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100人揃って北陸新幹線で社員総会へ!アイジーエー「アクシーズファム」 紫式部ゆかりの地で魅力学ぶ

松下久美ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表
武生商工高校と協業した紫式部シリーズと、アクシーズファム店舗 アイジーエー提供

 今、盛り上がりを見せるエリアのひとつが、福井だ。大河ドラマ「光る君へ」の主人公で、吉高由里子が演じる紫式部が武生(現越前市)に住んでいたことや、3月16日に北陸新幹線の金沢~敦賀駅間が開業したことなどで、注目度が高まっている。

 福井は、眼鏡やテキスタイルの産地であり、セーレンや金子眼鏡、フランフランなどが創業したことでも知られている。ファッションブランド「axes femme」(アクシーズファム)を中心に全国で約70店舗を展開するアイジーエー(五十嵐昭順社長)もその一つだ。

 そのアイジーエーが3月18~19日、全店長と東京本社、福井本社のスタッフ約100人が集まる社員総会「全社員大会」を創業の地・越前市で開催する。コロナ禍もあり、現地での全社員大会は5年ぶり。「開通したばかりの北陸新幹線に乗り、福井の地域や歴史、魅力を学びながら、会社のパーパスも理解していく2日間にしたい」とその内容にも工夫を凝らしている。

 18日には「アクシーズファム」で装った社員100人が一斉に北陸新幹線に乗り込み、11時50分に新駅の越前たけふ駅に降り立つ。その後、2023年から地元・武生商工高校と連携し、紫式部をイメージした服を製作・販売していることや、紫式部と越前市の関係を学ぶために、光る君へ 越前 大河ドラマ館(しきぶきぶんミュージアム内)を見学する(12時30分~を予定)

 さらに、武生商工会議所で4~5時間の総会を開催した後、和食レストランで地元の食や酒を堪能し、越前市の温泉施設に宿泊する。2日目は越前市を観光。陶芸村、ナイフビレッジ、「アクシーズファム」の物流拠点である福井ロジスティクスセンターなどをバスで巡る。

 今回の全社員大会の企画の発案者とその狙いについて、佐藤亮太取締役は「発案者は社長の五十嵐です。以前は社員総会である「全社員大会」を福井で実施していた時期もありましたが、コロナもありしばらく現地では開催できずにいました。コロナも落ち着き、北陸新幹線が福井まで延線されたこともあり、会社としても、北陸を、そして、福井を盛り上げるために開催を決めました。従来は3月上旬に実施していましたが、今回は3月16日の新幹線開通後の最初の月曜日に設定しました」と説明。

 創業の地である福井で開催する意味については、「昨年から実施しているファンミーティング(お客さまが参加するツアーイベント)や、グループで展開する『a.department store』(エードットデパートメントストア)という、北陸の良いものを全国へ広げる取り組み、地域のつながりを知ってもらうことを狙いとしています。絵付け体験や伝統工芸士との対話を通して、福井県の良さを店長たちに感じてもらい、全国に持ち帰ってもらえたらと思っています」と語る。

 ファッションを通じて若者をエンパワーメントする「若者プロジェクト」なども推進するアイジーエーだが、武生商工高校との取り組みも、「ぜひ地元の学校と協業したいという五十嵐の思いから縁あって実現したもの。数年前から話題になっていた紫式部をテーマに、2022年は7型、2023年はワンピース、スカート、ジレの3型を販売しました。商品によって売行きの差はありますが、人気商品は完売し、一部は受注生産に切り替えてご要望にお応えするなど、好調な結果となっています」という。

武生商工高校と連携し、紫式部をイメージしたコレクションを製作・販売。「アクシーズファム」のヴィンテージな世界観を踏襲しつつ、時代や国境、性別を超えたボーダレスファッションを提案  アイジーエー提供
武生商工高校と連携し、紫式部をイメージしたコレクションを製作・販売。「アクシーズファム」のヴィンテージな世界観を踏襲しつつ、時代や国境、性別を超えたボーダレスファッションを提案  アイジーエー提供

 「アクシーズファム」は元々ヨーロピアンヴィンテージを提案するファッションブランド。近年、会社のパーパスとして「ワクワクドキドキつながる社会を実現する」を掲げ、年齢・性別・国籍・体形など、様々な方々にファッションを楽しんでもらえるように、さらには、ブランドを知らない多くの方々にも体験を提供できるようにと、多くの商品レーベルを立ち上げているところだ。

 「今回の紫式部をイメージした商品レーベルは『AXES-X』という、『アクシーズファム』のヴィンテージな世界観からインスパイアされた、新時代のユニセックスブランドになっています。性別、国境、時代の垣根を超えたボーダレスファッションと位置付けています」。

 ちなみに、JR武生駅前では、本店に加えて、「a.café」(エードットカフェ)やヴィンテージストアなども開設している。このカフェでは3月16日から、紫式部をイメージしたアフタヌーンティーセットも販売している(1日1セット限定、8800円、2~3人向け。要予約)。地元事業者らと推進する、紫色をキーカラーに使用した「パープルハートプロジェクト」の紫芋や巨峰を使った和テイストのスイーツを、名産品である越前箪笥のからくり箱で提供するという。

 「今回の全社員大会の地元開催をきっかけに、全国の店長をはじめとするスタッフが服の販売を通して、紫式部と越前の関係をお客さまに伝え、北陸新幹線の開業と紫式部で盛り上がる越前市をより盛り上げられると考えています。華やかな衣装の100人が、越前市や福井県の魅力を全国に広げるため学ぶ姿を多くの人に伝えていただけたら。取材や撮影なども大歓迎です」と佐藤取締役。

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ファッションビジネス・ジャーナリスト、クミコム代表

「日本繊維新聞」の小売り・流通記者、「WWDジャパン」の編集記者、デスク、シニアエディターとして、20年以上にわたり、ファッション企業の経営や戦略などを取材・執筆。「ザラ」「H&M」「ユニクロ」などのグローバルSPA企業や、アダストリア、ストライプインターナショナル、バロックジャパンリミテッド、マッシュホールディングスなどの国内有力企業、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」を筆頭としたセレクトショップの他、百貨店やファッションビルも担当。TGCの愛称で知られる「東京ガールズコレクション」の特別番組では解説を担当。2017年に独立。著書に「ユニクロ進化論」(ビジネス社)。

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