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2019年以降、12月23日はどうなるのか――平成最後の天皇誕生日を迎えて

山下晋司皇室解説者
84歳の誕生日一般参賀で手を振られる天皇陛下と皇太子殿下 写真:ロイター/アフロ

 天皇陛下は本日12月23日に85歳のお誕生日を迎えられた。天皇として迎えられる最後のお誕生日になる。

 例年どおりお誕生日に際した記者会見も行われたが、そちらに関しては先ほど公開した以下の記事をご覧いただければと思う。

 涙を誘った天皇陛下の誕生日記者会見

 来年2019年以降、12月23日は平日となり、2020年から2月23日が天皇誕生日の祝日になる。「皇室典範特例法」附則第10条に「国民の祝日に関する法律」の"天皇誕生日 十二月二十三日を削る"と規定されているので、祝日ではなくなるということである。

 

12月23日は祝日になるか

 今後、「国民の祝日に関する法律」を改正し、12月23日を何らかの祝日にするという可能性はあるが、当面はそうすべきではないと筆者は考えている。

 今上陛下は退位後、公務はおやりにならないことになっている。陛下としてはすべて新天皇に委ねるというお考えだろう。そうした中、12月23日を"上皇誕生日"という祝日ではなくとも何らかの祝日にした場合、結局は上皇の誕生日を祝う日になってしまうのではないかと思われる。前天皇が上皇としていらっしゃる状況というのは明治以降の近代国家としては前例がない。退位や元号などの議論の際、頻繁に"象徴や権威の二重構造"という言葉が出てきたが、これを避けるべきという考えは大方の賛同を得られるだろう。12月23日を何らかの祝日にした場合、まさしくこの"象徴や権威の二重構造"を助長することになるだろう。よって筆者としては当面は祝日にすべきではないと考えている。

 昨年10月、Yahoo!ニュースに「平成31年は祝日がひとつ少なくなるか」という記事を書いたが、2019年は天皇誕生日がない年になる。

 では、祝日がひとつ少なくなるのかというと、2019年限りの祝日がふたつできたので、逆にひとつ多くなる。

 2019年限りの祝日は今年12月14日に公布、施行された「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」に規定された5月1日(天皇の即位の日)と10月22日(即位礼正殿の儀の行われる日)の2日である。休日と祝日とは法的扱いが違うのだが、この法律でいう休日は「国民の祝日に関する法律」に規定する祝日の適用を受けることにされた。「国民の祝日に関する法律」には祝日と祝日に挟まれる日は休日にするとの規定があるため、4月29日、5月1日、5月3日が祝日なら4月30日と5月2日は休日となる。

冬場でかつ年末の誕生日一般参賀

 平成で最後の天皇誕生日となるため、12月23日の一般参賀も今回が最後となる。

 今上陛下の天皇誕生日一般参賀は平成3(1991)年12月23日が最初で、最後の年となる今年は27回目を数える。(※平成8年はペルー日本大使館人質事件の発生により行われなかった)

 ご即位当初、この一般参賀をどうするかという悩みが宮内庁にはあった。昭和時代の誕生日一般参賀は4月29日だったので、気候も良く、ゴールデンウィークの始まりということもあり、お祝いムードに包まれていた。しかし、今度は12月23日という冬場であり、年末で国民が忙しくしている時期であり、また10日後の1月2日には新年の一般参賀があるということから、誕生日当日に行っていいものか、悩んでいたのである。大正天皇は8月31日が誕生日だったが、夏場であることから祝賀(一般参賀はない)は時期をずらし10月31日に行われていたことも頭をよぎった。しかし、結局は一般参賀も含めて、すべての祝賀行事は誕生日当日に行われることになった。

 冬場や年末であっても、誕生日当日にお祝いをしたほうが国民の喜びも大きいだろう。誕生日当日に行われてきてよかったと今は思う。

 正式に発表されているわけではないが、2020年から誕生日一般参賀は2月23日に行われることになる。年末ではないが、寒い季節であることは同じである。しかし、平成時代と同様に新天皇の誕生日を祝う国民の熱気が寒さを吹き飛ばしてくれるだろう。

皇室解説者

昭和31年 大阪市生まれ、関西大学卒。20数年の宮内庁勤務後、平成13年に退職。宮内庁では昭和63年~平成7年まで長官官房総務課で報道を担当。昭和天皇の崩御・大喪の礼、平成の即位の礼・大嘗祭、秋篠宮殿下の結婚、皇太子(現在の天皇陛下)の結婚などの諸行事を報道担当として経験。平成時代の天皇皇后の中国訪問、米国訪問及び皇太子(現在の天皇陛下)のモロッコ・英国訪問に報道担当として同行。宮内庁退職後は出版社役員を経たのち独立。独立後は、BSテレ東・テレビ東京「皇室の窓スペシャル」の監修のほか、週刊誌・テレビなど各メディアでの解説、記者勉強会の講師、書籍・テレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている。

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