大雨で要注意!洪水にあってしまった時に気をつける皮膚疾患と予防法
大雨の後は要注意!水害時に流行する皮膚疾患と予防法
梅雨や台風シーズンは大雨に見舞われることが多く、洪水被害のリスクが高まります。洪水は家屋の損壊など直接的な被害をもたらすだけでなく、さまざまな健康被害の原因にもなります。特に皮膚疾患は洪水後に多発することが知られており、注意が必要です。
今回は、洪水に関連して発生しやすい皮膚疾患について、最新の研究成果をもとに解説します。また、皮膚トラブルを予防し、万一発症した場合の対処法についてもご紹介します。
【洪水がもたらす皮膚疾患のリスク】
洪水の際は、膨大な量の雨水が下水や川などに流れ込み、汚染物質を広範囲に拡散させます。この汚水に含まれる細菌やウイルス、寄生虫などが皮膚に付着することで、さまざまな皮膚疾患を引き起こします。
2014年のマレーシアの洪水では、レプトスピラ症の患者が多数報告されました。レプトスピラ症は、洪水の汚水に含まれるレプトスピラ菌が傷口などから体内に侵入することで発症。高熱や黄疸などの全身症状に加え、皮膚の発疹や出血斑が特徴的な症状です。
2016年にエチオピアで発生した洪水では、疥癬(かいせん)の集団発生が確認されています。疥癬は、ヒゼンダニというダニの一種が皮膚に寄生することで起こる感染症。避難所の過密状態により、ダニが人から人へと容易に伝播したと考えられています。
【洪水関連の皮膚疾患を予防するには】
洪水時の皮膚疾患を予防するには、まず汚水との接触を避けることが重要です。浸水した地域では長靴を履き、できるだけ肌の露出を控えましょう。
もし汚水に触れてしまった場合は、すみやかに石けんで手足を洗い流します。傷があるときは、ガーゼで保護してから水に触れるようにしましょう。
避難生活を送る際は、石けんを使った手洗いを徹底します。タオルやバスタオルは個人専用のものを用意し、他人と共有しないことが大切。寝具や衣類も定期的に洗濯し、清潔に保つよう心がけましょう。
【皮膚トラブルの対処法】
洪水の後に皮膚のトラブルが現れたら、できるだけ早く皮膚科を受診しましょう。かゆみのある発疹や、化膿を伴う皮疹が見られる場合は、細菌感染の可能性があります。医師の指示に従って、抗菌薬の内服や外用薬の塗布を行います。
ダニによる疥癬の場合は、駆除用の薬剤の塗布が必要。ダニは衣類に付着して移動するため、シーツやタオルなどの洗濯・消毒も重要です。
また、皮膚の健康を保つには、体調管理が欠かせません。バランスの取れた食事と十分な睡眠を心がけ、ストレスをためすぎないことも大切。皮膚トラブルは体調の変化のサインかもしれません。早めの受診を心がけましょう。
【参考文献】
- Lau CL, et al. Human Leptospirosis Infection in Fiji: An Eco-epidemiological Approach to Identifying Risk Factors and Environmental Drivers for Transmission. PLoS Negl Trop Dis. 2016 Jan 28;10(1):e0004405.
- Sara J, et al. Scabies Outbreak Investigation and Risk Factors in East Badewacho District, Southern Ethiopia: Unmatched Case Control Study. Dermatol Res Pract. 2018 Oct 1;2018:7276938.