飲み会の会費逃れよりたちが悪いタックスヘイブンと英国
●今朝の100円ニュース:許すな!タックスヘイブン 巨額税逃れ 国際社会が規制へ(中日新聞)
同窓会や飲み会の幹事をすると、「金払いのいい人」と「悪い人」に分かれることに気づく。当然ながら後者への印象は幻滅に近くなる。
学生時代の同窓会で、普段は偉そうな発言を繰り返している先輩が遅れてやって来て、「半分の時間しか参加できないけれど会費は安くならないの?」と値切ろうとしたときには驚いた。本来であれば、「遅刻して申し訳ない。会費は足りてる?」と後輩たちを心配して、少し多めに出すべきではないか。
もっと不明瞭なやり方もある。お会計の気配を察知するといきなり早退を言い出して「じゃあ、1000円でいいよ」という言葉を幹事から引き出そうとする人。酔ったふりをして財布を出そうとしない人(会計の存在を忘れたいので「ご馳走さま」も言えない)。女性の前では「オレも多めに出すよ」と言っておきながら結局は出さない人。割り勘だと分かった途端にたくさん飲み始める人……。
興味深いのは、飲み会での金払いの良し悪しには所得層はほぼ関係ないことだ。明らかにお金がないのに心配になるほど気持ちよく支払ってくれる人もいれば、大企業勤務の正社員(独身)なのに100円でも少なく払うことに異常な情熱を燃やす人もいる。もちろん、その逆もある。金持ちはケチとは限らない。
公平性が保たれるとしたら、幹事にはすべてお見通しであることだ。幹事は世話になったお店などに支払いをする責任があるので、多少酔っぱらっていても会費の徴収と計算のときはシラフに戻る。そのときに「金払いの悪い卑怯な人」は「ドタキャンをした無責任な人」と同じぐらいの悪印象が残り、2回以上重なると「できれば次回は来てほしくない人」に認定される。プライベートな食事会には絶対に誘わなくなるし、人や仕事を紹介することもありえない。ほかの飲み会の幹事からも同じ認定をされていることだろう。その積み重ねで彼が長期的に被る損失は、酔ったふりをしてごまかした会費の合計よりも必ず大きなものになる。
今朝の中日新聞(東京新聞)の「特報」欄によると、世界の多国籍企業や富裕層から2100兆円とも言われる巨額資金が集まり、税金逃れの温床となっているタックスヘイブン(租税回避地)が国際的に問題になっている。これは明らかにズルい。そんなことができるのは高所得で頭の良い人に限られるし、タックスヘイブンは情報開示に消極的なので「誰がズルしているか」が見えにくいからだ。
なお、タックスヘイブンにはケイマン諸島をはじめとする英国領や英連邦の国に多いらしい。金融業で成り立つイギリス経済を支えるために規制を緩めているのだ。近現代史を振り返っても、イギリスほどズル賢い国は他にない。単に粗暴ならばまだ愛嬌があるけれど、巧妙でしたたかさなのだ。可愛げのかけらもない。そのスマートさにちょっと憧れるけれども、やはりズルいものはズルい。
タックスヘイブンを利用する国家、企業、個人の「スマートな不誠実」が暴かれて、真面目な納税者の負担が減っていく日がいつか来るだろうか。