IBF暫定ウエルター級王者がKO防衛
第10ラウンド1分8秒、IBF暫定ウエルター級チャンピオン、ジャロン・"ブーツ"・エニスのワンツー、そして顎への左アッパーが同級2位のロイマン・ヴィラを捉える。
エニスは手を緩めず、右フック、右の打ち下ろし、左アッパーとコロンビア人挑戦者を畳みかける。クリンチで逃れようとするヴィラを振り解き、右フック、左ストレート、そして更に右フックを浴びせると、チャレンジャーはゆっくりとキャンバスに沈んだ。
透かさずレフェリーが左腕でヴィラを抱え、右手を振って試合終了を告げた。公式タイムは同ラウンド1分27秒。自身の戦績を31戦全勝としたエニスは、29度目のKO勝ちを飾った。
26歳のスイッチヒッター、エニスは、生まれも育ちもペンシルバニア州フィラデルフィアである。この夜に催された試合会場は、ニュージャージー州アトランティックシティー。エニス自宅から、車でおよそ1時間の地だ。
友人、知人、ファンに見守られたIBF暫定王者は、序盤からジャブで主導権を握り、中盤以降はパワーパンチでヴィラを圧倒した。
キャリア4度目のダウンを喫した30歳のヴィラは、3回から5回まで粘り強く食らいついた。が、第6ラウンド、エニスのオーバーハンド・ライトでグラつき、深刻なダメージを負う。世界2位まで上ってきたヴィラは、強靭なハートで同ラウンドを凌いだかに見えたが、この一発で流れが決まった。
試合後、勝者は語った。
「俺のパフォーマンス、良かっただろう。もう少しコーナーの言うことを聞けばよかったかな。トレーナーである父から、『もっと角度をつけてボディーを打て』『ヴィラの正面に立つな』という声が飛んでいた。なのに俺は、何発か喰らっちゃいけないパンチを打たれたよ。
ヴィラがタフであることは分かっていた。だからしつこく手を出し続け、最終的に彼を捕まえるつもりだった。ヴィラがこの試合を受けてくれたことに心から感謝する。彼と彼の家族、陣営には脱帽だ。まさに戦士だよ」
今後について訊かれたエニスは言った。
「エロール・スペンスvs.テレンス・クロフォード戦の勝者とやりたい。是非、実現させようじゃないか。(WBAレギュラー王者の)エイマンタス・スタニオニスとは、直ぐにでも対戦する気持ちがある。
年内にもう1度リングに上がり、今年3戦目をやりたいね。スタニオニス、キース・サーマン、ヨルデニス・ウガス等、すべてのトップ選手と戦うつもりがあるよ」
本人の言葉通り、エニスは近い将来、7月29日の勝者と絡みそうだ。