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悠仁親王殿下、成年式前に園遊会等「宮中行事以外」参列の可能性 発表に感じた違和感

山下晋司皇室解説者

皇族の成年

悠仁親王殿下が来月9月6日に18歳の成年を迎えられる。民法が18歳成年と改正されて初めての皇族の成年である。ただ、悠仁親王殿下は高校3年生として学校生活を送りつつ、進学に向けての勉学に励まれる時期のため、成年式は誕生日当日ではなく、高校卒業後の来年3月以降に行われる予定。

天皇、皇太子以外の皇族の成年は一般国民と同じなので、民法改正前は天皇陛下も秋篠宮殿下も20歳で成年におなりになった(天皇陛下は成年当時皇孫)。上皇陛下は皇太子だったので昭和26年12月23日の18歳で成年におなりなった。

皇室典範第22条:天皇、皇太子及び皇太孫の成年は、十八年とする

ただし、その年の5月17日に貞明皇后(大正天皇の后)が崩御されたため、喪が明けた翌昭和27年11月10日に成年式及び立太子の礼が行われた。

現在の制度になって以降、皇族男子の成年式は7回行われているが、誕生日当日に行われなかったのは、前述の上皇陛下と三笠宮家の次男、宜仁(よしひと)親王のお二方である。上皇陛下の延期理由は前述のとおりだが、宜仁親王は昭和43年2月11日に20歳の成年とおなりになったが、学習院大学の試験期間中だったため2週間ほど延期され同月27日に行われた 。

皇族男子は成年式当日に天皇から大勲位菊花大綬章が親授される。よって悠仁親王殿下への勲章親授は成年になった日ではなく来年3月以降となる。

成年皇族としてのご活動

成年皇族になると宮中での儀式や行事、宮中祭祀の参列範囲に入るが、参列は義務ではない。また、学生の間は学業優先という考えがあるため、成年になっても平日に行われる儀式・行事にはほとんど参列されない。悠仁親王殿下は大学に進まれるだろうから今後、数年間は参列の機会は少ないと思われる。

悠仁親王殿下の行事参列についての宮内庁発表

7月18日、宮内庁長官が定例の記者会見で悠仁親王殿下が宮中行事に参列されるのは成年式を終えてからが妥当だと発言した。ただし、園遊会など宮中行事以外には参列される可能性はあるとした。この長官の発言を受けて、今秋の園遊会に悠仁親王殿下が出席されるのではないかといわれている。私は悠仁親王殿下の出欠より「園遊会は宮中行事ではない」という箇所が気になった。

宮中行事とは何なのか。「宮中行事ではない」というからには、宮中行事の定義があるはずである。定義がなければ「宮中行事ではない」とは言えないだろう。

この疑問については、8月5日のNEWSポストセブンが報じている。宮内庁に宮中行事の定義を問い合わせたところ「明確に定義したものはありません」という回答だったらしい。"明確"という文言に逃げ道を作っておこうという意図を感じるが、答えられなかったということに違いはない。

なぜ長官は「宮中行事ではない」と言い切ったのか不可解だが、この件に限らず、令和の宮内庁は理解に苦しむことが多い。

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサーが企画・執筆し、編集部のサポートを受けて公開されたものです。文責はオーサーにあります】

皇室解説者

昭和31年 大阪市生まれ、関西大学卒。20数年の宮内庁勤務後、平成13年に退職。宮内庁では昭和63年~平成7年まで長官官房総務課で報道を担当。昭和天皇の崩御・大喪の礼、平成の即位の礼・大嘗祭、秋篠宮殿下の結婚、皇太子(現在の天皇陛下)の結婚などの諸行事を報道担当として経験。平成時代の天皇皇后の中国訪問、米国訪問及び皇太子(現在の天皇陛下)のモロッコ・英国訪問に報道担当として同行。宮内庁退職後は出版社役員を経たのち独立。独立後は、BSテレ東・テレビ東京「皇室の窓スペシャル」の監修のほか、週刊誌・テレビなど各メディアでの解説、記者勉強会の講師、書籍・テレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている。

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