リーグ最多タイの13連勝と2000年&2018年の連勝を振り返る《阪神ファーム》
8月は記録的な大雨に見舞われ、高校野球では前代未聞の延期日数となりましたが、プロ野球でも、特に屋根のない球場での開催がほとんどのファームで中止が相次ぎました。8月11日から20日の間に予定されていた20試合のうち、実に15試合が中止(降雨ノーゲームも含む)となっています。これはさすがに異例でしょうね。
阪神タイガースは11日から4戦連続中止(ソフトバンク2試合、オリックス2試合)。そのあと1試合できたものの、17日から鳴尾浜で予定されていた中日戦は3試合とも中止。アピールして1軍へ!と頑張っている選手たちにとっても無情の雨だったと思います。
さて、そんな雨天中止を挟みつつ7月30日から負けなしで8月下旬を迎えている阪神ファームは、ついに26日のオリックス戦(鳴尾浜)でウエスタン・リーグの最多タイ記録である13連勝を達成!先制されたり、押され気味の試合も逆転して、本当にここまでよく負けずに来ました。
13連勝は過去に4度あります。最初は広島で、1967年6月9日の近鉄3回戦(藤井寺)から8月2日の西鉄3回戦(広島)の間に1分けを挟んで達成。次は南海が、1980年8月6日の中日11回戦(ナゴヤ)から9月13日の広島11回戦(新勝寺)まで、これも1分けを挟んでいます。
続いて中日が、1989年4月16日のダイエー1回戦(蒲郡)から5月4日の近鉄6回戦(阿久比)まで、1分けを挟んで記録。最後はぐっと現在に近づいてソフトバンクです。2015年8月14日のオリックス21回戦(ヤフオク)から9月6日の阪神20回戦(雁の巣)まで、これは引き分けなしの13連勝でした。
それにしても藤井寺、広島市民、新勝寺、阿久比と今は聞かない球場名がずらり。新勝寺は「みろくの里新勝寺球場」という名前(現在はツネイシスタジアム)で、由宇に新練習場ができるまで広島ファームの本拠地でした。また阿久比も1997年まで中日ファームの本拠地です。行ったことはありませんが、当時はよく目にしていたので懐かしいですね。
すみません、また脱線しちゃいました。では改めて13連勝を振り返りましょう。
はじまりはオリックス3連勝
今季前半は中日が好調だったものの6月3日にソフトバンクが首位の座を奪い、一度も落ちることなく守り続けています。なお4月半ばに5位まで落ちた阪神は下旬に4位へ、5月15日からは3位へ浮上したものの、首位のソフトバンクや2位の中日をなかなか抜けず6月、7月と同じ位置にいました。
しかし、7月のオールスター明けから白星が連なり始める阪神。まず7月23日から4連勝、負けと引き分けを挟んで7月30日のオリックス戦で勝ち、ついに2位へ浮上。ここから破竹の13連勝となったわけです!その14試合は以下の通り。まずオリックス3連戦で3連勝します。
《7月30日》
阪神-オリックス 18回戦 (鳴尾浜)
オリ 000 010 000 = 1
阪神 003 001 00X = 4
◆バッテリー
【オ】●宮城(1敗)-前-宇田川-神戸-松山-黒木 / 伏見-フェリペ
【神】望月-○岩田将(1勝)-鈴木-加治屋-守屋-S斎藤(1勝3敗1S) / 藤田-榮枝
◆三塁打 神:井上
◆盗塁 オ:田城(7)
《7月31日》 2連勝
阪神-オリックス 19回戦 (鳴尾浜)
オリ 000 010 000 = 1
阪神 010 000 20X = 3
◆バッテリー
【オ】山崎福-鈴木-●山田(1敗)-神戸-富山 / 松井-稲富-鶴見
【神】西勇-佐藤蓮-加治屋-○石井将(2勝)-高橋-S伊藤和(1勝1敗2S) / 榮枝
◆二塁打 オ:来田、鶴見 神:陽川
◆盗塁 神:井上(2)
《8月1日》 3連勝
阪神-オリックス 20回戦 (鳴尾浜)
オリ 000 030 010 = 4
阪神 000 004 001x= 5
◆バッテリー
【オ】佐藤一-川瀬-山田-黒木-漆原-飯田-神戸-●富山(2敗) / 頓宮
【神】牧-守屋-石井大-馬場-○斎藤(2勝3敗1S) / 榮枝-片山
◆本塁打 神:井上8号2ラン(川瀬) オ:来田2号ソロ(馬場)
◆三塁打 神:榮枝
3戦目はエラーから3点を先取されるも、次の回に井上広大選手の2ランや榮枝裕貴選手のタイムリー三塁打などで逆転!終盤に再び追いつかれますが、9回に相手エラーでサヨナラ勝ちしました。
なお、この間に中日と入れ替わって3位に戻った時期もあったのですが、8月6日からはずっと2位をキープします。
3戦すべてで2本塁打!計6連勝
《8月6日》 4連勝
阪神-広島 18回戦 (鳴尾浜)
広島 000 030 000 = 3
阪神 231 000 00X = 6
◆バッテリー
【広】●中村祐(5勝4敗)-中村恭-岡田 / 持丸
【神】○西純(4勝2敗)-岩田将-石井大-馬場-S斎藤(2勝3敗2S) / 長坂-榮枝
◆本塁打 神:島田3号3ラン、板山4号ソロ(中村祐) 広:韮沢3号3ラン(西純)
◆三塁打 神:江越
◆二塁打 広:正随 神:木浪
◆盗塁 神:島田2(21)、板山(9)
《8月7日》 5連勝
阪神-広島 19回戦 (鳴尾浜)
広島 120 000 110 = 5
阪神 000 032 001x= 6
◆バッテリー
【広】矢崎-田中法-藤井-塹江-●一岡(1勝1敗3S) / 二俣-白浜
【神】及川-鈴木-守屋-○高橋(1勝) / 榮枝
◆本塁打 神:井上9号3ラン(矢崎)、江越3号2ラン(田中法) 広:堂林4号ソロ(守屋)、韮沢4号ソロ(高橋)
◆二塁打 広:堂林2、永井、中神 神:植田、高山、井上
◆盗塁 広:正随(3) 神:江越(5)
《8月8日》 6連勝
阪神-広島 20回戦 (鳴尾浜)
広島 002 000 000 = 2
阪神 412 000 00X = 7
◆バッテリー
【広】●薮田(1勝6敗)-田中法-中村恭-遠藤-岡田 / 二俣
【神】○牧(1勝2敗)-岩田稔-加治屋-伊藤和-小林 / 榮枝-藤田
◆本塁打 神:江越4号ソロ、荒木1号ソロ(薮田)
◆三塁打 広:宇草
◆二塁打 神:井上 広:堂林、木下
このカードは、3試合とも2本ずつのホームランが出ています。江越大賀選手は2試合連続で、8日は初回の初球を打った先頭打者アーチでした。また7日は追いついて勝ち越したあと終盤に同点とされ、9回2死一塁で井上選手がサヨナラのタイムリー二塁打を放って勝ったものです。
6連勝のうち2試合がサヨナラ勝ちというのも、なかなか“持っている”状況だったと言えますね。また高橋遥人投手の復帰も嬉しいニュースです。続いて10日からはタマホームスタジアム筑後で首位・ソフトバンクとの3連戦でした。
7試合中止でも連勝途切れず
《8月10日》 7連勝
ソフトバンク-阪神 23回戦 (タマスタ)
阪神 013 000 000 = 4
ソフ 000 010 000 = 1
◆バッテリー
【神】○村上(6勝1敗)-守屋-伊藤和-S小林(1勝1S) / 榮枝
【ソ】●千賀(1敗)-古谷-高橋純-中村亮-田上 / 海野-石塚
◆本塁打 ソ:栗原1号ソロ(村上)
◆三塁打 神:陽川
◆二塁打 神:井上 ソ:海野、石塚
◆盗塁 神:小幡(13)、陽川(2)
10日は先発・村上頌樹投手が6回4安打10三振1失点と好投で6勝目!11日と12日は雨天中止、13日からのオリックス3連戦も2試合が中止になりました。
5日ぶりに行われた8月15日のオリックス戦(ほっともっとフィールド神戸)で、連勝をさらに伸ばしています。
《8月15日》 8連勝
オリックス-阪神 21回戦 (ほっともっと)
阪神 204 000 002 = 8
オリ 000 000 030 = 3
◆バッテリー
【神】高橋-○牧(2勝2敗)-西純-尾仲-小野-湯浅-浜地 / 榮枝
【オ】●東(4勝7敗1S)-榊原-荒西-鈴木-山下-張奕-山岡 / フェリペ-松井
◆本塁打 神:マルテ1号2ラン(東)、小野寺6号満塁(榊原) オ:大下2号2ラン(湯浅)
◆三塁打 神:小野寺
◆二塁打 オ:中川圭、太田、元、田城
◆盗塁 神:片山(2)
この試合は何といっても小野寺暖選手の爆発でしょう。3回に満塁ホームラン、9回にも2点タイムリー三塁打など3安打6打点の大活躍でした。
このあと試合のない月曜日と雨天中止3試合があり、またしても5日ぶりだった20日のソフトバンク戦で勝って9連勝!村上投手が今度は8回まで投げて3安打2失点、リーグ単独トップの7勝目を挙げています。
《8月20日》 9連勝
ソフトバンク-阪神 24回戦 (タマスタ)
阪神 000 210 020 = 5
ソフ 100 100 000 = 2
◆バッテリー
【神】○村上(7勝1敗)-S浜地(3勝1敗5S) / 榮枝
【ソ】●大竹(6勝3敗1S)-田浦-椎野-泉-渡辺雄-重田 / 渡辺陸-九鬼
◆本塁打 ソ:上林4号ソロ、リチャード11号ソロ(村上)
◆二塁打 神:マルテ、陽川、井上
◆盗塁 神:陽川(3)、小野寺(8)
阪神ファームの9連勝は1999年5月30日から6月9日で達成されており、これが球団新記録でした。翌2000年(10連勝)と2001年、そして2018年7月18日から8月1日にかけても達成しています。今回は3年ぶり5度目のこと。翌21日のソフトバンク戦も勝利して、ついにチーム21年ぶりの10連勝です!
21年ぶりの10連勝達成!
《8月21日》 10連勝
ソフトバンク-阪神 25回戦 (タマスタ)
阪神 020 000 300 = 5
ソフ 000 101 000x= 2
※9回裏1死、降雨コールドゲーム
◆バッテリー
【神】西純-○岩田将(2勝)-小林-尾仲-浜地 / 長坂
【ソ】森-奥村-●古谷(1敗1S)-大関 / 海野-渡辺陸
◆本塁打 ソ:リチャード12号ソロ(西純) 神:江越5号ソロ(古谷)
◆二塁打 神:長坂、陽川 ソ:柳町、野村
◆盗塁 ソ:釜元(12)
1993年から阪神のファームを見てきた私にとって9連勝も難しいものだったのに、苦手なソフトバンク相手で達成するとは…。もう感激です。2000年3月31日から4月13日に1分けを挟んでの10連勝、この球団記録に並びました。
これだけでも大満足なのに、まだ続きがあるんですよね。ただし、その前に1つ引き分けを挟みます。
《8月22日》 引き分け
ソフトバンク-阪神 26回戦 (タマスタ)
阪神 000 000 000 0= 0
ソフ 000 000 000 0= 0
※延長10回、規定により引き分け
◆バッテリー
【神】高橋-石井将-湯浅-小野-小林-尾仲-岩田将 / 榮枝
【ソ】杉山-田浦-渡辺雄-泉-古谷-椎野 / 海野-九鬼
◆二塁打 ソ:柳町
◆盗塁 神:小幡(14)、小野寺(9)、板山(10)
延長10回裏に2死二、三塁のピンチを迎えますが、そこで登板した岩田将貴投手が上林誠知選手を遊飛に打ち取って終了。阪神7投手(被安打3)、ソフトバンク6投手(被安打5)がともに得点を与えず、試合は0対0の引き分けです。
24日からは、この連勝がスタートしたのと同じオリックスを鳴尾浜に迎えての3連戦です。ここでも勢いは止まりませんでした。ついに阪神ファームとしての新記録達成です!
球団新記録からリーグ最多タイへ
《8月24日》 11連勝
阪神-オリックス 22回戦 (鳴尾浜)
オリ 010 000 000 = 1
阪神 005 000 00X = 5
◆バッテリー
【オ】●本田(2勝9敗)-バルガス-鈴木-山岡 / 頓宮
【神】○牧(3勝2敗)-加治屋-岩田稔-エドワーズ-伊藤和 / 榮枝-片山
◆本塁打 オ:勝俣1号ソロ(牧) 神:マルテ2号2ラン(本田)
◆三塁打 オ:田城 神:板山
◆二塁打 神:榮枝、小野寺、江越
2回にソロホームランで先制を許した牧丈一郎投手ですが、3回以降はノーヒットで5回3安打1失点の好投。打線が3回に江越選手のタイムリー、マルテ選手の2ラン、さらに板山祐太郎選手の2点タイムリー三塁打で一挙5点を取り、試合を決めています。
既に大満足していた私でも、さすがにここまで来ればリーグ最多記録に並ぶことは可能かも?という気がしてきましたね。あと2つです。
《8月25日》 12連勝
阪神-オリックス 23回戦 (鳴尾浜)
オリ 201 000 000 = 3
阪神 201 000 10X = 4
◆バッテリー
【オ】竹安-金田-海田-●K鈴木(1敗1S)-山岡 / 頓宮-フェリペ
【神】中田-鈴木-石井将-守屋-○小野(2勝1敗2S)-小林-S浜地(3勝1敗6S) / 長坂
◆二塁打 オ:太田、頓宮 神:高山、板山
◆盗塁 神:陽川(4)
序盤から先に点を取られては直後に取り返す展開で、3対3の7回に陽川尚将選手のこの試合2本目となる犠飛で勝ち越し、そのまま逃げ切っています。浜地真澄投手が6セーブ目。灼熱の鳴尾浜で3度のグラウンド整備を行いながら3時間35分というロングゲームでした。
《8月26日》 13連勝
阪神-オリックス 24回戦 (鳴尾浜)
オリ 001 000 010 = 2
阪神 002 010 12X = 6
◆バッテリー
【オ】●佐藤一(2敗)-鈴木-飯田-斎藤-張奕 / 稲富
【神】○藤浪(1勝1敗)-エドワーズ-湯浅 / 榮枝
◆本塁打 オ:佐藤優1号ソロ(藤浪) 神:江越6号2ラン(佐藤一)、7号ソロ(斎藤)
◆二塁打 神:小野寺、小幡、陽川
◆盗塁 オ:田城(8) 神:荒木(4)
藤浪晋太郎投手は3回にホームランを浴びますが、この1失点のみで7回12奪三振の好投!打線は江越選手が2本のホームランを放ち、小幡竜平選手のタイムリー二塁打や榮枝選手の2点タイムリーなどで効果的に加点。6対2で快勝しました。これでリーグ最多記録に並ぶ13連勝です!
絶好調だった井上選手が残念…
この連勝期間で、牧投手が3勝、岩田将投手と村上投手のルーキーコンビが2勝ずつ、斎藤友貴哉投手と浜地投手が2セーブずつ挙げています。ホームランは全部で13本出ていて、江越選手は2試合連続や1試合2発を含む計5本。井上選手とマルテ選手が2本ずつ。島田海吏選手、板山選手、荒木郁也選手、小野寺選手が1本ずつ打ちました。
井上選手の負傷は非常に残念ですね。20日の試合で右足の脛骨を骨折したとのこと。この連勝中も出場した8試合すべてでヒット、うち5試合で打点を挙げるなど34打数14安打13打点、打率.412の活躍でした。それどころか連勝前の7月11日から29日までの9試合でも全部ヒットを打って6試合が打点つき、38打数14安打12打点で打率.368です。
つまり、これを合わせると17試合連続安打中だったわけですよね。17試合で71打数28安打25打点、打率は.389。そのうちマルチ安打が8試合(そのうち3安打は3試合)、打点も4打点が3、3打点が1、2打点が2、1打点は4でした。ホームランも4本あります。絶好調と言っていいでしょう。
本人は悔しくてたまらないと思いますが、焦って無理することのないようにと願います。しっかり治して戻ってきてくださいね。チームにとって必要不可欠な選手ですので。
なお、21日から代わって4番を打っている小野寺選手も今、7試合連続安打中。29日に1軍昇格を果たし、試合は勝てなかったのですが、1打席目でヒットを放ちました!
そしてリーグトップの7勝(ソフトバンク・大竹耕太郎投手と中日・山井大介投手がタイに)を挙げている村上投手も昇格、28日の広島戦で先発したのですが…残念ながら29日に小野寺選手と入れ替わりました。でも次こそ1軍でプロ初勝利を挙げるために、再びファームで腕を磨いてください。
開幕から10連勝した2000年
ここで少し話を戻して、球団記録だった2000年のこと、直近で9連勝していた2018年のことを振り返ってみます。2000年のプロ野球ファームではイースタンの横浜が湘南シーレックスに名称を変更、ウエスタンのオリックスもサーパス神戸となり、新球場「あじさいスタジアム北神戸」を本拠地として開幕しました。
近鉄の選手寮「球友寮」が新しく建て替えられたのも2000年。また「松山坊っちゃんスタジアム」がオープンし、7月のジュニアオールスターゲームがこけら落としだったんですよね。それと社会人野球チームとの『プロアマ交流戦』が定期的に開催されるようになったのも、この年からだったと思います。
阪神は、1998年に12年ぶりのウエスタン・リーグ優勝を果たし、岡田彰布監督が就任した1999年に連覇。ファーム日本選手権で日本ハムを破って球団初のファーム日本一に輝いた、その翌年が2000年です。2年目の岡田監督のもと、まず開幕から8連勝というリーグ新記録!そのあと引き分けを1つ挟んで4月13日のサーパス戦で球団新の10連勝を達成しました。
とにかく開幕から負けなしというのが驚きですよね。今回で10連勝は超えましたが、開幕からの10連勝はなかなか更新されないでしょう。ちなみに10連勝中の11試合で6試合が完封勝利だったのもすごい!今回の13連勝で完封勝ちは1つもありませんからね。
なお、この連勝中に登板した主な投手(順不同、敬称略)は、井川慶、山岡洋之、川尻哲郎、中込伸、井上貴朗、田村勤、舩木聖士、奥村武博、山崎一玄、藤川球児、岡本浩二、部坂俊之、竹内昌也、弓長起浩、窪田淳、吉田豊彦などです。
井川投手と井上投手が2勝、山岡投手、ラミレズ投手、竹内投手、中込投手、山崎投手が1勝ずつ挙げています。なお完投で完封勝利を挙げたのは井川投手(2試合)と山岡投手(1試合)でした。
野手(順不同、敬称略)では吉田浩、的場寛壱、星野修、松田匡司、浜中治、中谷仁、上坂太一郎、曽我部直樹、風岡尚幸、定詰雅彦、新井亮司、山田勝彦、八木浩、カツノリ、片山大樹、寺田祐也、吉本亮、高山智行など。浜中選手は全試合4番で4本塁打を放ち、連勝に貢献しました。
めちゃくちゃ懐かしい名前を堪能していただけたでしょうか?ちなみに10連勝を達成した試合は、1回に6安打を集めて4点を取るなど5対0の完封勝ちでした。先発はハンセル投手ですが調整で2イニングのみ。最後の4イニングを投げた舩木投手に勝ちがついています。
ところで、開幕からこの勢いなら当然リーグ3連覇だろうと思ったのですが、4月22日に首位の座を明け渡し、結局は中日が優勝。阪神は2位でシーズンを終えました。わからないものですね。
でも2001年と2002年は岡田監督でまた優勝、2003年は木戸克彦監督で3連覇達成。この3連覇という数字も、ソフトバンクに抜かれるまではウエスタン・リーグの最多記録でした。しかも2002年と2003年は連続日本一にも輝いたわけで、まあ阪神ファームの黄金時代というところでしょうか。
2018年は超積極的な9連勝
2018年は記憶に新しいですね。矢野燿大監督が就任し、“超積極的野球”で8年ぶりのリーグ優勝!さらには、ファーム日本選手権で初めて顔を合わせた巨人を破って12年ぶり5度目の日本一に輝いた年です。
この年の4月28日から、まず2003年以来15年ぶりの8連勝(1分け挟む)があり、2か月後の7月18日から8月1日にかけての9連勝が、2001年以来17年ぶりのタイ記録でした。内訳はソフトバンク2つ、中日3つ、広島2つ、中日2つです。
最後の中日3連戦の3つ目で引き分け、翌3日のソフトバンク戦で負けて連勝がストップしています。球団タイ記録か?と盛り上がっていた記憶があっただけに残念でした。この9連勝中には、青柳晃洋投手と馬場皐輔投手が2勝ずつ、伊藤和雄投手が5セーブ、緒方凌介選手と板山祐太郎選手が3本塁打、江越大賀選手は2本塁打(どちらも先頭打者アーチ)を放っています。
その時の記事は、こちらでご覧ください。→<12年ぶりのファーム日本一!仙台育英OBが独占した表彰式>
また、連勝とは関係ありませんが2018年には驚くべき新記録も出ました。チーム盗塁数です。開幕してからルーキーの熊谷敬宥選手や島田海吏選手が引っ張る形でどんどん走り、これまで1991年以降のNPB-BISデータに残る範囲内ですけど、チーム最多が2000年の96個だった阪神。赤松真人選手がリーグ最多盗塁のタイトルを取ったシーズンでさえ、90を超えることはなかったのです。
ところが2018年は、6月17日の通算61試合目でもう100盗塁をクリア!最終的には2013年にソフトバンクが作った156のリーグ記録を抜く163盗塁で、リーグ新記録となりました。阪神がですよ。チームの盗塁数でリーグ新ですよ。びっくりでしょう?メチャクチャ失礼なこと書いていますね。すみません。
手強いソフトバンク
という盗塁の件から再び現在に話を戻して。実は今季も阪神ファームはかなり走っています。そして打っています!でも追い越せない壁がソフトバンクです。連勝を8まで伸ばし、8月19日の段階で首位・ソフトバンクとは3ゲーム差。8月20日からの3連戦で3勝すればまったく同率の首位に並ぶところでした。
まず2連勝して対戦成績を12勝12敗1分けのタイに持ち込んだ阪神。でも残念ながら最終の22日は0対0のまま延長10回まで戦い、引き分けています。1ゲームの差は残り、24日から阪神はオリックスに3連勝したものの、ソフトバンクも中日に3連勝。差はまったく変わりません。
ここです!負けないソフトバンク、これがネックなんです。ことしの場合も、阪神の連勝中にソフトバンクもきっちり連勝していますからね。
思い出すのは2019年。阪神は開幕直後から86試合目までずっと首位にいました。それが8月1日のことです。翌2日からは直接対決で、1戦目に敗れた阪神は首位の座を明け渡し、おまけに3タテを食らいます。その後も中日、オリックスに負けて、8月1日から15日の間に8連敗してしまった阪神。
逆にソフトバンクはまったく同じ時期に9連勝!以降は差が縮まるどころか開くばかりで、阪神は3位で終了しました。こちらが勝っても、“負けないソフトバンク”は本当にしぶとくて、強くて、しんどかった!という記憶のみです。
ここしばらく苦戦を強いられていて、2012年以降の9年間では2017年と2019年以外すべて負け越し。中でも2012年は8勝18敗、2020年は5勝15敗と大差をつけられています。2018年さえソフトバンクに対しては13勝15敗という戦績で、完全優勝を阻まれた悔しさを忘れられません。
しかし27日、ソフトバンクがオリックスに負けたため、試合のなかった阪神とのゲーム差は0.5に縮まりました。もし翌28日も負ければゲーム差0、阪神は勝率で上回って単独首位!というところだったのですが…ソフトバンクは28日も29日も勝って、結局1.5ゲーム差に戻っています。
今季も好調な打撃成績
そんな手強いソフトバンクが、打撃成績や個人成績でも阪神の位置を脅かしてきました。ここで30日現在のチーム、個人の成績を少し書いておきましょう。まずこちらです。
◆ウエスタン・リーグ勝敗表
試合 勝敗分 勝率 ゲーム差
1 ソ 93 57-32-4 .640
2 神 92 54-32-6 .628 1.5
3 中 85 44-38-3 .537 9.5
4 広 85 28-54-3 .341 25.5
5 オ 93 30-61-2 .330 28.0
続いてチームの投打成績です。27日時点では下記の打撃項目すべてで阪神がトップでした。しかし2日後、中日と入れ替わって打率2位に浮上したソフトバンクに得点、塁打、打点で抜かれてしまいました。阪神は試合がなかったので仕方ないですね。ちなみにホームランはソフトバンクと広島が64本で最多、ついで阪神が57本で追っています。
でも打率と盗塁はずっと1位をキープ中。これまでチーム打率がリーグトップという光景はあまり見たことがないせいか、どうも落ち着きませんね。とまた失礼なことを言ってしまいました。これより高い数値だった年は何度かありますが、トップでシーズンを終えたのは2005年以降で、たった一度(2006年)だけです。
◆チーム打撃成績 (30日)
打率 得点 安打 塁打 打点 盗塁
神 .259 406 792 1169 372 104
ソ .251 413 749 1175 383 72
中 .249 359 696 1063 340 63
広 .246 299 692 1063 280 52
オ .214 256 629 846 234 58
一方、投手成績はソフトバンクが唯一の防御率2点台で断トツ!完投も完封勝利も圧倒的な多さですね。27日に僅差で2位に浮上したものの、すぐ3位に戻った阪神は被本塁打、与死球がリーグワーストです。与四球はオリックスが一気に増えて阪神は2番目になりました。
◆チーム投手成績 (30日)
防御率 完投 完封 HR 四球 死球 三振
ソ 2.73 8 17 36 291 27 746
中 3.41 2 5 54 226 43 539
神 3.42 0 4 65 316 44 697
オ 3.79 1 7 55 317 17 736
広 4.05 0 6 54 299 26 586
30日時点での個人打撃成績では、まず打率で小野寺選手が1位をキープしていて今は.319、2位にいた小幡選手は周りの選手が上がってきたため4位になりましたが.287、井上選手は.267で6位にいます。井上選手は塁打数(118)、打点(50)、長打率(.463)もリーグトップで、本塁打9は2位タイです。
また小野寺選手は安打数(80)でトップ、塁打数(116)は3位タイ、打点(44)も3位、長打率(.462)は2位の数字ですね。ちなみに盗塁数は今1軍にいる島田選手の21が最多で、小幡選手が14で3位タイ。広島の羽月隆太郎選手が16で2位にいます。
投手成績は、村上投手が7勝で単独トップでしたが、26日にソフトバンクの大竹耕太郎投手、28日には中日の山井大介投手も勝って3人が並びました。村上投手の奪三振数65はリーグ3位。オリックスの本田仁海投手が75、同じく東晃平投手が69で1位と2位です。
セーブ数はソフトバンク・椎野新投手が7でトップ、2位はチーム最多登板の浜地投手で6、エドワーズ投手が4で3位タイです。また、チーム成績でもワーストだった被本塁打は西純矢投手の11本が最多、与四球も西純投手が36個で一番多かったところ、オリックスの山下舜平太投手が抜いて(37個)で2位に。与死球は佐藤蓮投手が5個で最多タイです。
平田勝男監督はきっと今、ゲーム差とか優勝とかリーグ新記録とかより、選手それぞれのレベルアップが嬉しいでしょうね。13連勝についてのコメントも「選手が1軍に上がって何とか力をつけようという結晶」というものだったようです。選手が努力して、競争して、モチベーションを持ってやった結果だと。
積み重ねた数字も、頂点への距離も、ファームで汗を流す選手たちにとって励みにこそなれど、目的ではありません。あくまでも1軍へ行くこと、そこで輝くことがすべてだと言うでしょう。そうした結果、2003年と2005年以来、16年ぶり3度目の親子優勝!なんてことになったら最高ですね。すみません。最後は勝手な野望を述べてしまいました。
ちなみに13連勝中の阪神ファームですが、鳴尾浜の試合だけに限ると6月27日の中日14回戦から8月26日のオリックス24回戦まで15連勝しています。さらに非公式戦(社会人や独立リーグとの練習試合)も加えると18連勝でした。ところが28日、ついに鳴尾浜で2か月ぶりの黒星が…。それについては次回、ご紹介します。
<掲載写真は筆者撮影>