新型コロナウイルス感染症に関して交通運輸・観光サービス業の従事者が受けたカスハラの実情
交通運輸・観光サービス業で働く人に対する利用者の迷惑行為、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)が問題視されている。業種に絡んだ話での新型コロナウイルス感染症に関するものも多々発生しているそうだが、その実情はどうなっているのだろうか。全日本交通運輸産業労働組合協議会が2021年11月に発表した、交通運輸・観光サービス業における利用者の迷惑行為に関する調査(※)の結果から確認する。
次に示すのは交通運輸・観光サービス業の従事者が、その業種を理由に新型コロナウイルス感染症に関する差別や偏見、誹謗中傷を受けたことがあるか否かを尋ねた結果。全体では20.2%の人が経験ありと回答している。
業種別では「海運・港湾」が低めだが、それ以外は大体2割前後。密閉度合いが高いバスやタクシー、航空ではやや高めに出ているのが目にとまる。
具体的な差別などの内容は次の通り。
暴言がもっとも多く47.3%、次いで威嚇・脅迫行為が20.8%。さらに消毒スプレーなどをかけられた、病院受診・検査などを断られたとのケースも少なからず見受けられる。不特定多数に接する機会が多い交通運輸・観光サービス業だからなのだろうが、理不尽なものに違いない。
これを業種別に見たのが次のグラフ。
海運・港湾は全件数で10件と少なく、統計上のぶれが生じてしまっているが、それ以外でもそれぞれの業種特有の傾向が見て取れる。例えば「消毒スプレーなどをかけられた」はトラックで突出している、暴言は鉄道やバス、タクシー以外に観光サービスで多め、「病院受診・検査などを断られた」「家族が出勤や登校の自粛を求められた」は航空で多い、など。それぞれの業種の実情を思い返せば、ありそうな話ではある。無論、それらの行為に正当性は無いのは言うまでもない。
交通運輸・観光サービス業の従事者の2割ほどが、業種を理由に新型コロナウイルス感染症に関する差別や偏見、誹謗中傷を受けている現状は、大いに問題視されるものに相違ない。
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※交通運輸・観光サービス業における利用者の迷惑行為に関する調査
2021年5月20日から8月31日にかけて、交通運輸・観光サービス業に従事している全日本交通運輸産業労働組合の所属組合員に対し、書面あるいはインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2万908件。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。