ZOZOSUITとPBの失敗理由と対策について、前澤社長はアナリストにかく語りき(ほぼ全文記録)
「いろんな報道でまた騒がせておりますが、そのすべてが会社の事業のためです。一点一点説明するときりがないので今日は割愛させていただきますけれど、今日は私のほうから、プライベートブランド(PB)、および、ゾゾスーツ(ZOZOSUIT)の今後の新展開ということでご説明申し上げます」。
ZOZOに社名変更をしてから初となる決算説明会(10月31日開催)で、前澤友作社長はこう切り出した。続けて、ZOZOSUITの廃止理由や、PB「ZOZO」のビジネススーツの不良品の発生や発送の遅れについて、謝罪するとともに対策を語った。すでにさまざまなメディアがその内容について報じ、SNSなどでも多くの意見が飛び交っているが、今後のZOZOの行方を占ううえでも、彼らのスタンスを見極める意味でも重要な内容なので、ほぼすべての発言についてここに記しておく。
生産・配送が遅れ、15.4億円の受注に対して納品は5.4億円にとどまる
まずPBですが、第2クオーター(第2四半期)の計画は15億円でした。が、会計上の発送実績は5.4億円にとどまってしまいました。ただ、受注ベースでみると15.4億円の受注はいただいていますので、完全にモノの生産、ならびに発送が遅れているということです。とくに、ビジネススーツ、こちら、7月3日に記者会見を開き、みなさんにお披露目し予約を開始したのですが、そのビジネススーツの生産および配送が大変遅れております。申し訳ありません。これが起因して、15.4億円の受注が来ているにもかかわらず、実際にお届けできたのは5.4億円という結果にとどまっております。
このビジネススーツの生産、および、配送ついては、工程の一部不具合などは現在解決しております。すべての遅延は年内に解消予定です。ですので、年内中に当初お約束していた通り、オーダーから約2週間の期間をもってみなさんにお届けできる体制が整うことになります。
とくに今日お集まりいただいたみなさんの中でも、ビジネススーツということで初めてZOZOで買ってみたという方も多いと思います。そういう方に限って遅延してしまって本当に申し訳ありません。最大2~3カ月お待ちいただいているお客さまがいる状況で、いま、社員全員で全力で解消に向けて動いております。年内には解消できますので、もう少々お待ちくださいませ。
超省人化のスマートファクトリーで研究開発を内製化。生産ラインが確立するまでモノを出さない、人には頼まない
今後こういったことが2度とないように、いまは中国や東南アジアの工場さんに一部アウトソーシングという形で生産をお願いしているのですが、やっていることが特殊ということもありまして、もう少し、自分たちの内製作業の中でしっかりとした生産のラインが確立するまでの間は、モノを出さない、人には頼まないということをやろうと思っています。そういうものを社内で実証実験するために、先ごろ、ZOZOスマートファクトリーというものを作り、研究開発を始めています。
ここは、大量生産ラインではなく、実験ラインで、場所は正確には申し上げられないのですけれども、千葉本社の近くにひっそり設けまして。この中で、一部の機械設備だったり人員を配置して、まずは生産に問題ない、出来上がってくるもののクオリティにも問題ないということを確認するまでは、今後、プロダクトとして世の中には出さないようにしようと。この半年から1年ぐらいやっておりますけれども、プロダクトの生産面、並びに、クオリティ面ではまだ不安定もありましたので、今後はそういった不安がないように、この内製化されたスマートファクトリーでの研究というのを開始しています。
ここでいけるぞ、となって初めて、機械設備などを中国の工場や東南アジアの工場などと連携しながら、(工場を)買ったり、ときには借りたりして大量生産につなげていくと。そんな段取りを今後は予定しています。ですので、今後、今回のビジネススーツのような、大きな生産遅延だったり、大きなプロダクト面での不具合といったことはなくなっていく予定です。
このスマートファクトリーでは、極めて省人化にチャレンジしていくつもりであります。裁断から縫製から検品から梱包まで、なるべく人の手を介さない、自動化されたオートマニファクチャリングというのを今後目指していくつもりです。本当に、誰もやったことがないことですので、それをいきなり人に任せてしまうのは、今後も不安ということで、ここを内製化して、ちゃんと研究した結果を大量生産につなげていきたいと思っています。
ZOZOSUITなしでPBの購入が可能に。AI活用し、身長、体重、年代、性別だけで最適サイズを提案
続いて、これは今日十分に説明したいZOZOSUITについてなのですが、新展開がありますので、ご紹介、説明をさせていただきたいと思います。
えー、(スクリーンの左手に)ZOZOSUIT(の絵)がありますけれども、これが、テンテンテン(右側のZOZOSUITの輪郭が点線)となっています。どういうことかと申しますと、ZOZOSUITなしでも購入いただけるようになります。
はい。じゃあ、今までのはなんだったんだということなんですが、一部の商品についてはすでにZOZOSUITなしで購入いただけるようになっています。
たとえば、スリムテーパードデニムというわれわれの定番商品です。実はこの商品は、ZOZOSUITを持っていない方、計測をしていない方でも買えるんです。ただし、その方に入力いただく必要項目がございます。現在は、身長、体重、年代、性別を打って(入力して)いただくと、このたった4つの項目だけで、あなたにはこれがいいんじゃないかという最適サイズを出すんです。
ずっと説明している通り、このスリムテーパードデニムだけで数千サイズがあるんです。その数千サイズから、この方に最もふさわしいものを、この画面でワンサイズでピタッと提供する。そのように変更します。
じゃあそんなこと言うなら、最初っから、ZOZOSUITなんていらなかったんじゃないか?とみなさんお思いだと思いますので、説明させていただきます。
「計測が必須なのが『ZOZO』というPBだったんじゃないの?」「ピッタリサイズを届けたかったんじゃないの?」「それにはZOZOSUITでくるくる回って、12回も(撮影して)、3度も4度もかかって撮影が必要だったんじゃないの?」とみなさんお思いだと思うのですが、新技術の開発を実は裏側で着々とやっていたんですね。
以前から「ZOZOSUITにずっと頼りっぱなしにはしませんよ」と。「どこかの時点でパーンとZOZOSUITがなくなる可能性すらあります」という話を、ちょこちょこさせていただいていました。そういうからには、もちろん、裏側ではいろんな開発やいろんなチャレンジをしてきたわけですが、その一部が、いい形でいま実現できつつあります。すでにその一部を使って、デニムの販売をZOZOSUITなしでやっているんですね。ただ、まだまだ課題はあってですね、裏側でいろんな開発が同時並行で進んでいます。
ZOZOSUITの計測データ、基礎ユーザー情報、顧客からのフィードバックを活用
これ、どうやってやるのかというと、企業秘密なところもあるので、簡単にしか今日はご説明できないんですけれども、新技術の要素として、3つの重要なデータを実は裏側で使っています。
1つ目は、ZOZOSUITの計測データです。もう、ウン百万件のZOZOSUITを配布して、それに見合った計測結果が日々お客さまから返ってきています。かなり大きなビッグデータとしてみなさまの体型データが集まっています。このデータを使わせていただきます。
2つ目。ZOZOSUITで測っていただくときに、お客さまの身長、体重、年代、性別は入れていただいています。この基礎ユーザー情報というのも使っていきます。
3つ目。実際に製品をご利用いただいているお客さまから、たとえば丈がちょっと短かったよとか、太かったよ、細かったよ、きつかったよなど、いろいろなご意見をいただくのですが、実はこの新技術の中には、製品への具体的なフィードバックを採り入れて、これらをごちゃまぜに機械学習の中で学習に学習を重ねて、この技術を実現しているわけです。結果として、今後、ZOZOSUITなしでも極めて高い計測値を予測可能にしていくことが可能になりそうです。
「ZOZOSUIT」「撮影」「専用アプリ」が不要に
これがすべて実現したときに、3つ(のこと)が不要になります。
まず、ZOZOSUITがいらなくなるかもしれない。
そして、ZOZOSUITを着て12枚の写真を撮っていただいていますが、撮影そのものも不要になるかもしれない。
ということは、当然、アプリをわざわざダウンロードしていただくこともない。普通にパソコンからウェブサイトにアクセスしていただくのもよし、スマホからアクセスしていただくのもよし、ほとんどいないと思いますけど、ガラケーからすらも使えるということになります。
で、現在のところは、このデニムパンツ、TシャツもZOZOSUITなしでやっているんですけど、いま紹介させていただいた新技術、裏ではずっと開発を続けているこの新しい技術の精度が上がれば上がるほど、適用できるアイテムが広がっていきます。将来的には全アイテムに拡大可能なのではないかと。ビジネススーツにすら新しい技術を使っていけば、ZOZOSUITの必要もなく、フルオーダーのスーツを作れる可能性があるのではないかと期待しております。
600万~1000万枚だったZOZOSUIT配布計画を300万枚に変更。約70億円の予算を最大40億円に抑え、30億円超をコスト削減
期待しております、というよりも、すでにその計画で動いています。ですので、とくに投資家のみなさまには声を大きくして申し上げたいのですが、ZOZOSUITの配布計画が大きく変わります。当初予定では、今期、約600万~1000万枚のZOZOSUITを配りますと。そこに予算として約70億円のコストを見積もっておりますと再三申し上げてきましたが、変わります。今期中、おそらく最大でも300万枚の配布にとどまるだろうと。その場合、コストはこれまた最大で見積もっても約40億円程度しかかかりません。つまり、もうこの時点でコスト減・約30億円が見込めます。
みなさまにとって、ZOZOSUITの配布コストというのが注目の的だったと思いますけれども、この予算がかなりコスト減につなげられるということで、予算上はわれわれにとっても大きいです。
今後、ZOZOSUIT、まったくはなくさないです。どういうことに使っていくかというと、7月3日をもってグローバル展開も進めています。日本のみなさまの体型というのはそこまでバリエーションは大きくないのですけど、それが欧米なんかに出ていくと、本当にいろんな体型の方がいらっしゃいます。ですので、先ほど紹介させていただいた、ZOZOSUITなしで計測値を予測する技術というのは、まだ国内のみに限定したお話です。ということで、今後、各国のユーザーの体型というのを細かくデータとしてしっかり集めていかなければいけないんですね。そういうときに、ZOZOSUITというのは使えるんじゃないかと。サンプルデータの収集用に使いたい。ですので、新技術のベースとなる計測データを、極めてテーラーの方が測ったものに近しい計測データというのを機械学習の教師データに使っていかなければいけませんので。そういうために、ZOZOSUITというのは今後も使い続けることにはなると思います。ただそれを、無料で誰にでもまいて、配って、ということは、極めて近い段階でなくなっていく予定です。
服自体ではなく、ZOZOSUITばかり注目されてしまった
PBですけれども、引き続き、アイテムは続々投入していく予定です。ブラックデニムを出したり、チノパンツ、ジップパーカがあったり、シャツのバリエーションを追加したり。いろいろな値段の商品も出てくる予定です。
(PBの「ZOZO」は)ブランドですから、服自体に注目が集まらなきゃいけないものの、どうしてもZOZOSUITにこうスポットが当たりがちで、計測の部分ばっかりメディアさんだったり世の中に出ていきましたんで、もっともっと商品を見ていただけるように、引き続き製品開発には力を入れていくと。もう計測なんていうのは、身長、体重、年代、性別を入れただけでさっと予測で出して、お届けしたら、「なんて感動の服なんでしょう」と(なるような)。その服の部分にフォーカスが当たるようなストーリーを作ってきたいと思っています。
足の計測、靴の販売に向けて着手
ZOZOSUIT、ならびにPBについては以上なのですが、最後にこれだけ触れさせてください。
足の計測、並びに、靴の販売についても実はずっと動いております。これも随分前から「いつかやりますよ」と申し上げてきましたけれども、足の計測についてはほぼ成功しております。みなさんの足を左右それぞれ計測することができます。一部、今日、動画をお持ちしました。
ご覧いただいたように、足の計測も、3Dポリゴン上で見られるようになります。僕の足は24.7センチと表示されていましたが、生まれてこのかた、25.5だとずっと思ってたんですよ。最初、間違いじゃないのかといって何度も測り直しましたが、24.7だったんです。それを知らずにずっと僕は25.5センチの靴を買っていました。左右も実はみなさん、平気で1~2センチ差があったりします。そういうものをまず計測によって調べて、その後、靴の販売につなげていこうということなんですが、靴もたとえば左右のサイズ違いで売っているブランドなんてないんです。もっというと、歩いたときに足がどういうふうに変化するのか、ヒールがある場合とない場合ではどうなのかとか、革靴の場合、スニーカーの場合はそれぞれどうなのかとか。突き詰めていくと、もう靴自体も作らないと無理です。ですので、まだ詳しくはお話できませんが、靴すら、自分たちで作る方向で現在挑戦中ですので、これはまた詳しいことがわかり次第、みなさまにお披露目したいと思います。
はい、簡単ではありましたが、以上、私からの説明とさせていただきます。ありがとうございます。
アナリストの着眼点にも要注目
その後のQ&Aでは、小売りセクターではよく知られた、ドイツ証券、JPモルガン証券、野村證券、SMBC日興証券のアナリストが質問。着眼点やそれに対する前澤社長の回答はなかなかに興味深いものだった。ここではわかりやすくするために、一問一答形式でまとめた。
Q:ZOZOSUITは今期300万枚配布ということですが、上期の時点までで何万枚配られているのですか?
前澤社長:何枚配ったかというのは、具体的な枚数は明言できません。ただし、かかっているコストから逆算すればいくらぐらいかは計算できるのかなと思います。
Q:(新たな配布予定とする)300万枚で機械学習をして最適な数字が出せるサンプルがすでに集まったということですか?
前澤社長:「機械学習用の教師データとして十分ですか?」という質問ですが、十分です。ただし、お子さまのサイズだったり、本当に大きな方のサイズだったりとか、一部の特殊サイズは今後もデータとして必要な可能性があります。ただ、データを集めるというのは、そういう方にお集まりいただいてその場でテーラーで実寸することもできますし、いろいろな教師データの集め方があると思いますので、おごらずに、すべての方に対応できるようなデータを今後も集めていく予定です。ただ、一般の普通の体型の方のデータとしては本当に十分です。
Q:30億円コストを削減するとのことですが、その分をどういったところに使う予定ですか?
前澤社長:浮いた30億円はどう使うのかについては、PB=ZOZOSUITという感じで、ZOZOSUITがPBの認知にかなりの役割を果たした点は否めませんので。たとえば、ZOZOSUITが、あまり見られなかったり、開発されなくなってきた中、どうPBをさらに認知を広めていくかという点に少し工夫が必要かなと思います。そういった面で、30億円はそちらの広告宣伝に回していくようなこともあり得るのかなと思いますが、テレビCMをガンガン打ったりとか、そういう計画は今のところないので、普通に考えて、今期の予算上はコスト減ということでよろしいのかなと思っています。
Q:中期計画で出しているPBの売上げ見通しの変更はありますか?
前澤社長:PBの予算は、当初発表させていただいた通り、200億円で変更なしでなんとか達成したいと頑張っております。
Q:今回、初めてモノづくりに入っていくということだと思うのですが、実際にやられてみて、その難しさとか楽しさなど。素直に前澤さんご本人がモノづくりについてどう感じられているのかを教えていただければ。
前澤社長:一言でいうと、苦労はしてますけど、楽しくやっています。姿かたちはぱっと見、普通のスーツのセットアップなのですが、やっていることは誰もやっていないことをやろうとしているので、すべてが挑戦なんですね。と同時に、この挑戦に成功した場合、圧倒的な差別化要因になるなという実感を得ながらやっています。計測は誰でもできるようになります。計測結果をもとにしたパターンの生成、またこれが難しいのですが、今日はその話を割愛していますが、仮にパターンができても、それをどう生産するか。計測、パターン生成、実際の製品製造、これすべてを自分たちの力でやっていくというのが将来的には大きな強みになるでしょうし、誰も参入できない領域の話になってくると思うので。それにチャレンジできていることは大変喜ばしいことですし、やりがいを持っています。
Q:PBについて、いよいよZOZOSUITなしで新しいやり方で計測ができるということと、今後、カジュアルラインを出していきますよという話でしたが、従来は単価が高めのビジネススーツやセットアップ、コートが出るので売上げが伸びるということでした。新しい方法だと製造の問題などでカジュアルなどが中心になるということなのでしょうか?また、ビジネススーツでは、すでに購入されたお客さまからのツイッター情報等でサイズがあまり合わないというような情報も出ています。今後、キャンセルが増えるとか、サイズ直しのコストが増えるということもあると思いますが。
前澤社長:将来的にはビジネススーツの製造もZOZOSUITなしで可能になる予定です。ですので、カジュアルばかりやるのかといわれると、そうではないです。フォーマルで難しい商品も引き続き作っていきます。まあ、一部の方からブログだったり記事だったりでそういったご意見をいただいていますけど、確かにまだ精度が低いことは否めません。それも先ほどのスマートファクトリーの内製化で(対応していきます)。研究開発がしっかりできていなかったということに起因していますので、そのへんは必死になってなんとか取り返そうとしています。悪いものが目立ってしまいますが、感動いただいているような声もたくさん寄せられていますので、そういった割合をどんどん増やしていきたい。
Q:当面、カジュアル重視で、フォーマルで単価が高いものは少し先送りという方針ですか?
前澤社長:いえ、同時にやりたいと思います。
Q:キャンセルなどについてコストの問題はあまり気にしなくても大丈夫ですか?
前澤社長:そこまで目立つほどのコストにはならないと思います。ただ、お直しできるというのは、お客さまとのコミュニケーションのうえで、ものすごくわれわれ、大事にしています。お直しの依頼をいただくことで、お客さまの趣味趣向もその場でわかるようになりますので。計測して、ただ作って送るだけでは、本当のコミュニケーションではない気がしていて。お客さまからのフィードバックをいただいてはじめて、満足いただけたことがわかりますので。そのデータは非常に貴重だと思います。
Q:ゾゾタウン(ZOZOTOWN)ですが、順調に推移しているということですが、トップラインの伸びが17%ぐらいだった。御社の計画だと、PB戦略との相乗効果もあり、25%ぐらいという計画だったと思うので、それに比べると伸びが弱いかなと思うのですが、これは下期以降、さらにシナジーが出て伸びが戻せると?
前澤社長:若干予算に対しては未達になっていますが、修正はしていませんので、通期ではやれると思っています。毎年恒例なのですが、3Q、4Qにかけて伸び率も上がってきますし。いろいろ考えていることもありますので、そういったことを実現できれば伸ばせると思います。
Q:PBの新計測の仕組みと絡めて新会員獲得や認知度獲得が加速してくるというイメージですか?
前澤社長:そういうのももちろんありますし、多分、単体でも黙ってやっているだけではないので、いろいろな施策が目白押しですので。
Q:計画の修正について、いろいろ見ていると、ZOZOSUITの配布とか、PBでやるものとか、だいぶ従来の計画と変わっているところがあると思うのですが、傍から見ていると、一度仕切り直しで、少し数字を直して、無理に今期がっとやるのではなくて、少し先送りして無理のない計画でやるというのも一つの手かなという気もしたのですが、それをしないで据え置かれたのは、普通にやって、無理しないでいけると考えているのか?据え置かれた理由を。
前澤社長:当初から無理だと思っていない。数字だけ見ると大丈夫かとみなさま思われるのでしょうけど、われわれの内部的にはロジカルな計算があっての数字ですので、無理だとは思っていないです。ただ、いろいろと当初予定していたものと計算が違ってきたところもありますし、いい意味でZOZOSUITのコストが削減できるということで。ただ、このZOZOSUITをまかない、配布しなくなったときに、どうお客さまが動いていくかというのはやってみないとわからない部分があるので。30億円をどう使っていくかということはこれからの課題の一つになっていくと思います。
Q:今回の決断の背景なんですが、体型データそのものを蓄積することの価値がもうあまりないと判断されたんでしょうか?体型データは誰でもとれるようになるという発言もありましたが、だとすると、もしZOZOSUITがワークしないんだったら、他の方法でとり続けるということも?せっかく御社は先行しているわけですから、そういう選択肢もあったと思うのですが、今回の決断の背景、ロジックをもう少し詳しく教えていただければ。
前澤社長:体型データをとらないわけではありません。体型データをお客さまからいただいた身長や体重などの基礎情報をもとに予測してお出しするということです。その予測数値が測ったものと大した差がないなら測らなくてもいいでしょ、という結論に至りそうになっているのが今の状況です。機械学習というものがとても有能で、その学習の教師データとして十分なデータが集まると、ここまでの精度が出るんだというところまでいま来ています。なるべくお客さまに負荷がないように、体型のデータをこちらで勝手に推測してお出しするという技術をまもなくお披露目できそうだという状況です。
Q:あえてテクノロジーを使ってリアルタイムで大量に集める必要はないという判断に?
前澤:一定量集まってしまえば、それをベースにある程度の予測ができることが判明したということですね。ですので、まったくゼロからだと難しいと思います。
Q:ビジネススーツの遅延の理由を改めて教えていただければ。そもそも今回もすでにスマートファクトリーで作っていて、その生産過程で問題があったのか、それとも、ある意味、生産のプロセスで問題があったのか、それとも、計測データをパターンに起こす過程で問題があったのか。そもそもの計測データに問題があるのか。ブログ等々を見ていると、計測データがブレたということもすごく多いので、そういう背景があるのか。もしくは、そもそもの準備不足があるのか、アナウンスメントが先行している印象があるので、そのあたりの背景を教えていただければ。
前澤社長:ビジネススーツの生産が遅れた理由は大きく2つございます。まずは計測データに基づいた縫製パターンの自動生成システムに一部、不具合がありました。体型によっては完全なる縫製パターンが生成できない事象があったにもかかわらず、そのまま裁断して縫ってしまったりして、良くないものが仕上がってしまったというのが1点です。2点目が、提携工場とのデータのやりとり、データの連携がうまくいかなかったのが原因です。こちらのパターン自動生成システムと、工場さまが持っている受け口との連携がうまくやりとりできず遅れた。この2点がビジネススーツが遅れた理由です。申し訳ありません。
Q:今後のPB展開のところで。前回の説明だとインナー、コート、ワンピースという説明があったと思います。今回、そのあたりの説明がなかったのですが、従来おっしゃっていたPB商品の考え方が変わっているのかどうか?
前澤社長:PBで予定していた、インナーやワンピースの話は、今日は説明は差し控えましたが、準備はしています。ここ、立て続けに遅れたりもしていますので、大きなことは言わないと今日は決めてまいりました。のどまで出かかっていて言いたいのですが、今日は言わないことにしました。ただ、やっていることはやっていますので。もう少々お楽しみにお待ちいただければと思います。
Q:1Qの説明会の段階で、ビジネススーツのオーダーの数字をコメントされていた。7月の時点のもの。その数字に基づけば、かなり2QのPBは、オーダーベースで計画を上回る、2QのPB計画を上回ってもおかしくないという説明があったと思います。にもかかわらず、他のTシャツ、ジーンズ等々が含まれているにもかかわらず、PBの受注ベースの金額がそれほどないんだなという印象を受けたのですが。スーツ以外の商品であるとか、スーツの8月以降であるとか、そのあたり、どういう失速があったのかという点を教えていただければ。
前澤社長:1Q終了時に説明していたオーダー量であれば、2Qの受注はもう少しついていてもいいんじゃないのという話ですが、確かに7月3日に発表させていただいたビジネススーツというのは、ものすごい好評をいただきたくさんのオーダーをいただきました。その数字を一部紹介させていただいた関係でそのようにおっしゃっていただいたと思うのですが、その後、生産が不安定な部分、先ほど言った不具合2つが発覚しまして、オーダーを受ける際に、だいぶ先の納期をお客さまに提示した関係で、7月3日に発表した当時のオーダーの速度がかなり弱まりました。結果として、それがよかったというか、不幸中の幸いでした。このまま遅れてしまって年をまたいで、みたいな話になるよりは、少し注文が落ち着いたのが不幸中の幸いだということで、一応、予算15億円のところで、受注だけゲットしようということで、まあそこそこなんじゃないかという話です。
Q:レピュテーション・リスクを教えていただきたい。いろいろ、PBの不振によって、何らかの影響が出ていないかということを教えてください。受託ビジネス、PBあたりで。
前澤社長:レピュテーション・リスクは、これは言い出したらキリがないと思うのですが、誠心誠意、どんなみなさまに対しても向き合って、完璧なものをお届けするように、最後までカスタマーサポートを徹底してやっています。中には実際にご自宅までうかがって、不具合の部分を目で確認させていただいて、ZOZOSUITの計測に不安があるような場合には、今一度、目の前で測っていただいたり、こちらのテーラーで手で測り直しをさせていただいたり、いろいろな対応をすることで、とにかく完璧にフィットするもの、満足いただけるものを着ていただきたいという思いでやっていますので。引き続き、頑張ってまいりたいと思います。