来季から二塁への完全コンバートが決まったムーキー・ベッツに期待がかかるMLB史上2人目の快挙とは?
【来季から二塁コンバートが決まったベッツ選手】
MLBにとってオフシーズン最大のイベントであるウィンターミーティングが現地時間12月3日、テネシー州ナッシュビルで開幕した。
今年はMLB公式サイトに掲載されているFA選手ランキングで大谷翔平選手と山本由伸投手がトップ2を独占しており、彼らの去就問題で日本からも大きな関心を集めているようだ。
ただ現時点でも2人に関する報道はほとんどが推測の域に止まっており、ミーティング期間中(6日まで)に両選手ともに契約合意に至るかは疑わしい状況になってきた。
大谷選手はMLB史上最大の契約総額が、また山本投手も先発投手として史上最高額のゲリット・コール投手に次ぐ契約総額が予想されているだけに、2人の契約が決まらないと他の大物FA選手の契約交渉も進みようがない。今回のウィンターミーティングは低調のまま終わってしまうかもしれない。
そんな多くの推測報道が続く中、個人的に確定情報として注目しているのが、ドジャースのムーキー・ベッツ選手が来シーズンから先発二塁手に固定されることが決まったことだ。
ミーティングに参加している、デーブ・ロバーツ監督が明らかにしたものだ。
【レッドソックス時代は元々二塁手だった】
同監督の説明によれば、ベテランのジェイソン・ヘイワード選手と再契約(1年契約)したことで、彼を先発右翼で起用するためベッツ選手を二塁に回すことになったようだ。
とはいえ、ベッツ選手は右翼手として現役最多の計6回のゴールドグローブ賞を獲得した名手だ。そんな選手を二塁にコンバートするのは勿体ない気がする方もおられるだろうが、ヘイワード選手も同じ右翼手として5度のゴールドグローブ賞を受賞している名手だということだ。
そしてベッツ選手はレッドソックスで2014年にメジャーデビューを飾るまで、マイナーでは内野手登録で主に二塁手を任されていた。それがメジャー昇格した2014年はマイナーとメジャーで内野と外野をこなすユーティリティ選手を担った後、2015年から外野手登録となり、同年は主に中堅を任され、2016年から右翼に固定されるようになった。
とにかくベッツ選手が凄いのは、2015年まで右翼手としてたった27試合しか出場していなかったのに、右翼に固定された2016年に最初のゴールドグローブ賞を獲得してしまったことだ。
【球界屈指の運動センスを誇るベッツ選手】
ベッツ選手に詳しい方ならご存知だと思うが、彼はボウリングやバスケもプロ並みの実力を備える球界屈指の運動センスを有しているのだ。そのためドジャース移籍後から久しぶりに二塁に回る機会が生じたが、まったく問題なくこなしていた。
特に昨シーズンは前述のヘイワード選手の加入もあり二塁に回る機会が急増し、計62試合二塁で先発出場を果たし、守備率.991を残しているのだ。
ちなみに昨シーズン二塁手としてゴールドグローブ賞を獲得したカブスのニコ・ホーナー選手の守備率は.988、ガーディアンズのアンドレス・ヒメネス選手が.991だったことを考えると、ベッツ選手の堅実ぶりが理解できるのではないだろうか。
ただし選手の各種データを紹介しているMLB公式サイト「savant」によれば、昨シーズンのベッツ選手の二塁手としての「Out Above Average(守備を評価する指標。高ければ高いほど好守備だと判断される)」はマイナス1と、かなり低かったのが気になるところではある(ホーナー選手は13、ヒメネス選手は18)。
これまで過去のゴールドグローブ賞受賞者の中で、外野と内野の2つポジションで同賞を獲得しているのはダリン・アースタッド選手(外野と一塁)のたった1人しかいない。
果たして来シーズンから二塁に完全復帰するベッツ選手は、ゴールドグローブ賞を獲得することができるだろうか。