災講座でも紹介していますが、「川で遊ぶときに忘れてはいけないものは何?」の2択に「ライフジャケット」と「うんこ」が出てくるだけで、歓声があがります。サブキャラのうんこねこ、うんこいぬ、うんこぶたも、いい味出しています。うんこキャラなので、味というのもなんですが・・。

 川で起こりやすい事故の、「流された靴を取りに行ってしまい深みにはまる」ということについても、分かりやすく説明しています。

出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」
出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」

 流されていくのは「うんこ」です。「取りに行こうとするんかい!」というツッコミがこどもたちからあろうとも、心配して「うんこ」を見つめるうんこいぬと うんこぶた。うんこ目がけてジャンプしたら危ないですよね。

出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」
出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」

 たとえ大事なものでも、川では追いかけてはいけません。無理に取りに行かず、「バイバイ」することを「うんこ」を通じて教えてあげていただければと思います。

WEBアプリ版は何度もチャレンジできる

 でも、うちはプリンターがないから印刷できないという声もあることでしょう。

 心配ご無用。うんこドリル「川の安全」にはWEBアプリで楽しめるゲーム版もあるのです。ダウンロード不要でアクセスするだけでゲームが楽しめます。

出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」
出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」

 このゲームでは、川に関する問題が全20問の中から10問ランダムに出題されます。簡単なものから難問もあります。

出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」
出典 国土交通省うんこドリル「川の安全」

 制限時間もあります。全問正解&素早く解答できると、レアアイテム、川の主の「うんこ」をゲットできます。キラキラとぐろを巻いて輝いているので、お楽しみに。

 台風が来た、川の上流で雨が降ったなど、レジャーが中止になったとき、遊べる気分満々のこどもたちを説得するのが大変だったりしますよね。そんなとき、目の前は晴れているからいいやと増水した川でも遊びに行きがちになってしまいます。でも、こんなゲームで楽しめれば、こどもたちの気持ちも落ち着きそうです。

なぜ国土交通省が

 それにしてもです。「なんで国土交通省がうんこドリルなの?」と思いませんか?「よく上から許可が下りたなあ」という声も聞こえてきましたので、直接、国土交通省にお聞きしてみました。詳しく知りたい方は、FM西東京の防災ラジオ番組でも紹介していますが、やっぱり内部でも多少心配の声はあったそうです。分かります。でも、HPにも書かれている以下の想いが発行の動機になったとのことです。

「安全に気をつけながらも、多くの子供たちに楽しく川で遊んでほしい!」との思いを込めて、公益財団法人 河川財団、「うんこドリル」を発行する株式会社 文響社とコラボして、「うんこドリル 川の安全」を作成いたしました。

川の事故にあわないで楽しく遊ぶために大切な知識を、うんこ先生と一緒に勉強しましょう! 

出典 国土交通省 報道発表資料 (国土交通省・河川財団×うんこドリル)

 防災の仕事上、国が出している文書を色々読んでいますが、こんなに楽しそうな啓発文書は初めてかと思うくらい、国土交通省の気合いが伝わってきます。

国土交通省は攻めている

 実は、国土交通省は、川遊びについてゲーム仕立てのYouTube動画も出しています。

 こちらで記事にもしています。「サンダルが流されても取りに行かないで。国土交通省のRPG風こども向け水難防止動画が秀逸!親子で見て」

 また、国土交通省の浸水害の啓発動画は、妖怪マンガ仕立てです。台風前にこどもたちと見てください。

 アンダーパスに潜む「妖怪みずあつめ」や、用水路には「妖怪ひっぱりだこ」が出てきます。足元を速い流れで引っ張り込むタコの動きはリアルで、冠水した道での避難のリスクがわかり、冠水する前に避難しなくてはと思えるものになっています。

国土交通省 きみの街にひそんでいる!気をつけ妖怪図鑑 小学生編
国土交通省 きみの街にひそんでいる!気をつけ妖怪図鑑 小学生編

 2019年、関東や東北で被害をもたらした台風21号では、千葉県・福島県で亡くなった10人中5人が、冠水した道路で車が水没したり、車ごと川に流されたりした方でした。避難中の車中死が問題になっています。夜間の車での避難は危険です。そんなことも妖怪話とともに親子で確認してみてください。

リスクを知って、対策を

 水害時はもちろん、ふだんの川であっても、自然を相手にするときは、100%安全が保障されているわけではありません。人によっては、川は危ないから行かないという人もいることでしょう。それは登山と同じです。登山も危険だから行かないという方もいます。けれども、自分の人生を豊かにするために、リスクを知りつつも、しっかり学び、対策をした上で自然と親しむという選択をする人もいるかと思います。その場合、川でのライフジャケットは、車のシートベルトや登山のレインウエアと同じく必須アイテムです。川に行くのであれば、足首程度の浅瀬で遊ぶ場合も、リスクがあるので、ライフジャケットは装着します。詳しくは、大人向けの、国土交通省の資料をご覧ください。

国土交通省 ミズべアソビガイド
国土交通省 ミズべアソビガイド

 川の水は浮きにくいこと、川では大人もライフジャケットを装着することも記載されていて、「まわりから浮いても、着て浮く」ことがすすめられています。

国土交通省 ミズべアソビガイド
国土交通省 ミズべアソビガイド

 また、水辺から3〜5mは落水のリスクがあるので、水辺でもライフジャケットを着用します。

公益財団法人 河川財団 No More 水難事故2022(令和4年6月現在 2003-2021年収集データ)
公益財団法人 河川財団 No More 水難事故2022(令和4年6月現在 2003-2021年収集データ)

 川遊びや救助方法が学べる教室も全国にあり、国土交通省は河川管理者と連携して実施している活動を上記ページで紹介しています。リスクとともに自然の恵みを伝承している貴重な活動が、各地に存在しています。

国土交通省 ミズべアソビガイド
国土交通省 ミズべアソビガイド

アメリカ小児科学会ではこどもに限らず全年齢でのライフジャケット推奨

 「こどもは静かに溺れます」や、こどもの溺水対策を小児科医の立場から発信している「教えて!ドクター」プロジェクトの坂本昌彦先生に、アメリカ小児科学会の声明を解説した資料を教えていただきました。

 根拠のある溺水予防策は、今後日本でも議論になるところだと思います。ライフジャケットの着用は、根拠のある対策として、こどもを含む全年齢に推奨されているのが分かります。

出典 坂本昌彦 アメリカ小児科学会の声明を解説した資料
出典 坂本昌彦 アメリカ小児科学会の声明を解説した資料

出典 坂本昌彦 アメリカ小児科学会の声明を解説した資料
出典 坂本昌彦 アメリカ小児科学会の声明を解説した資料

出典 坂本昌彦 アメリカ小児科学会の声明を解説した資料
出典 坂本昌彦 アメリカ小児科学会の声明を解説した資料

 日本でも、こどもはもちろん、大人も中高生も大学生も川ではライフジャケットを着用するのがあたりまえとなりますように。

ふだんの川を知り、災害対策にもいかす

 最後に増水した川の危険を知ることは、台風対策や水害対策になります。

 川に行くときのチェックリストはそのまま水害対策のチェックリストになるので、ご活用いただければと思います。

国土交通省 ミズべアソビガイド
国土交通省 ミズべアソビガイド

 増水すれば、深くなり、流速も速くなります。

公益財団法人 河川財団 No More 水難事故2022(令和4年6月現在 2003-2021年収集データ) 
公益財団法人 河川財団 No More 水難事故2022(令和4年6月現在 2003-2021年収集データ) 

 洪水ハザードマップで特別な模様がある場合は、流れが速くなり、家屋が倒壊したり、河岸が侵食する場所に該当しているかもしれません。また、都市部で階段があれば、そこは滝のようになる可能性もあります。足首くらいの深さでも速い流れが起きれば、地下道に吸い込まれていく水圧となることもあります。水遊びよりも、はるかにリスクが高まるのが水害時です。安易に水の中に入って歩けると思わず、危険な場所からは早めの避難を検討してみてください。

アウトドア防災ガイド  リスク対策.com名誉顧問 

FM西東京防災番組パーソナリティ 兵庫県立大学大学院 減災復興政策研究科 博士課程 女性防災ネットワーク東京呼びかけ人 阪神淡路大震災の経験とアウトドアスキルをいかした日常にも役立つ防災テクを、2003年から発信。子育てバックは、そのまま防災バックに使えるなど赤ちゃん防災の先駆けとなるアイデアを提唱。技だけなく仕組みと知恵が得られると好評で、口コミで講演が全国に広がる。企業広報誌、子育て雑誌などで防災記事を連載中。ゆるくて楽しい防災が好み。

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