宮内庁はSNS活用を決定したわけではない
宮内庁が来年度からのSNS活用を「決定した」かのような記事がいくつも出ているが、そのような事実はない。
大手新聞社のネット記事も紛らわしい書き方をしており、一般の人が誤解するのも無理はない。
宮内庁は来年度概算要求で「積極的な広報展開のための体制整備」のために長官官房参事官1人と職員2人の増員を出したが、SNS活用を決めた上でこの増員を要求したわけではない。増員された暁にはその職員にSNSも含めた広報の在り方を検討、実施してもらうということである。
よって冒頭に書いたとおり、SNSの活用も視野には入れているが現時点で「決定した」わけではない。
松野官房長官も9月1日午前の記者会見で「宮内庁において広報活動にSNSを活用すると決定した事実はなく、皇室に関する情報をより積極的に発信するためにどのような手法があるかについて今後検討を行っていく旨、先般宮内庁から説明が行われたものと聞いています」と述べている。
SNSは活用しないと決めたわけではないので、来年度または再来年度に始める可能性はある。
仮にSNSを活用するとしても、長官会見や次長会見のようなオンレコで宮内記者会に話した内容すらホームページに掲載していない官庁に何ができるのかは疑問である。
国民に皇室の正しい情報を伝えるという姿勢は宮内庁として当然のことである。ただ、週刊誌等に書かれたことに対する反論のようなことも必要ではあるが、普段から公表できることは積極的に発信していくという今すぐにでもできることから始めるべきではないだろうか。
本稿で書いたSNS活用についても、未決定事項の「宮内庁がSNSを活用」という内容が独り歩きしている、または独り歩きしそうだと認識した段階で即座に増員要求の「正しい」理由をホームページで説明するといった対応が必要だろう。