韓国に戦略爆撃機を飛ばした米国の意図
1月10日、アメリカ軍はB-52戦略爆撃機を韓国に派遣し、烏山空軍基地の上空で低空飛行を行い、その存在を見せ付けました。これは1月6日に北朝鮮が行った核実験に対応するものです。そのアメリカの意図は二つあります。
*北朝鮮が行った核実験への警告、軍事的圧力
*韓国の国民に米韓同盟の強固さを見せて安心させる
このうち大きな比重を持つのは前者よりもむしろ後者になります。米空軍のB-52戦略爆撃機が韓国空軍のF-15K戦闘機やKF-16戦闘機と一緒に編隊飛行を行ったことから、米韓同盟の繋がりを特に強調する意図が見えます。
B-52戦略爆撃機はステルス能力が無い為、基本的に長射程の空中発射巡航ミサイルを使用して敵の地対空ミサイルの射程外から攻撃を行います。その為、本来ならば北朝鮮を攻撃する際には韓国まで飛ぶ必要がありません。日本の遥か南の海の上空から巡航ミサイルを発射してグアムの基地に帰ります。B-52戦略爆撃機が最前線に乗り込んで自由落下爆弾を投下するような状況は、開戦後に北朝鮮軍の防空網が全て破壊されてほぼ決着が着いた後になります。
戦略爆撃機が韓国に飛来する事は軍事的には殆ど意味がありません。この飛来は100%政治的な意味を込めて行われたものです。過去にもアメリカ軍は同様の行動を行ったことがあり、3年前の米韓合同軍事演習「フォールイーグル」の際にも戦略爆撃機が韓国に飛来しています。この時のB-52戦略爆撃機は単機で飛来して、韓国空軍の戦闘機との編隊飛行は見せていませんでした。
- 米太平洋軍司令部公式よりB-52韓国飛行(2016年1月10日)
- 米太平洋軍司令部公式よりB-52韓国飛行(2013年3月19日)