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昨年のサイ・ヤング賞投手、バーランダーとアルカンタラは「最も価値ある投手」ではなかった!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・バーランダー(ニューヨーク・メッツ)Dec 20, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 1月28日、BBWAA(全米野球記者協会)の晩餐会で、ジャスティン・バーランダー(ニューヨーク・メッツ)とサンディ・アルカンタラ(マイアミ・マーリンズ)は、サイ・ヤング賞のプラークを渡された。

 彼らは、昨年、各リーグのサイ・ヤング賞に選出された。どちらも、投票した30人の記者全員から、1位に挙げられた。満場一致の受賞ということだ。今オフ、バーランダーはヒューストン・アストロズからFAになり、メッツに入団した。上の写真は、入団会見の一場面だ。

 ただ、そのプラークには、誤りがあった。最も価値ある投手、「MOST VALUABLE PITCHER」と綴るつもりだったようだが、Aが一つ抜け、「MOST VALUBLE PITCHER」となっている。下のツイートは、バーランダーの弟、FOXスポーツのベン・バーランダーによるものだ。

 一方、MVPの2人、アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)とポール・ゴールドシュミット(セントルイス・カーディナルス)のプラークは、「MOST VALUABLE PLAYER」と正しく綴られている。

 どうやら、文言の変更が原因らしい。2021年にサイ・ヤング賞を受賞した、ロビー・レイ(当時トロント・ブルージェイズ/現シアトル・マリナーズ)とコービン・バーンズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)のプラークは、それぞれ、「THE OUTSTANDING AMERICAN LEAGUE PITCHER」「THE OUTSTANDING NATIONAL LEAGUE PITCHER」となっている。2011年と2019年にバーランダーが受賞した時のプラークも、レイと同じ文言が綴られていた。

 もっとも、文言の変更は初めてではなく、過去には「MOST VALUABLE PITCHER」の時期もあった。

 なお、2016年にバーランダーが僅差でサイ・ヤング賞を逃した時、婚約者のケイト・アップトン――その後、2人は結婚した――は激怒し、「ヘイ、MLB、ジャスティン・バーランダーにファックできるのは私だけと思ってたわ?! 2人の記者が彼に投票しなかったってどういうこと?」とツイートしたが、今回の綴りの間違いに対しては、何も発していない。

 2016年の一件については、こちらで書いた。

「2人の記者がバーランダーに投票していれば、サイ・ヤング賞の行方は変わっていたのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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