2月8日、ライト級のベルトを獲る!
空位となった日本ライト級王座決定戦への出場が決まった宇津木秀(27)。プロデビュー以来、9戦全勝7KOと負け知らずのまま歩を進めてきた。
「ようやくタイトルマッチに出場できます。最高に嬉しいですね。この為に、今までの日々がありました」
2022年2月8日の試合当日まで、2カ月弱。ハードなトレーニングで己を追い込んでいる。集中力が切れず、タイトル戦に向けて心身共に充実している。
対戦相手の鈴木雅弘とはアマチュア時代に3度対戦して、宇津木の2勝1敗。
「それは参考になりません。お互い、プロとなってから戦い方も変わりましたし。鈴木はパワーがあって、ディフェンスが巧みな選手です。10ラウンド、フルに戦って相手を上回るように調整していきます」
宇津木がボクシンググローブを握ったのは、中学2年の時だった。
「小学生の頃は野球をやっていて、ピッチャーでした。でも、肘を壊してしまったんです…。で、中学校に入学してバレー部に入ったんですが、面白くなくて。『自分は団体競技には、向いていないな』と感じて、1年ちょっとで止めてしまいました。兄貴が高校のボクシング部だったこともあって、軽く家でマスみたいなことをやったりしていたのですが、負けちゃうわけですよ。それで悔しくて、自宅から通える沼田ジムに入門しました」
沼田ジムで汗を流している姿が、花咲徳栄高校の監督の目に留まり、練習参加を打診される。行ってみると、同校のトレーニングは姉妹校である平成国際大学ボクシング部と合同であった。
「中学生だった僕がいきなり大学生とスパーリングしたんですよ。いいようにあしらわれましたが、『この環境なら、強くなる』と思いましたね。で、推薦で採ってもらえるということで、花咲徳栄高への進学を決めました。2年次の春の選抜で2位、3年次のインターハイと国体で3位でした。
優勝できなかったので、『これじゃプロに行っても無理だな』と、平成国際大でアマチュアを続けました。4年次に全日本大学選手権大会で3位になっています。当初は、大学卒業まででボクシングは十分だな、と考えていました。それで就職したんです。
でも、社会人になってから村田諒太さんの試合を見に行って、会場の華やかさとかファンの熱気とか、選手のひた向きさとか……久しぶりにボクシングを味わって『あぁいいな!』『俺もプロでやりたいな』と心底感じたんですよね。高校の大先輩である内山高志さんが育った場所なので、ワタナベジムを選びました」
大学時代に3度拳を交え、宇津木の1勝2敗という同じ歳の三代大訓の存在も刺激になっている。頻繁にスパーリングを重ねる仲だ。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20211209-00271342
「プロ入りは三代が1年早いです。彼は負けなしでOPBFを4度防衛して、世界ランカーですから、負けたくないし、追いつきたいです」
2021年4月、宇津木には前日本ライト級王者、吉野修一郎に挑戦する話があった。しかし、新型コロナウィルスに感染してしまい、2週間の入院を余儀なくされる。およそ1カ月半の静養を強いられた。
「あの時は凹みました。今回、やっとチャンスが回ってきましたから、必ずモノにしてみせます。三代も含め、歴代のチャンピオンたちの写真が飾られているこのジムで、今日までやって来ました。恩返しもしたいですし、僕もチャンピオンの仲間入りをしたいです。絶対に勝ちますよ!」
2021年12月14日にWBOミニマム級タイトルを奪取した谷口将隆も、同期の京口紘人に追いつけ、追い越せと努力した結果、世界王者となった経緯がある。
宇津木は2022年をいかに彩るか。2月8日の日本ライト級タイトルマッチに注目だ。